米澤穂信による「日本おとぎミステリー」

面白かったのでまとめて読み返す用
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米澤穂信 @honobu_yonezawa

「お宅に向かう足跡はソリに潰されていますが、帰って行く足跡は読み取れます。僕は、重なった足跡から人数を割り出す方法については短い論文を書いたこともあるのです。請け合いますよ、この財宝を持ち込んだのは六人組だ。そして……少々大胆な推測ですが……そのうちの一人は、笠をかぶっていない」

2015-12-18 01:57:04
米澤穂信 @honobu_yonezawa

「枯木に花は咲かない……誰もがそう思っていました。しかし、咲いた。満開の桜を見て犯人は愕然としたことでしょう。しかしここからが、今回の事件の真に悪魔的な部分です。犯人は愛犬の遺灰を用い……(傍点→)花を咲かせたのは自分であるかのように装う(←傍点)ことで、容疑から逃れたのです!」

2015-12-18 02:01:10
米澤穂信 @honobu_yonezawa

「今回の事件の謎は、犯人が乗馬には巧みでありながら、馬の扱いには不慣れだったのは何故かという点に尽きます。その答えを求めて、彼に静岡県まで聞き込みに行ってもらいました。その結果は私にも信じがたいものでしたよ。彼は幼い頃……馬術の稽古のため、熊にまたがっていたというのです」

2015-12-18 02:06:53
米澤穂信 @honobu_yonezawa

「彼がすぐに箱を開ける保証はない……確かにそうです。彼女もそれは承知していた。彼女にしてみれば、それは一種の賭けだったのです。自身の殺意の分だけの蓋然性があれば充分だった……。彼女はたった一言、彼の耳元にこう囁くだけでよかったのです。『この箱は決して開けてはなりません』……とね」

2015-12-18 02:09:54
米澤穂信 @honobu_yonezawa

「唯一の出入口の前には一晩中彼がいたのですから、これほど完全な密室はありません。強固な先入観さえ取り去れば、あとは至って簡単な算数だ……。彼女は、鶴だったのです。そして彼女イコール鶴という前提の上に立てば、なぜ現場に足跡がなかったのかという謎も氷解します。……飛んだのですよ!」

2015-12-18 02:43:54
米澤穂信 @honobu_yonezawa

「あなたは彼に重い火傷を負わせ、唐辛子を塗りつけた……。彼は気絶したそうじゃないですか。その彼がなぜあなたを信じ、泥の船に乗ったのか? あなたにはその理由がわからなかったのですか。彼はずっと悔いていた……。あなたに殺されることだけが、自分にできる唯一の贖罪だと信じていたのです」

2015-12-18 02:49:29
米澤穂信 @honobu_yonezawa

「蟹を恨む者はなかったとは言えますまい。早く芽がでないやつは切ると公言していたそうじゃないですか。そう脅され続け、ようやく芽が出ればおいしいところを持って行かれる……。猿は確かに蟹に暴行を加えましたが、それを好機と捉え、とどめを刺した人物があの場にいたのではないでしょうか……?」

2015-12-18 03:04:43