最期の時(亮）

うさぎ🐰ときどき妄想してました @eitars_h

1 『…大丈夫か？』 「ん…っ…」 『もっと泣いてええねんで？』 冷たくなった"彼"をなでる私の肩をそっと抱き寄せる 大切だったのに… 「…この子の最期看取ってあげられなかった…」 『…しゃあないやんけ』 「ん…っでもっ幸せに…安らかに逝けたのかな…っ」 #最期の時

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2 安らかな寝顔を見てると沢山のこの子との思い出が溢れてきて、涙が止まらなくなる 「私ね…最期の瞬間を思うと辛くて見てることできなかったんだ…ひどいよね」 『ひどいことなんかないやん』 亮ちゃんも鼻声 『幸せそうな寝顔してるで？』 #最期の時

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3 「本当に？ほんとにそう思う？だってっ…傷つきたくなくて辛いことから逃げたくて離れることを選んだんだよ？」 『…せやな。でもさ、それでも…こいつは幸せだったと思う…ウン、やなかったらこいつ浮かばれへんやん』 「この子も寂しいって言えたらよかったのに…っ」 #最期の時

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4 堰を切るように泣きじゃくる私を自分の胸に押し付けて 『自分の最期を予期した人が、大切な人にあえて会わないようにしたりするやん？ 辛い思いをさせたくない。自分もしたないって気持ちからやろ この子もさ、きっと強くて賢い子だったからそう思ってくれてるて思う』 #最期の時

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5 「でも私はきっと いざ自分の最期になった時には大好きな人に側にいて欲しいし、寂しくて耐えられないと思う…」 それが…ずるいと思うから 尚更この薄情な自分が許せない… どうして気付いてあげられなかったんだろう 夢にさえ出てもらえなかった… #最期の時

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6 『…俺も同じやで、おまえと…。でも、例え離れたってさ、恨まへんよ。最期くらいさ、相手の幸せ願いたいもん…愛された記憶があるなら尚更』 気恥ずかしそうに、涙を浮かべて微笑む亮ちゃんが、ふわふわの毛をした"彼"に見えた もしかして "彼"はここにいるのかな？ #最期の時

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7 15年以上生きると妖怪になると聞くけど… 『なん？』 「え？」 『なんか笑わへんかった？』 「笑ってた？」 『おん。 思い出し笑い？なんか幸せなことでも思い出したん？』 そっか そうだね 幸せな思い出、沢山あった… #最期の時

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8 この子の言葉は聞けないけど もしかしたらちゃんと幸せだったのかもしれないな …あなたのおかげで私も幸せだったから ありがとう だから、最期くらいあなたが幸せだったと願わせて… 『…落ち着いた？』 「ん…だいぶ」 『じゃあそろそろ行く？』 「…そうだね」 #最期の時

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9 あなたは煙になって空高く飛んでいく いつかまた出会えるといいな どんなカタチでも ちゃんと見つけるよあなたを その時まで またね 亮ちゃんの手が私の手を取りギュッと握りしめた そのまま… 私たちは"彼"を乗せた煙が見えなくなるまで空を見上げていた… #最期の時