最優秀脇役男優賞受賞記念　「迷信深い老人」役　ロングインタビュー

迷信深い老人 @meishin_elder

【最優秀脇役男優賞　受賞記念ロングインタビュー】

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――このたびは、最優秀脇役男優賞受賞おめでとうございます。 「ありがとうございます。これまでの様々な作品での活動を認めてもらったということで、純粋に嬉しいですね。それともちろん、一番は支えてくださったファンの皆様への感謝です」

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――「迷信深い老人」としてのキャリアがおよそ二十五年になると伺いました。 「もう二十五年になるのか、という感じだね。一つのことを四半世紀やり続けると道になるのかな。まぁ実は「迷信深い」俳優としてのキャリアはもう少し長いんだけど」

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――と、言いますと？ 「カメラの前で最初に演じたのが「迷信深いローティーン」役で。台詞は「ダメだよ。ボク、男の子だよ……？ この神様への生け贄は十八の生娘って代々伝わってるでしょ？」の一言だけ。半世紀以上も前のことだけど、今でもよく覚えてるよ」

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――ものすごい記憶力ですね(笑)　 やはり演技を見込まれたんですか？ 「いや、自主制作映画に毛が生えたような作品だったんで、人手が足りなくて無理やり出させられたんだけどね(笑)　それで演技って面白いな、と思って劇団に入ったんだ。その映画の監督が主宰してる、アングラ劇団(笑)」

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――そこから俳優人生がスタートしたわけですね。 「そう、そこで一気に世界が広がった。でも当時はとにかく食えなくてね、大変だったよ。飯を買う金もないから、お地蔵さんのお供え物を勝手に食った仲間が腹壊したりして。祟りだとか罰が当たったとか言ってたけど、明らかに食中毒だよね(笑)」

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――のちの役作りにそうした経験が影響している、ということでしょうか？ 「うーん、今考えるとそうなのかな。「迷信深い」を養成する土壌があの劇団にあったのかも。その時は考える余裕もなかったけどね。そうこうしているうちに劇団が少しずつ有名になって、僕にも多少は仕事が来るようになった」

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――時代劇に出演なさっていたのもその頃でしょうか。 「そう、仕事が来始めた頃。そこでも「迷信深い浪人」だったのは、もはや運命かもしれないね。「先生お願いしやす！」で刀を抜いたのに、「むむっ、刀に曇りが。何やら不吉な予感――」とか言ってるうちにバッサリ切られる、ひどい役(笑)」

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――その後、海外にも活躍の場を広げられます。 「活躍、というほどじゃないけど (笑)　時代劇を見た海外のテレビ局からなぜかオファーが来て。向こうのクイズ番組で日本の迷信を紹介するコーナーに2年ほど出演したんだ。結局未だになんで僕が指名されたかはわからないまま(笑)」

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――なるほど、それが海外で随分好評だったそうですね。 「お蔭様で同じような番組にいくつか出たけど、なぜかいつも同じ浪人の格好で同じような役どころばっかりだったから――日本から見れば「迷信深い邦人」(笑)　ここまで来ると筋金入りだ」

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――そんな歴史があっての「迷信深い老人」だったわけですね。 「当人としては意識してたわけじゃなく、来る仕事を拒まず受けてたらいつの間にかそうなっちゃった、という感じだけど。そのイメージがつく前、途中までは偶然なんだろうけど、不思議と言えば不思議だね」

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――強烈なイメージを残すハマり役ですが、役を演じる上で何か心がけていることなどありますか？ 「うーん……強いて言うなら、自分自身を背景だと思うことかな。一つの役、一つのキャラクターではなく、背景である、と」

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――背景、ですか。 「街並みや草木のように、セリフや表情、しぐさ、たたずまいで、この場所――村、地域、更には世界全体がどのようなところかを表現し、没入してもらうのが我々の仕事なわけで。だから受け手側に僕個人のイメージが残るのは、まだまだ修行が足りないのかもしれませんね」

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――長年のキャリアから滲み出る、深いお言葉ですね。では逆に、ハマり役があることで困ることはありますか？ 「やっぱり一つの役柄が固定されると、本人もその役のイメージで認識されちゃうんですよね。僕自身もそうですけど、劇団の同期で、ハマり役があるせいで悪人っぽく見られる奴がいて」

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――「汚い金持ち」で有名な、あの方ですね(笑) 「そうそう(笑)　本人めちゃくちゃいい奴なのに街歩くと色々言われたりするみたい。僕と彼は対立する役柄になることも多いし、やっぱり仲悪いの？なんて聞かれるけど、すごく仲良いですよ。一昨日も都内の赤ちょうちんで二人で呑んでたし(笑)」

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――それは是非拝見したいツーショットです(笑)　イメージと言えば、毎年エイプリルフールの特別番組では、イメージを活かしつつ壊すような役作りをなさっていますね。 「あれはもともとプロデューサーの発案ですね。ある種のセルフパロディとしてやりたい、と」

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――２０１４年度の探検隊シリーズでは、隊長役かと思いきやナレーターなどでのご登場でした。 「僕自身があの番組のファンだったんですが、だからこそやはり隊長は力強い人にやってほしいと思いまして。スタッフ一同と協力して、本当にいいドキュメンタリー作品が撮れたと思います」

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――２０１５年度は、狂気に満ちた立ち居振る舞いが素晴らしかったです。 「自分で見直してて、ちょっと驚きました。何か憑いてたかな(笑)　「らしさ」と「らしくなさ」の両立のために、台詞なんかにも相当手を入れて、プロデューサーともかなり意見を戦わせました」

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――今年はどのような趣向でしょうか？ 「それをばらしちゃったら面白くないじゃないですか。　……ある意味「迷信深い老人」の屋台骨を揺るがすようなものになる、とだけ申し上げておきましょう」

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――楽しみにしております。ところで、数々の作品に欠かせない名バイプレイヤーとして活躍なさっておられますが、このたびなんと主役を演じられるそうですね。 「はい、『冥神エルダー』という特撮映画です。僕は主役で変身ヒーローという、これまでにない役を演じさせて頂くこととなりました」

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――変身ヒーローというと子供向け、という印象がありますが。 「『冥神エルダー』のターゲットは、お年寄りです。体は弱るし頭は呆けるし死期が近づくし、なにかと弱気になりがちな僕ら高齢者世代に元気と活力を与えられれば、と。そして若い世代と張り合おう！と(笑)」

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――我々若者としては、お年寄りにあまり元気になられると困りますけどね(笑)。 「まだまだ若い者に負けん、知識と人脈と老獪さを駆使して、死ぬ前に一花咲かせよう！ そして目指すはピンピンコロリ！ そういうメッセージのこめられた映画です」

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――なるほど。では最期に、読者の方々にメッセージを。 「ええい、たわけめが！ その塚を壊してはならん、一刻も早く工事を取りやめるのじゃ！ 伝説によれば―― は、離せ、儂は真実を言うとるだけじゃ！ 祟りが……」 ――ありがとうございました。 （2016年3月某日、某所にて）

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『冥神エルダー』　STORY：のどかな山奥の村に突如現れた侵略者・ゴーリ星人。彼らによる破壊を避けて鎮守の祠に逃げ込んだ一人の老人に、祠の主ヨモツカミが悪と戦う使命、そして力を授けた！ えーっ、儂がヒーロー!? 全ての老人に贈る、ノンストップ「迷信」活劇エンタテインメント！