- all_zen_bu
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信ちゃんの誕生日。 毎年言ってる『死ぬほど忙しい』時期。 グループの番組も増えて、自分の舞台もあって。 毎年、前の年より少しずつ確実に忙しくなってる。 そんな中どうにか会える時間を作ってお祝いしてきたけど…。 とうとう今年は…。 『ゴメン、ちっと無理そうやわ。』 渇いた文字。
2016-01-27 02:24:15『分かった、大丈夫。』 『深夜まで収録で、朝イチ移動やねん。帰れへんならそのまま泊まりやと。』 『うん。あとでいいから時間出来たらゆっくりお祝いしよ。』 そのメッセージに返事は、来なかった。 私が大丈夫って言ったから、安心したんだよね、きっと。 分かってるのに、心がスースーする。
2016-01-27 02:24:19こんな時、 『ヤダ!!ちょっとでいいから会いたい!!おめでとう言いたい!!』 とか、言えたらいいのかな…。 なんで飲み込んじゃったんだろう。 信ちゃんのため?? 困らせたくないし。 期待してガッカリしたくない、臆病な自分のため…。 情けない。 色々考えてそう返事したはずなのに。
2016-01-27 02:24:23なんとも言えない虚無感。 (素直に言うたらええ) って今まで何度も本心を見破られて、デコピンされて、でも最後には抱き締められてきた。 「はぁ…」 盛大なため息に、自分でも驚く。 食べられないかも、と分かっていたのに、作ってしまったケーキのせい?? 見られないように処分しなきゃ。
2016-01-27 02:24:45捨てちゃうケーキが自分に見えてきて、じんわり涙が出てきた。 明日職場に持って行って、食べよう。 ケーキに罪はないもん。 覗いた冷蔵庫の扉を閉めた。
2016-01-27 02:24:49目が覚めても、信ちゃんはいなかった。 ドラマの見過ぎだね。 鏡には少し腫れた瞼。 今日はゴミ出しの曜日…。 そんなとこは妙に冷静で、なおさら自分が可愛くないような気がした。 会社に向かう準備をする。 我ながら往生際が悪いけど、迷いに迷って、冷蔵庫にケーキを1ピースだけ残した。
2016-01-27 02:24:54いつもより少し早めにゴミ置き場に向かう。 投げ込んで蓋を閉めて駅に歩を進めてたら…。 後ろからプッとクラクションを鳴らされた。 ハッと顔をあげると見慣れない黒い大きな車。 信ちゃんだ!!!! 見たこと無いけど、たぶん仕事用の移動車。 マネージャーさんとか、メンバーとかいるかも…
2016-01-27 02:25:00そう思ったら足が動かない。 でも、でも、顔くらい、見てもいいかな??いいよね?? 角を曲がった車のあとを走りたい気持ちを抑えて、ゆっくりと追い掛ける。 停車しているところに近づく。 スライドドアが開いて、腕を引っ張られた。 「いっ、た!!」 荷物ごと引きずり込まれて膝を打つ。
2016-01-27 02:25:03背中でドアの閉まる音がした。 むぎゅ、と力任せに抱き寄せられて、息が苦しい。 間違えるわけ無い、 信ちゃんの匂い。 信ちゃんの腕。 信ちゃんの体。 思い切り深呼吸する。 「あ、ねぇ、運転手さん…は??」 「っお、前、一言目それかぁ!?」 「だって、」
2016-01-27 02:25:06「誰も乗ってへんわ。マネージャーその辺歩いとけって言うといたし。」 「えぇ!?寒いのに、」 「10分くらい死なへんわ!!」 「じゅ、っぷん…」 「もぉ、貴重な時間、説明に使わすなや。」 「信ちゃん、」 「やっぱり、…昨日泣いたやろ??」 目を見て言われる。 「信ちゃん、」
2016-01-27 02:25:11「コレ、ケーキか??」 「信、ちゃん、」 「なんや、さっきから。」 涙で前が見えなくて、やっと見えた信ちゃんは、 いつもの八重歯に笑顔で。 「お誕生日、おめでとう…」 「やっと笑ったな。」 プニュって下から、片手で頬っぺた挟まれて。 唇がタコみたいに尖る。
2016-01-27 02:25:18そのままチュ、と先端にキスされた。 それからずっと首にしがみついて離れない。 あっという間に10分経って。 「ほな行くわ。」 マネージャーにメールして、 笑顔で車から降りる。 ケーキは俺のやって言って、奪われた。 信ちゃん、大好き。
2016-01-27 02:25:27産まれてきてくれた奇跡を、 これから先も、 ずっと隣で感謝させてね。 『おめでとう』の次は、 『おかえり』で迎えるから。 おしまい♡ pic.twitter.com/egof4tJAcT
2016-01-27 02:25:36