とりいそぎ

ここ最近のろぐ
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認められない。 とりたてて目立った容姿でもなく、また愛嬌があるわけでもなければ、今後仕事仲間として接するであろう普通の女の子に抱く感情が『恋』に等しいものだと。 人気モデルとして羨望の的で言い寄ってくる女性も沢山いて(言い方は悪いが)ずっと選べる立場だった自分が、よりによって。

2016-02-24 07:52:33
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ただちょっと直向きで素直でーーだけど一筋縄でもいかないし、したたかな時もあって、ところどころ面倒で思い通りに動いてくれなくて、ゆうくんとの橋渡し役にはならなかったし、考えれば考えるほど腹を立てる理由こそあれ、恋になる理由は全くもってないのだ。だから、これは恋とは呼べない。

2016-02-24 07:56:18
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だいたい、もし仮に恋だとして、自分で納得のできる理由も出揃ったとしたところで、自分は『アイドル』なのだから言ったところでどうにもならない。少し自らで稼いでいるからといって社会的には何の安定も生み出せない子どもでしかも人気が売り物の職業で軽々しく『好き』など言えるわけがない。

2016-02-24 08:00:08
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とすると、この感情は同性の後輩に抱くものと同じだと処理すればいい。俺は先輩だから。お兄ちゃんだから。彼女を妹のように目にかけて育ててあげているだけだ。自分にはそれができるし、今後のために必要だと思ったからでそうした。いま恩を売っておけば後々返してくれるだろうし。それだけでーー

2016-02-24 08:03:16
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「私は、この先も先輩についていきたい。そばにいたい……好き、だから」 感情に折り合いをつけて、隙なく言い訳を並べたと言うのに、彼女はまた軽々しく『好き』だと言う。それを言ってどうなるの? この先っていつまで? 約束できないことを簡単に口にするものじゃないと突っぱねるべきところだ。

2016-02-24 08:06:30
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「そう。好きにすれば」 それなのに気づいたら勝手に口が動いていた。その恐れを知らない幼さ愚直さは自分にないもので、危うくて、やはり自分が守ってやらなければいけないと言い訳した。 「あんたなら許してやってもいいよ」 これを『恋』だと認めない。ただ、彼女をみすみす離す気もないのだ。

2016-02-24 08:10:50
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恋だと認めない以上、この関係は形容しがたいものになる。二人の間をつなぐのは信頼、友情、思慕、寵愛ーー代わりになる言葉を探して当てはめようと、彼女が他所を向いたときに手を引く立場にはなり得ず、彼女の直向きさが唯一の支えだとすると到底安心できるはずもなく苛立ちは募るばかり。

2016-02-25 21:53:09
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人の気持ちほど移ろいやすいものはない。「何を信じろって言うわけ」ーー完全なる八つ当たりだ。ホロホロと溢れる涙を見ても、手を伸ばして拭う覚悟もなかった。「好き」だと、そんな簡単な一言ですら発せないままにもつれて固まった想いの行き場はどこにもない。

2016-02-25 22:00:55
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「おれが言うのもアレだけどさ」 五線譜にペンを走らせる横顔を、机に肘をついて眺める。 学校から足が遠のいていた数か月の間に状況は変化しており、その発端となった彼女はどこからどう見ても普通の女の子だ。 「お前も結構へんなやつだよな!」 彼女の存在には純粋に興味があった。

2016-02-25 22:33:59
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もしかしたら宇宙人かも? 妖精なのかも? 妄想は膨らませば膨らませるほど頭の中で音楽が溢れてくる。いくつもの楽器の音色が際限なく鳴り響く。止めないで。止まりたくないんだ。 その点彼女はとても利口で、余計な横やりを入れない子だった。目を輝かせて観察するおれに怯むことなく、

2016-02-25 22:35:22
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たまにペンの頭を唇に当てたりしながら、音符を書き連ねた。 ここはこうしたほうがいい! ここはこのメロディはどうだ? 言いたいことをぐっと堪えるのはなかなか難しいことで、つくづくおれは先生なんか向いてない。 「おれに作曲教わるとかさあ」 どうして彼女が気になるのか、挙げ始めたら

2016-02-25 22:36:34
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きりがなく。 「…………そうですねぇ……」 できた、と小さく呟いて彼女が譜面を持ち上げた。 「まあ、変人同士」 直向きに五線譜へと向けられていた瞳が、まっすぐに、おれを映した。 「末永く、よろしくお願いしますね」 微笑んだ…ように見えた。 想定外の回答に面食らって、言葉を失った。

2016-02-25 22:39:59
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こんな経験、随分としていない! なんて新鮮なんだ! 新しい感情はまた新しい曲になる。 「よろしくな、あんず!」 今に見てろ! おれはお前の正体も、フワフワしたこの感情も、必ず暴いてやるからな! 「最近王さまの曲ラブソング多くない?」

2016-02-25 22:40:56
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好きだと言わない代わりに、君に贈る言葉を考えた。「……貴様にひとつ仕事を与えてやろう。神崎率いる新しい紅月と、衣更が作る新しい生徒会の様子を定期的に報告してくれ。毎週必ず……月に一度は直接顔を合わせるようにするか。心配と同じだけ期待もしているんだ。頼まれてくれるか?」(蓮巳敬人)

2016-03-05 23:06:13
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空の高さ、眩しいほどに青い色に訳もなく苛立っていたあの日も最早遠く過ぎ去り、いまや懐かしさと同時にさみしさを覚える。漂う真夏の香りに何度も思い出すのは、きらきら輝いた青春の日々と、決して美人ではない女の子があくせく働く姿。『あんずって呼んであげる』と言ったら彼女は初めて笑った。

2016-03-08 01:00:29
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好きだと言わない代わりに、君に贈る言葉を考えた。「まぁ俺も人のこと言えないんだけどさ、似てるからわかるっていうか。いつでも頼ってくれよ?ましてお前は女の子なんだし……いや、そこで拗ねるなよ。仲間外れとかじゃなくて……とにかく、俺くらいは、女の子扱いしたっていいだろ(衣更真緒)」

2016-03-08 22:50:48
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「どうしましたか?」首を傾げるさまはあどけなく愛らしいのに「何のことかのう?」「少し、焦っているように見えます」鋭くも隠したかった本性を暴こうとする。その無邪気さは守りたいと思う反面、憤りすら覚える。「嬢ちゃんにそう見えるとしたら…」伸ばせない手の行き先は--「焦っとるんじゃよ」

2016-03-11 23:16:57
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「…やっぱり、今日の先輩はおかしいです。いつもと違う…」「そうかえ?」「…普段なら、隠そうとするから」不安の滲む瞳が真っ直ぐにこちらを射抜く。「余程のことがあったんですよね?私にできることはありませんか……っ」最後まで言わせる気にはどうしてもなれなかった。抱き寄せた肩は華奢で、

2016-03-11 23:25:51
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力を込めればすぐ折れてしまいそうで「そう迂闊なことを言うものではない」「先輩…?」「請うたら、その身を差し出してくれるのか?いただいたら最後、誰の目にも触れぬ場所に閉じ込めて…」存分に愛でてやろう。彼女も俺も、飢えないように。「…なんてな。冗談じゃから、そんな顔をせんでおくれ」

2016-03-11 23:31:11
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好きだと言わない代わりに、君に贈る言葉を考えた。「もしも、あんずに出会うのがもう一年早かったら。あんずが一年早く生まれてたら。最近、そんな妄想をよくするんだけど、結局、結末はいまと同じじゃないかな! おれはこう言うよ。何はともあれ、ありがとうな。おれを見つけてくれて」(月永レオ)

2016-03-12 00:26:54