ウサギ小説第三弾(千夜シャロ)

シャロ千夜の官能小説
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その夜の天気は良く、淀みのない黒い空に光る星と輝く月が映えていた。甘味処、甘兎庵の隣にあるあばら家にもその光は差し込み、同じ毛布に包まれた二人の少女を照らしていた。一人はこの家に住む桐間紗路。そしてもう一人は甘兎庵の従業員、宇治松千夜だった。「…」眠るシャロを起こさないように、千

2016-02-09 11:32:09
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夜はその月明かりに照らされた寝顔を眺めていた。彼女とは古い付き合いだった。しかし、今のシャロはリゼに思いをかけている事にももう気付いていた。…時々寂しくなる。それは決して親友を取られた嫉妬ではない。ただ、シャロの世界が広がるにつれ、自分がその片隅に追いやられてしまうような、ぼんや

2016-02-09 19:27:50
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りした不安が千夜を苛むのであった。今回二人が同じ布団で寝ているのも、シャロに余り物のおかずを渡しにいったついでに、成り行きでしているに他ならない。しかしいつまでそんな事が続くだろう?最後に彼女と一緒に寝たのはいつだっただろう?「はぁ…」そんなことを考えながら、月明かりに微かに輝く

2016-02-09 19:35:34
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シャロの髪を眺める千夜は思わずため息をつく。それに反応したかのように、シャロがころりと寝返りをうった。シャロは起きていた。「どうしたの?ため息なんかついて。眠れないの?」「ううん、何でもないわ。大丈夫よ」おやすみ、といいかけた千夜の口が止まる。せっかく起きてきたのだから、ひとつシ

2016-02-10 12:16:37
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ャロをからかうことにした。「シャロちゃんこそ、眠れないなら一つ昔話をしてあげようかしら?この街に本当にいる、さまよう骨うさぎのお話を」「こっ、怖いのは結構よ」「わぁっ」「きゃ~~!?」脅かしが余程効いたのか、シャロは悲鳴を上げて千夜に抱きついた。「あらあら、シャロちゃん?大丈夫?

2016-02-11 07:23:13
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」シャロは何も言わない。シャロはとっさに抱きついてしまったものの、千夜の身体の柔らかさに驚いていたのだった。最後にこんな風に千夜の身体を感じたのはいつだっただろう。「…」「シャロちゃん?」「…千夜、あったかい」シャロは千夜を離そうとはしない。いつも羨望の対象であった千夜の豊満な肉

2016-02-11 20:19:00
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体に密着する。「ねえ、シャロちゃん」自らに甘えるシャロに、千夜はあえて悩みをぶつけることを決心した。「私のこと、好き?」「好きって…」唐突な問いにシャロは千夜を見つめて目を丸くする。「そりゃあ、その…好きだけど」「じゃあ、リゼちゃんと私ならどっちが好き?」無粋な質問なのは自分でも

2016-02-11 23:06:32
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わかっている。だが、ここでシャロの答えを聞いておかないと、今夜は一晩中眠ることはできないだろう。「…なに、言ってるの」シャロは無表情だった。「どちらかなんて、選べない。先輩も千夜も、ココアもチノも、大切な友達だもん」…故に千夜は苦しいのだ。それらに埋もれて、自分がシャロの世界の隅

2016-02-12 00:11:36
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に追いやられてしまうことが。「…そう」千夜は納得がいった様子を無理に作ったが、聡明なシャロにはその不満、千夜の聞きたかったことがわかっていた。「…大丈夫よ、千夜。私の好きには色んな種類があるから。リゼ先輩への『好き』と千夜への『好き』は違うの。千夜には、リゼ先輩の前みたいな気持ち

2016-02-12 00:19:47
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にはならないけど、誰よりも私の事を解ってくれる、安心できる、そんな気持ちになれる」人が他人に対して抱く感情は沢山ある。「好き」の形も様々だ。シャロが千夜に対して抱くのは「安心」。帰るべき場所を与えてくれる、何気ない「おはよう」「おかえり」で出迎えてくれる存在。それがシャロにとって

2016-02-12 18:38:05
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の千夜の姿であった。「…ごめん、シャロちゃん。私、おかしかったね」シャロは自分を信頼してくれている。しかしそれを疑い、あろうことか千夜にとっても大切な、他の仲間と比べさせるようなことを言ってしまった。「あんた、時々変な所で失敗しちゃうよね。いいわよ、気にしてないから」シャロは千夜

2016-02-13 09:06:04
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の胸に顔を埋めた。「けど、どうしても申し訳ないなら…今夜は、このまま寝させてよ」そのまま胎に収まる子どものように、千夜の腕の中で身体を丸めるシャロ。「あら、だったら私あんなこと言っちゃったし皆にも申し訳ないから、日替りで一緒に寝てあげないといけないかな」「…それは、なんか複雑だし

2016-02-14 08:42:51
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やっぱり却下かな」それだけ言うと余程気持ちがいいのか、シャロはすぐにすうすうと寝息を立て始めた。「千夜…」しばらくして寝ているはずのシャロが突然口をきき、千夜は少しどきりとした。「いつも…ありがと…」寝言なのか、寝たふりなのかはわからない。だが、今の千夜どちらでもよかった。「シャ

2016-02-14 10:05:22
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ロちゃん」そう呟くと、母親が子を寝かすようにシャロの背中をぽん、ぽんと一晩中、やさしく叩き続けた。 翌日、昼間にも関わらず千夜は眠ってしまっていた。 今日の仕事は休みであり、シャロと共にラビットハウスに遊びに来ていたが飲み物を待つ間に意識を失った。前日の夜、ほとんど寝なかったの

2016-02-14 12:31:10
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が原因だろう。「千夜、大丈夫?」目の前には心配そうなシャロがいる。「平気よ、シャロちゃん。ちょっと眠くなっただけ」「結局あれから眠れてなかったのね」「シャロちゃんが可愛くて、つい眺めちゃったわ」「そうなの!?は、恥ずかしい…」そこに二人分のカップをのせたトレイを持ったリゼがやって

2016-02-14 12:34:40
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きた。「聞いてたよ。一緒に寝てるなんて、シャロと千夜は仲がいいんだな」「せ、先輩!?そ、それはですね、ええと、深いわけが…」「なんだか、家族みたいだな」「家族…?」リゼは意外の反応を見せる。「ああ。家族だ。千夜がお母さん、シャロが娘みたいな感じかな?」「私達みたいに姉妹っていうの

2016-02-14 12:39:32
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もいいね!チノちゃん!」「ココアさん仕事してください」カウンター奥のココアをチノが遮る。「家族…ね。千夜と、私が…」「そういうのもいいわね、シャロちゃん。生まれし日は違えども死ぬときは同じ、ってね」「ちょ、縁起悪いわね…」千夜の胸の中は、いつの間にか軽くなっていた。これからもシャ

2016-02-14 12:43:32
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ロのお母さんで、姉妹で、時には娘であり続けよう。そう思いながら飲むコーヒーは、いつもより甘く感じた。

2016-02-14 12:46:11