星街の花冠

星杜@without Borders @hosimori025

ヒーローはいつも私たちの思い荷物を何にも言わないで一緒に背負ってくれるの。ご婦人はそう言って微笑んだ。心も命もへし折れそうな時に彼らを思うと生きるか死ぬかって選択で揺れてた気持ちが少し生きるに傾くのね。後は自分次第だけど。その1gはとても重いのよ。#春のTB花冠祭り

星杜@without Borders @hosimori025

いつもいつだって「生きる」に傾けるのよ。ヒーロー達はそんな凄いことをやってのけてるだなんてきっと知らないわ。知る必要もないんだと思う。だって重すぎるでしょう。彼らも人だもの。そんなに重いものを背負わせちゃいけないわ。それは私たちが背負わなきゃいけないものね。#春のTB花冠祭り

星杜@without Borders @hosimori025

だけど、私どうしてもお礼が言いたかったの。ジャックが幸せに生きて、幸せに旅立って行ったこの街が大好きだって。ヒーローがくれた時間が私たちにとってどれだけ大切なものだったか伝えたくてたまらなくて今日この街にきたのよ。付き合って下さってありがとう、運転手さん。#春のTB花冠祭り

星杜@without Borders @hosimori025

言うとご婦人はふわっと両手を広げて空を仰いだ。途端にいっそうご婦人の春そのものをぎゅって詰め込んだみたいな薫りが強くなり、体が青く光り始める。ネクストだったのかって驚いていられたのもつかの間だった。ゴールドから見渡せる全ての街並みに花と言う花が舞い散り始めた。#春のTB花冠祭り

星杜@without Borders @hosimori025

俺たちがタクシーで辿ってきた道を中心に種類も見分けられないほどの花が一斉に咲き誇って広がっていくのが見えたんだ。一瞬の奇跡みたいだった。花はあっという間に広がってあっという間に消えていく。胸のすくような香気を残して街中をあますところなく包み込んで。　#春のTB花冠祭り

星杜@without Borders @hosimori025

ちょっと大きな花冠ね。ご婦人はあははと少女のように笑う。ご婦人の荷物は全部空っぽになっていた。春を詰め込んでつれてくる。とても風変わりなネクストなんだって。俺は背中をどーんて叩かれた気がした。そりゃ地面の中にもぐって暖かい春が来るのを待ってたんじゃダメなんだな。#春のTB花冠祭り

星杜@without Borders @hosimori025

チャンスなんていつくるかわからない。俺は冬篭りのクマみたいに閉じこもるのをやめた。扉開けて歩いていかなきゃなんない。一分でも今はヒーローじゃなくても。俺の何かが誰かの何かに繋がってるんだって教えてもらったから。諦めてる場合じゃねぇな。#春のTB花冠祭り