テキトー論など

上野桜木にて開催された布施琳太郎1人展「布施なき世界」内にて開催された布施琳太郎×仲山ひふみのトーク「人工知能のエコーチェンバー」を契機としたツイートのまとめ。 布施琳太郎 1994年生まれ 東京芸術大学在 映像や詩を想像力の媒介として、新しい物語の条件について考えている。複合的なインスタレーションの形態をとることが多い。
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KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

「テキトーにやっておいて」は非常に強い自発的な責任主体を想定しているように俺は思う。それに対し千葉君のアンチ・エビデンス論は、主体による判断を殆ど介さずにすませられるほどの陳腐な情報にあらゆる「判断」が還元されることへの批判では。 twitter.com/masayachiba/st…

2016-03-21 18:39:08
千葉雅也「エレクトリック」『新潮』2月号 @masayachiba

ひふみ君のテキトー論が展開されている。どうでもよさ whateverness やケアレスネスの話を僕が出してもしばしばなかなか理解されないのだが、この「テキトーにやっといて」の例は実践的だしわかりやすい。「アンチ・エビデンス」の話につながる。

2016-03-21 18:26:57
KoichiroKOKUBUN國分功一郎 @lethal_notion

だから文脈はよくわかんないんだけど、二つは違う気がする。綾屋さんの議論は極めて重要と思われるので、ちょっとしたご紹介です。 twitter.com/masayachiba/st…

2016-03-21 18:39:57
仲山ひふみ Hifumi NAKAYAMA @sensualempire

僕は今「テキトーさ」を狡知と捉えた。しかしそれを、むしろ知性の限界として捉えることも可能である。「先輩」は「特異的スットコドッコイ」という(個人的に)理解不可能な他者を否認し、テキトーな指令を出すより他なかった。ならば「先輩」は「大いなるテキトーさ」のオルガノンにすぎないのか。

2016-03-21 18:44:24
梅ラボ @umelabo

布施くんの個展を見た。殺戮すべき、布施なきセカイ、全体的にめっちゃラフだったが行われたパフォーマンスの話を聞いたらけっこう面白そうだった。作品が、布施くん本人の魅力とエッジさに追いついて欲しい。

2016-03-21 18:45:30
仲山ひふみ Hifumi NAKAYAMA @sensualempire

明らかに問題は「先輩」に特権的なるかの不安Angstに集約されつつある。「後輩」の不安は相対的なものにすぎない。「後輩」だって以前いた場所では「先輩」だったかもしれないのだ。「先輩」の「テキトーさ」に内包された論理が指し示すもの、それは換言すれば「中間的なもの」の不安であろう。

2016-03-21 18:48:28
仲山ひふみ Hifumi NAKAYAMA @sensualempire

ここで「先輩」が抱く不安を、カフカが提示してみせたオドラーデクに対する父の不安に漠然と関連付けてみせることもできようが、オドラーデクは最初から相当にスットコドッコイだから、「特異的スットコドッコイ」の条件からむしろ離れているかもしれない。また「先輩」は父ではないのかもしれない。

2016-03-21 18:53:39
仲山ひふみ Hifumi NAKAYAMA @sensualempire

具体的で個別的(特殊的)ものから、たとえば質と量などの概念的規定を抽出することなく、いきなり抽象的真理に到達することを目指す思考法というものが存在する。典型的なのは禅の公案である。しかし別に禅を参照するまでもなく、私たちは普段から「公案のようなこと」を実践している。

2016-03-21 19:03:33
仲山ひふみ Hifumi NAKAYAMA @sensualempire

僕が究極的に言いたかったことを今、先取りするかのように言ってしまえば、それは「「テキトーさ」とは何かという問い自体がテキトーに立てられ、テキトーに答えられるより他にない性質のものであるということを、テキトーでない仕方で論証するやり方がおそらく存在する」ということである。

2016-03-21 19:17:24
仲山ひふみ Hifumi NAKAYAMA @sensualempire

「先輩」という形象に託されたもの、それは「テキトーさ」の内実を説明することの絶対的不可能性というよりも、それをテキトーでなく、真面目に説明することへのインセンティブの絶対的調達不可能性、とでも言うべきものなのである。

2016-03-21 19:19:09
仲山ひふみ Hifumi NAKAYAMA @sensualempire

一応國分さん方面に向けて断りを入れておくと、アルバイトでの先輩/後輩関係のように十分にマニュアル化されてなさそうな(あくまでそう見えるだけの)労働の場面に現れる「テキトーさ」が、新自由主義的なそれ含むシステムの論理の管理下にあるのではという疑念は、たぶん共有されていると思います。

2016-03-21 19:37:03
仲山ひふみ Hifumi NAKAYAMA @sensualempire

僕が「テキトーにやっといて」における通常の「テキトーさ」とは別のものとして考えている「根源的テキトーさ」は、むしろ「テキトーに」やることが上手くできるわけでも下手にできるわけでもない存在(自閉症者は微妙なラインです)が引き起こすハプニングとして、純粋に理論的に想定されています。

2016-03-21 19:40:58
仲山ひふみ Hifumi NAKAYAMA @sensualempire

なぜそんな現実味のない存在について考えているのかというと、そもそもこの言葉が、ある若手作家の個展でトークをした際に出てきたものであり、その作家の癖というかむしろ美的理想(?)を僕なりに翻訳しようとした結果出てきたものであるからだ、という実に他愛ない背景説明をする他ないのですが。

2016-03-21 19:48:32
仲山ひふみ Hifumi NAKAYAMA @sensualempire

ところで「テキトーにやっといて」を実行することができないという事例には、与えられた条件の中で自由に選択するという行為がそもそも合理的にはできないという話と、不明瞭にしか示されていない条件を自分自身で「常識的に」構成せよという命法の暴力性という話が、混在していると考えられます。

2016-03-21 19:55:41
花房太一 @hanapusa

テキトーさをテキトーに捉えること。

2016-03-21 19:55:49
花房太一 @hanapusa

テキトー〈さ〉というとテキトーじゃない気がする。あくまで、テキトー〈に〉捉えること。

2016-03-21 19:57:54
花房太一 @hanapusa

しかし、テキトーさの〈さ〉が"...hood"なのであれば、それでいいのかもしれない。

2016-03-21 20:02:20
仲山ひふみ Hifumi NAKAYAMA @sensualempire

条件の内部での自由な選択(自発性)の問題は、判断の瞬間に不可避的に侵入してくる非合理性の問題であり、ポスト構造主義の主体批判の文脈に大まかに関連付けられます。自閉症者の事例は健常者の主体性の構造の「異常性」を逆説的に照らし出し、健常者基準のシステム一般に対する批判にもつながる。

2016-03-21 20:06:40
仲山ひふみ Hifumi NAKAYAMA @sensualempire

条件を「常識的に」構成せよという命法の暴力に関する問題は、より強い意味での「テキトーさ」の問題を含んでいると言えます。実際、多くの健常者、「後輩」たちはここで失敗を犯すわけです。しかもそこでの失敗と成功の配分は、労働内容の具体的教育過程として、あらかじめ予測されている側面もある。

2016-03-21 20:13:39
布施琳太郎 @rintarofuse

ボクと仲山さんのトークから拡張され、はじまっているようなので、テキトーに言及しますと、テキトーさとは論理的な文法、思考の限界を突破するための態度であり、シニフィアンの持つ可能性を爆発させるための態度です。 twitter.com/sensualempire/…

2016-03-21 19:58:42
布施琳太郎 @rintarofuse

@sensualempire シニフィアンっつても、別にテキスト的な話ではなく、ボクの場合であればインスタレーションや映像内の各オブジェクトが持ちえる意味の可能性がボクの想像から跳躍した方がいい。それに勿論、作品空間においては「特異的スットコドッコイ」は願って止まないものです

2016-03-21 20:04:42
布施琳太郎 @rintarofuse

@sensualempire 更にボクに引き寄せて言えば、鑑賞者というものが具体的な人ではなく抽象的な人間や未来の人工知能、宇宙人などを想定することで、論理的な正しさを無視し、テキトーに美意識に集中することができる。これは21世紀になって人類が手に入れた地平ッポイです。

2016-03-21 20:08:07
布施琳太郎 @rintarofuse

@sensualempire 更に更にいくと、テキトーさを命令「する」側としてでなく「される」側として遂行するには、様々な判断を保留したままに行動しなくてはならない。しかし、そこで方法序説的なブレない構造を用意してしまうとテキトーではない態度になってしまう→

2016-03-21 20:12:57
布施琳太郎 @rintarofuse

@sensualempire そこでボクは美意識というものがテキトーさを駆動させるために機能すると考えます。美意識ほどテキトーなモノはありません。いくら反省的に何かを構築しても「美はまだ存在しない」ので何も立ち上がり得ない。でも未だ存在しない美への羨望はテキトーを加速させ駆動する

2016-03-21 20:20:39
仲山ひふみ Hifumi NAKAYAMA @sensualempire

で、僕自身はこの二種類の「テキトーさ」の問題(条件内部での選択と条件そのものの選択)が、もはや区別がつかなくなるようなある地点を考えており、そこにおいてこそ「特異的スットコドッコイ」とか「根源的テキトーさ」なるものを考えてみることも必要だと思っているわけです。

2016-03-21 20:33:28
仲山ひふみ Hifumi NAKAYAMA @sensualempire

「先輩」が健常者的にさらっと言ってのけた「テキトーにやっといて」を、文字通りテキトーにやったら壊滅的な失敗を見るかもしれない。その危険を察知したからこそ「要領の悪い奴」は質問を投げかけたのかもしれない。「要領の悪い奴」はそもそも要領が悪くないのかもしれない。

2016-03-21 20:39:53