その前のエルフさん
え? まってまって。理解が追いつかない。 目の前の男は三浦道寸じゃなくて影武者で、しかも現代人? おんなじ境遇の人? 戦国武将っぽくてかっこいいとか思っちゃったよ恥ずかしい!
2016-04-01 12:37:26「あんたがあの? 道路族の汚職議員の?」 「カカッ! そう褒められても困る! その通り! 昨日のお主の様子がおかしかったのでな、これは御同類かと声をかけた次第である!」 いま汚職議員って言葉をナチュラルにスルーしなかったか?
2016-04-01 12:38:55「でも、まてよ? 猪牙ノ助さん、あんたそんな顔だったっけ?」 「うむ。お主のエルフと同じであろう。吾輩は三浦道寸とおなじ容姿を持ってこの時代に来たのだ」
2016-04-01 12:39:52ともあれ、仲間が居るってのは心強い。 こちらでは先輩になる爺さんと、知識を交換し合って……やっぱり詰んでるって認識を新たにして。
2016-04-01 12:41:09「ひょっとすると、わしら以外にもこの時代に来た人間が居るかもしれぬ。吾輩と嫁女殿の立場ではそうそう会うことも叶わぬでな、符丁を考えておかぬか?」 「ああ、まあ影武者と当主の嫁じゃなあ……じゃあ、どうする?」
2016-04-01 12:43:59「どのような理由でもよい。要件に“火急の”とつけるとしようではないか。それで、わかるであろう」 まあ、連絡を取ること自体、そんなにないだろうしな。簡単でいい。
2016-04-01 12:44:10「いや、息子も倒れてて、三浦道寸まで現代人なんてことになってたら、それこそ終了だろ?」 「……」 おい、なんだその無言は。
2016-04-01 12:45:00「まつさん、様子を見て来てくれる?」 「はい」 うなずいて出て行ったまつさんが、しばらくすると顔を輝かせて戻ってきた。
2016-04-01 12:49:35「本当によかった……まつ、旦那様はお元気だった?」 「すみません、城の人たちが押しかけてて、お会いできませんでした」 しょんぼりするまつさん。
2016-04-01 12:51:06「お姫さまも、人の入りが落ちついたらお会いしに行きましょうね」 「ええ。病み上がりであまり騒ぐのもあれだし……まつさん、旦那様の様子を気にかけておいてくれるかな?」 「はいっ!」 元気良く返事するまつさん。
2016-04-01 12:51:40そんなことをうだうだと考えてると、先ほど元気な返事をして出て行ったまつさんが戻ってきた。 「お姫さまっ! 旦那さまがお呼びですっ!」 早いよっ!
2016-04-01 12:54:06