小説「うなじまで、7秒」読者のみなさまによるキャッチコピー集+続編「悦楽よりも、深く」告知など

BL作家・ナツ之えだまめ先生が読者のみなさまから募ったデビュー小説「うなじまで、7秒」[KADOKAWA フルール文庫ブルーライン/ISBN978-4-04-066104-9]のキャッチコピーの数々+2016年3月刊行の続編「悦楽よりも、深く」[KADOKAWA B-PRINCE文庫/ISBN978-4-04-865776-1]の告知などをまとめました。ハッシュタグ→ #unaji7 (※購入者特典・サイン本販売などの情報は、そのつぶやきがされた当時のものになります。ご注意ください)
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B-PRINCE文庫編集部 @b_prince_novel

「ん……っ」 短く小さな高まりが訪れた。そうなると、最近、伊織は精液よりもっと薄い、透明に近い液がペニスからあふれ出るようになっていた。 #bp_novel

2016-03-08 23:16:04
B-PRINCE文庫編集部 @b_prince_novel

最初にそうなったときには、どこかおかしいのかと知識のないまま初めて精通した小学生のようにうろたえたものだが、貴船がよくなっている証拠だと嬉しそうに言ったので、もう気にしないことにした。 #bp_novel

2016-03-08 23:20:57
B-PRINCE文庫編集部 @b_prince_novel

どこまで彼はこの身体を変えていくのだろう。 もう後戻りできないところまで来ているのではないだろうか。経験が豊富だったとはお世辞にも言えない伊織だが、いまさら女性を抱いてこの貪婪な性欲が満たされるとは思えない。 #bp_novel

2016-03-08 23:25:43
B-PRINCE文庫編集部 @b_prince_novel

大きく貴船が身を引く。 「ああ……」 我ながら名残惜しげな声が出てしまう。 次には足を抱えられ、そのまま奥まで貫かれた。 #bp_novel

2016-03-08 23:31:58
B-PRINCE文庫編集部 @b_prince_novel

「こうするともっとあなたの深くまで届くから」 知っている。貴船のペニスがぎりぎり届く箇所に、やたらと感じる場所がある。そこまで到達されると、動いていなくても身体が絶頂を見る。はしたなくペニスは張りつめ、先端から精がこぼれて落ちる。 #bp_novel

2016-03-08 23:35:34
B-PRINCE文庫編集部 @b_prince_novel

それなのに完全な射精には至らず、ただただ頂点を長く味わうことになる。 「いい? ねえ、いい?」 まるで美味しいものを差し出して味はどうかと尋ねるみたいだ。 #bp_novel

2016-03-08 23:40:46
B-PRINCE文庫編集部 @b_prince_novel

「うん……うん」 何度もうなずく。 いい。よくてよくて。 「おかしくなりそう」 身体の中で貴船のペニスが脈打った。 伊織の身体の隅々まで、いっそ表面から発散しそうなほどに強烈なクライマックスが訪れた。 #bp_novel

2016-03-08 23:45:56
B-PRINCE文庫編集部 @b_prince_novel

今度こそ、精を噴き上げ絶頂に引きさらわれる。頭の中が真っ白になる。なにもなくなり、すべてが洗われたかのようだ。 それから、和紙に水滴が吸い込まれていく速度で現実の世界が戻ってくる。 #bp_novel

2016-03-02 11:20:05
B-PRINCE文庫編集部 @b_prince_novel

「ふう……」 力を失ったふたつの身体が重なり合う。 性の極み、余りに高い頂点は、ひとつの小さな死なのではないかと伊織は思う。いっとき、自分はどこか違うところに行き、また生まれ変わったのだ。そう信じてしまいそうになるほど、愉悦は死の深淵に近かった。 #bp_novel

2016-03-08 23:50:45
B-PRINCE文庫編集部 @b_prince_novel

もう一度、シャワーを浴びる。自分はパジャマを着込み、貴船は下着だけでベッドに横たわる。 眠りに落ちるまで、二人は様々な話をする。その時間が伊織はとても好きだった。 #bp_novel

2016-03-09 23:03:55
B-PRINCE文庫編集部 @b_prince_novel

暖かくなってきたからそろそろ夏物を出さないととか、次には茄子の揚げびたしが食べたいとか、今年はベランダでハーブを作ってみようとか。ほんとうにたわいないことを貴船の隣で聞いていると、満たされて不足などなにひとつないと思えてくる。 #bp_novel

2016-03-09 23:05:55
B-PRINCE文庫編集部 @b_prince_novel

そうしているうちに眠り込んでしまったのだろう。貴船の体温を背中に感じた。彼に背後から抱きしめられている。 「無理なことを、願っているのかもしれませんね……」 そう言うと、ふっと彼があきらめを含んだため息をひとつ、つく。 #bp_novel

2016-03-09 23:11:02
B-PRINCE文庫編集部 @b_prince_novel

そのときに伊織は、見てもいないのに貴船が浮かべている表情が目の前に浮かんだ気がした。きっと真剣な顔をしている。晩に自分にキスをしたときみたいに、この上もなくまじめな顔をしている。その真摯さを自分ははぐらかし続け

2016-03-09 23:16:02
B-PRINCE文庫編集部 @b_prince_novel

貴船のほうを向くことができない。そうしたら意地を張り続ける自信がない。きっと、陥落してしまう。彼がこのままここにいることを許してしまう。 だめだ。 #bp_novel

2016-03-09 23:20:50
B-PRINCE文庫編集部 @b_prince_novel

まだ納得できていない。それなのに、受け入れてしまったら、いざなにか起こったときに「やっぱりやめておけばよかったんだ」と逃げ道を作ることになる。 #bp_novel

2016-03-09 23:25:31
B-PRINCE文庫編集部 @b_prince_novel

日曜の夕方。いつものように貴船が帰り支度を始める。玄関先で口づけを交わす。 貴船はそのまましばし動かずにいた。彼のシャンパンカラーの瞳が自分を見つめている。 伊織の決意がぐらついていた。 #bp_novel

2016-03-10 23:03:22
B-PRINCE文庫編集部 @b_prince_novel

今、言うんだ。ひとこと、言えばいい。一緒に暮らそうと。おまえと次の段階に踏み出したいと。そう言えば。 貴船は喜ぶだろう。きっと、「やっと言ってくれたんですね」と言って、自分を抱きしめてくれる。 #bp_novel

2016-03-10 23:05:45
B-PRINCE文庫編集部 @b_prince_novel

そのまま甘い夜を過ごし、彼は月曜、ここから出勤することになり、次には引っ越してくるだろう。今だって彼は伊織の生活に溶け込んでいる。ともに暮らしたからといって何が変わるわけでもない。ただ、ひとこと言えば。 #bp_novel

2016-03-10 23:10:50
B-PRINCE文庫編集部 @b_prince_novel

いや、違う。 伊織は知っている。恋愛と生活は、まるで違う側面を持っている。愛情があったはずなのに、ともに暮らすうちに倦怠と堕落にまみれて、ときには憎しみにさえ変わっていく。その過程を身をもって経験した。 #bp_novel

2016-03-10 23:15:54
B-PRINCE文庫編集部 @b_prince_novel

それを乗り越える自信が、まだ自分にはない。 貴船。 目の前にいる、こちらを見ている男。彼を失いたくない。飽きられたくない。変わらないでほしい。ずっとこのままでいたい。 #bp_novel

2016-03-10 23:20:44
B-PRINCE文庫編集部 @b_prince_novel

「僕を、帰したいんですよね?」 愛しい存在に伊織は問いかけずにはいられない。 「どうしても、同居しないと気がすまないか?」 二人で生活していくことは、やがて終わりへと繋がるのではないのか。 「僕は、真剣なんです」 貴船が苦しげな表情で口にする。伊織は答える。 #bp_novel

2016-03-10 23:25:27
B-PRINCE文庫編集部 @b_prince_novel

「俺だって、いい加減にしているつもりはない」 「そうですね。ご家族にも紹介してくれましたし、僕の母にも会ってくれた。わかっています。でも、僕は、あなたが思っているより欲張りなんですよ」 #bp_novel

2016-03-10 23:31:24
B-PRINCE文庫編集部 @b_prince_novel

どこまで彼は自分に踏み込んでくるのだろう。身体は最初から陥落していた。心も明け渡した。 それでは足りない。さらに、さらにと手を伸ばしてくる。 自分だってそれに応えたい。どこまでも彼を受け入れたい。

2016-03-10 23:35:30
B-PRINCE文庫編集部 @b_prince_novel

けれど、どうしても、その決心がつかない。 長い沈黙のあと、ふう、と貴船が息を吐いた。伊織は肩の力を抜く。彼が引いてくれたのだ。 #bp_novel

2016-03-10 23:40:40
B-PRINCE文庫編集部 @b_prince_novel

「おやすみなさい、伊織さん」  優しい声で彼が言った。 「ああ」 「また、週末に」 「そうだな」 貴船は出て行き、ドアが閉まる。とたんに部屋はいきなり空虚になる。 #bp_novel

2016-03-10 23:45:40
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