叶音@薫ちゃんカレンダー委託中
@canonxxx
針葉樹林が生い茂る山の頂上からすこし下ったところに、水源があった。その小さな泉のそばの、木のうろに、きゃのちは住んでいた。
2016-03-22 22:57:19
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@canonxxx
穏やかな日々を過ごしていたが、山にはやがて人間たちがくるようになった。水源を囲んですこし下ったところに、ダムをつくろうとしたのだ。きゃのちは似たような場所を探したが、中々見つからなかった。少し悩んだあと、沼地に住む鼠を訪ねることにした。鼠は自らを天使だと自称していた。
2016-03-22 23:00:34
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@canonxxx
きゃのちはその鼠をチンチラに似た生き物の集合した魂の集まりだと感じていたが、大きな耳はどのくらい聞こえるのだろうかといつも思っていた。綺麗な泉には住んでいたが、沼地の生活も悪くないだろうと思った。
2016-03-22 23:03:05
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@canonxxx
きゃのちはなぜ天使なのにこのような沼地に住んでいるのか、穢れがないのかと尋ねた。鼠は曖昧に笑った。鼠のことを全て知る必要も感じなかったので、きゃのちは黙って一緒にミミズを探すことにした。大昔から生きているというミミズの精霊なら、人間を追い出す方法を知っているのではないかと考えた。
2016-03-22 23:07:14
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@canonxxx
やがてミミズの精霊がでてきた。彼は答えた。ダム計画は我々の手ではどうにもできない、人間に触れることすら叶わないのだから、と。きゃのちは少なからず落胆した。鼠は尻尾で床を掃除していた。
2016-03-22 23:10:19
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@canonxxx
しかしある日ダム工事は突然終了した。雛見沢ダム計画は頓挫したのだ。きゃのちは理由はわからなかったが、鼠に別れを告げ、泉のそばの木のうろにもどった。ひぐらしのなく頃に、私たち精霊は密かな勝利を得たのだーー…!おしまい
2016-03-22 23:12:24