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つかないものなのか、とぼんやり考えていると再び視界に彼の顔が現れる。 「この色は、他の誰でも無い僕の色だ」 一彩君はまるで誰かと間違えるなとでも言うような言い方をしながら、先程己が付けたキスマークを撫でる。じわりと痛みが広がって、まるで毒がまわるようだった。
2022-05-03 08:14:26![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
「…部長、今から僕は優しく出来る自信が無い。でももう元には戻れないけど、いいよね?」 それはもう確認ではなく、ただの報告だった。俺に問いかけるような口調で、選択肢を与えられていないのだ。 「…出来れば優しくお願いするッス」 「努力はしてみるよ」 あまり期待出来ない言い方に、案の定
2022-05-03 08:14:26![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
言葉とは裏腹な行動に移られて、なすがままになる。息をするのも必死になる。苦しくなるくらいに何度だって口づけを交わして、安心させてくれたかと思えばすぐに敏感なところを何度も攻めてくる。自分でも考えられないような声を上げて、色んな感情がぐるぐると渦巻く。ここから先に、何があるのだろう
2022-05-03 08:14:26![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
恐怖と気持ち良さで何も考えられなくなる。喘ぎ声の中に一彩君の名前を混ぜると、彼は嬉しそうな顔をしていた。彼が嬉しそうだからと何度も名前を呼ぶ。次第にその名前を呼ぶのすらしんどくなってくる。溺れてしまう。沢山甘やかされて、抜け出せなくなりそうだ。 「鉄虎」 いつのまにか部長呼びじゃ
2022-05-03 08:14:27![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
なくなった彼が、もう限界だと言った。もうぐちゃぐちゃになっていてうまく言葉を紡ぐ事が出来ない俺は、唯一出来る頷くという動作すら下手くそだった。 いつの間にか、怖いという気持ちが無くなっていた。何度も押し寄せる快感に、抱いていたはずの恐怖心すら心地良く思えていたのだ。
2022-05-03 08:14:27![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
「鉄虎、僕はキミのことが大好きだ。愛しているよ」 全てが終わって、力尽きた俺はただベッドに横たわるしか出来ずにいる。一彩くんは今頃になって自分の気持ちを口にする。そんな事とっくに分かっているのに、改めて口にされるとやはり嬉しいという気持ちで満たされた。
2022-05-03 08:14:27![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
「…さっき言ってくれれば良かったのに」 照れ隠しにそっぽ向いて言うと、一彩君の嬉しそうな声音が聞こえた。 「ならば今からもう一度言ってあげるよ」 何という事だ。こちらはもう力尽きているというのに、彼はまだこれからだとでも言いたげに再び優しく抱き寄せてきたのだ。驚いてそちらを向くと、
2022-05-03 08:14:27![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
彼はニコニコ嬉しそうに笑っていた。 やはり俺には選択肢が無いようだと息を吐こうと唇を開くと、すかさず彼はそこに吸い付いてきた。どうなってしまうのかを知ったから、もう恐怖は無いはずだった。ただ、押し寄せる快感にまだ慣れなくて怖くて泣いてしまう。一彩君はそんな俺すらも愛おしそうだった
2022-05-03 08:14:28![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
「少しくらい隊長の事好きだって言って欲しかったな。…俺、南雲のことが好きなんだ」 そう言った隊長は寂しそうに笑っていた 「やっぱり、鬼龍には勝てないか」 仕方ないよな、なんて笑っているのに 「でも諦めてやらないぞ?」 隊長が俺を好きだなんて、考えた事無かった
2022-08-24 19:54:34![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
あの日、南雲鉄虎が死んだ 犯人は捕まらないらしい 見つからないのではなくそこに居たのに 今はこの世の何処かでのうのうと暮らしているそうだ。 「聞いたか?あの坊ちゃん、今結婚して高1になる息子が居るらしい。高校1年生の」 ああ神様 高校1年の彼に罪は無いけど、それは南雲だって同じだった
2022-08-24 19:59:19![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
「お前さ、いい加減俺んとこ来んのやめたら?何にも出ないよ」 「?俺、何か欲しいって言いましたっけ」 溜息を吐く 彼がそばに居るのに、きっと理由なんて無いのだ (無害なおっさんなんかじゃないんだけどねぇこっちは)
2022-08-24 20:01:11![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
「僕は部長が好きだよ」 一彩君の瞳は、まるで光を集めたみたいにキラキラして見えた 「…何で、俺なんスか。好きな人っていうのはほら、もっと漢らしい人とか、綺麗な人とか、可愛い人だとか」 「僕にとって、それは部長だよ。僕には部長が一番素敵だと思うんだ」
2022-08-24 20:07:54![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
あーあ、ついにこの日が来ちまった。 スピーチしてくれだなんて何言やあいいんだか。 でも、俺以外のやつに頼むのはおかしな話だしな。 仕方ねぇから俺がやってやるか、なんて言ってはみたけども。 (ああ、でも一番可愛い姿を俺の隣で見たかったな)
2022-08-24 20:15:50![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
久しぶりに舞台に立つことになった 友人に連絡をとろうとして、そういえば彼らはどうしているのかとSNSを開く …いつのまにか、俺は彼らの友人ではなくなっていた あの頃ずっと友達でいようだとか臭い事言っていた本人が、俺を友達から外してしまっていた 「…まぁ会う事も無いだろうし、仕方ないか」
2022-08-27 13:59:56![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
がたん、と何かが倒れる音が聞こえた。 誰かの苦しそうな息遣いが、一瞬だけ聞こえたようか気がした。 「…鉄?」 返事がない。 コーヒーを淹れてくるとニコニコ笑っていた大事な後輩の気配が、何処にも見当たらなかった。 #死という言葉を使わずに死を表現してみろ
2023-05-06 11:26:20![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
ばしゃん、と水がぶつかる音が聞こえた。 波紋が広がる。 彼はこちらを見て穏やかな笑みを浮かべている。 水が彼を飲み込んでいく。 「やっぱり、僕も一緒にいけばよかった」 彼の姿は、きっと今から追いかけても見えやしないのに。 #死という言葉を使わずに死を表現してみろ
2023-05-06 11:32:02![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
「じゃあ、また明日」 「また明日」 心中穏やかじゃないはずの彼は意外にも笑ってくれていた。大丈夫なのだと思っていた。 耳障りな電車の急ブレーキ音が聞こえて振り返る。 何かが電車にぶつかったのが見えた。 (ああ…返して欲しいなんて言わなければ) #死という言葉を使わずに死を表現してみろ
2023-05-06 11:34:22![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
鉄虎君とまた喧嘩した。 翌朝、謝られて謝って、仲直りした。 鉄虎君とまた喧嘩した。 今度はいつまで経っても仲直りできなかった。 今度は俺から謝らなくちゃと思っていたのに。 #死という言葉を使わずに死を表現してみろ
2023-05-06 11:38:40![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
何処かで聞こえる彼の声に姿を探してしまう。 僕と居る時とは違うその声音に、少しだけ羨ましく思った。 #愛という言葉を使わずに愛を表現してみろ
2023-05-06 11:55:26![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
@mntenst 光の例 実は守沢千秋に内緒で喜ばせたくてお料理(火は使わない)か縫い物をしている南雲鉄虎。指に絆創膏を貼って帰ってきたのを見ぬけた守沢千秋は鉄虎を心配して「この怪我はどうしたんだ?」と訊く。けど守沢千秋のためにやってる事なので言えない南雲鉄虎は「何でも無いッスよ」
2023-06-01 01:31:18![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
@mntenst 闇の例 千秋に嫌がらせしようとしてるのを見た南雲鉄虎は阻止しようとしてモブに暴力を振るわれる。顔に傷つけて帰ってきた鉄虎を見て千秋は「この怪我はどうしたんだ?」って冷たく見て言います。さっきまでおかえりって明るい声だったのにびっくりするくらい低い声で。からの「何でも無いッスよ」
2023-06-01 01:35:26