@pugmark_keikoさんの『ルワンダからの便り』

NHK及び民放のネイチャリング・ドキュメント番組ディレクターの第一人者、@pugmark_keiko(森啓子)さんが、アフリカ大陸のほぼ中央部に位置するルワンダに、絶滅危惧種のゴリラの取材を敢行! 「ルワンダ」その国は1994年の内紛を機に一気に世界の注目を集めた小国だ。その模様は映画『ホテル・ルワンダ』『ルワンダの涙』etc.としても描かれている。 その後、内紛時代に海外へ脱出したツチ族(ディアスポラ)のうちの200万人近くが帰国し、海外で習得した様々なスキルで国の復興に尽力して「アフリカの奇跡」を実現しようとしている国だ。 続きを読む
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Keiko Mori @pugmark_keiko

【ルワンダ日記】今日はインプンドゥとの闘いに明け暮れた。あ、インプンドゥはマウンテンゴリラの子どもで、ヒルワ一家の一員なのだが、人間が好きでどうしようもない。おそらく火山国立公園のゴリラの中で一番人間好き。群れに近付いていくと真っ先に飛び出してきて、遊んでもらおうとする。

2011-07-08 04:12:21
Keiko Mori @pugmark_keiko

【ルワンダ日記】手でパンチとか足で蹴りを入れるとかは、ゴリラの子どもの「遊ぼうよ!」という誘い。昔、ダイアン・フォッシー博士が調査を始めた頃は、ゴリラの子どもとスキンシップも楽しんだらしいが、最近は人間の病気がゴリラに移るというので7メートル離れて観察するのがルールになった。

2011-07-08 04:15:55
Keiko Mori @pugmark_keiko

【ルワンダ日記】パンチされても、彼らの大好きなレスリングをするわけにはいかない。京大教授の山極寿一さんによると、ゴリラのお腹は『ぼよ〜ん』としていてあったかいそうだ。さ、触ってみたい。山極さんはフォッシー博士時代に研究者として入っていたため、7メートルルールはなかった。羨ましい。

2011-07-08 04:20:27
Keiko Mori @pugmark_keiko

【ルワンダ日記】今朝のヒルワ一家。メスたちが食べものを捜しに、すでに歩き出しているのに、主人であるムニニャが動かない。私は双子を抱えたカバトゥワというメスを撮影しているので、彼女の後を追いたいのだがトラッカーのマジョロに止められた。「ケイコ、シルバーバックの前を行くのは危ない。」

2011-07-08 04:25:24
Keiko Mori @pugmark_keiko

【ルワンダ日記】ここはサビーニョ山のクレーター突端で、足場の無い急坂。この坂をトラバースするようにゴリラが作ったトレイルは一本しかない。ここを順番に歩いて行くのだが、カバトゥワに離されてしまうと一日捜せなくなってしまう恐れがあるので、ムニニャを待ちきれず、一本道を歩き始めた。

2011-07-08 04:30:51
Keiko Mori @pugmark_keiko

【ルワンダ日記】すると、あれほど動かなかったムニニャが直ぐ後から付いてきた。シルバーバックは大きいので凄い迫力だ。頭は私の4倍くらい。それこそパンチされたら、クレーターを転げ落ちるに違いない。マジョロと私はトレイルからじりじりと下がって、細い竹が密生している坂を降りた始めた。

2011-07-08 04:35:15
Keiko Mori @pugmark_keiko

【ルワンダ日記】予想に反し、ムニニャは私たちの前を通り過ぎず、どっかりと目の前に腰を降ろした。チャンス!ムニニャを撮ろう。あ、フォーカスが来ない。望遠レンズが付いているからだ。ぐずぐずで不安定な足元にザックを降ろしてレンズ交換をしていると、インプンドゥめ、どこで見ていたのか?!

2011-07-08 04:47:09
Keiko Mori @pugmark_keiko

【ルワンダ日記】するすると竹を登ったインプンドゥがてっぺんに到達するや2本の足で竹につかまり、私に向かって体全体を投げ出してきた。げえっ!上から来たの?!こんな時マジョロは竹の切れ端でインプンドゥを脅すのだが、ムニニャが見ているのでどうすることもできない。「ケイコ!帽子!帽子!」

2011-07-08 04:51:42
Keiko Mori @pugmark_keiko

【ルワンダ日記】寸でのところで帽子を押さえた。インプンドゥはよく知っている『父親が見ている前ではどんないたずらをしても人間は抵抗しない』と。ゴリラ語では「アッアッアッ!」と言うと拒否を意味する。インプンドゥが帽子めがけて何回も竹をしならせてくるのを「アッアッアッ!」と叱り続ける。

2011-07-08 04:57:11
Keiko Mori @pugmark_keiko

【ルワンダ日記】「アッアッアッ」と言うと、いつもならすごすごと引き上げていくくせに、ムニニャの前ではへいっちゃらだ。インプンドゥはめげずに突進してくる。彼との闘いの中で私はムニニャの、口をへの字に引き結んだ顔を撮った。ハンサムではないのだが、なかなか味のある顔をしている。

2011-07-08 05:00:27
Keiko Mori @pugmark_keiko

【ルワンダ日記】ムニニャが去り、やっと苦境を脱出した私たちは、ゴリラたちが食事の後、昼寝をする場面に居合わせた。しかも双子の目の前!ところが真後ろにインプンドゥと母親のマラロ、あちゃ!!!マジョロが連絡をしたいとトランシーバーを持って席を外した。すかさずインプンドゥがやってきた!

2011-07-08 05:05:26
Keiko Mori @pugmark_keiko

【ルワンダ日記】インプンドゥがマジョロのマチェテ(薮を切り開くためのナタ)を手に取った。うわ!このマチェテ、振り回されたら私はどうなるの?!足元の坂にいるカバトゥワ(双子の母親)に向かって落ちちゃうし、きっとカバトゥワで止まらず、この絶壁を落ちちゃう。絶対絶命!

2011-07-08 05:17:56
Keiko Mori @pugmark_keiko

【ルワンダ日記】ところが、目を開けた母親のマラロが手を伸ばした。なんと!インプンドゥが素直にマチェテを渡した!マラロは自分の頭の脇にマチェテを突き刺し、また眠り始めた。マジョロが戻るとマラロは黙ってマチェテを返した。ゴリラの母親はなんて聡明なの?!とても素敵な気持ちになった。

2011-07-08 05:22:41
Keiko Mori @pugmark_keiko

【ルワンダ日記】世界的に人気のスサ一家を訪ねたのだが、今日ほど、どきどきしたロケはなかったな。スサは32頭のマウンテンゴリラ一家なんだけど、森に入って10分も歩かないうちに点々と滴る血を見つけたのだ。「これ、血じゃないすか?」と言ったのはポーターだった。

2011-07-17 00:47:20
Keiko Mori @pugmark_keiko

【ルワンダ日記】真っ青な空、降り注ぐ太陽、明るい緑の葉。その上に真っ赤な血、血、血。半端じゃないの。10数メートルに渡ってまだ乾ききっていない血が並んでいる。あいつら、またやったな!「ゴリラの血ね?」「待ってください、まだ確認中です。ブッシュバックとか小動物かも知れません。」

2011-07-17 00:50:19
Keiko Mori @pugmark_keiko

【ルワンダ日記】「てことは、密猟?」まさか村のこんな近くで?血をたどって行くと昨晩のゴリラたちの巣(寝床)が見つかった。さらに足跡を辿ると、いた!スサ一家だ。頭の上まである高い草原で体を埋もれるようにして食べている。草の陰から「くるくるくる。。。」という声。「クリラの交尾です!」

2011-07-17 00:56:14
Keiko Mori @pugmark_keiko

【ルワンダ日記】なるほど発情しているメスがいるってことね。「クリラ、ルワンダルーシャ、ビシモ、イギシャ、、、」トラッカーが1頭1頭の体をなめるように見回していく。「キキがいません!」ま、またなの!?

2011-07-17 00:58:41
Keiko Mori @pugmark_keiko

【ルワンダ日記】ゴリラの一家はふつう、オス1頭にメス数頭と子どもたちという構成である。ところがスサグループには1970年代からずっとオスが3頭以上いる。たまに大きくなった息子がまだ群れを出ていかないためにオスが2頭という状態があることはあるが、それは父親が年をとった時に限る。

2011-07-17 01:01:03
Keiko Mori @pugmark_keiko

【ルワンダ日記】スサ一家のように、壮年期の『クリラ』が率いる群れに、クリラとは血縁に当たるのかどうか分からない『イギシャ』というオスがいて、その次にクリラの息子の『キキ』がいるなんて、不思議なのだ。しかも、すべてのメスがクリラのものという典型的ハーレムでもなさそうなのだ。

2011-07-17 01:11:12
Keiko Mori @pugmark_keiko

【ルワンダ日記】クリラはイギシャに対しては寛容で、交尾していても知らん顔のことがあるそうだが、キキが交尾することは断じて許さない。ただしクリラが直接手をくだすわけではなく、イギシャが飛んできて制裁をくわえるのだ。しかしキキも17歳、交尾したいよね。そして、血を見ることになるのだ。

2011-07-17 01:17:25
Keiko Mori @pugmark_keiko

【ルワンダ日記】捜し回ってやっとキキが薮の中にうずくまっているのを見つけた。食べている。ということはそんな重傷でもなさそうだ。しかし左手しか使わない。あああ、左手の手の甲に牙で噛まれた跡が、3か所。そして、右手首がちらっと見えた。ぱっくりと開いた裂傷。ここから血が流れていたのね。

2011-07-17 01:20:39
Keiko Mori @pugmark_keiko

【ルワンダ日記】しかしあれだけの血を流した割には、傷が乾き始めている。ゴリラの免疫力はスゴイのだ。「もう群れを離れたらどうなの?」心の中でつぶやいた。しかしキキは一家の動きにジッと耳を澄まし、イギシャが脇を通過すると、自分も身をオコシてそれに従っていった。ゴリラのオスは辛いな。

2011-07-17 01:24:29
Keiko Mori @pugmark_keiko

【ルワンダ日記】ではなぜキキは独立しないのか。通常は、成獣になり背中が白くなると(シルバーバックと呼ばれる)生まれた群れを出て、1人暮らしを始める。が、このヒトリオスの暮らしも厳しい。メスの一人歩きはないので、どこかの一家にそうっと近付いて、メスを誘惑し連れ出さなければならない。

2011-07-17 01:54:58
Keiko Mori @pugmark_keiko

【ルワンダ日記】一家の主は、軒並みクリラほどの巨体でケンカについても実力者。メスを誘惑しているのに気付かれれば、キキなど木っ端微塵にやっつけられるのは必定だ。それよりも、たまに怪我をさせられても、手近に居るメスと隠れて交尾できればそれでよしとする生き方もあるのだろう。

2011-07-17 02:00:51
Keiko Mori @pugmark_keiko

@Shogo_Asao 浅尾先生いまどちらですか?私はひと月ほどの予定で日本に帰国しました。一度お会いしたいんですが。教えていただきたいことがいろいろあります。

2011-07-26 10:41:43
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