#高原の花二輪 ~Twitter百合小説~

まとめました。 ※こちらもどうぞ 「この孤独な景色を与えたまえ」 ~Twitter百合小説~ 【 http://togetter.com/li/965177
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蝉川夏哉 @osaka_seventeen

『小説家になろう』さまで細々とファンタジー小説を書いている者です。『邪神に転生したら~』と『異世界居酒屋「のぶ」』『第七異世界のラダッシュ村』 ツイートの転載は原則お断りしております。 連絡先:tance422(あっとまーく)gmail.com

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森田季節🥕スライム24巻、漫画13巻発売! @moritakisetsu

しかし寺社巡り小説は出せるのに百合小説は出せないんだな。どんだけ百合小説の市場狭いのか……。かなり百合小説が出るようにいろいろ手を打ってきたけど、本当に百合小説をどうやって出していいかいまだに答えが出せてないです。

2016-04-19 23:46:31
森田季節🥕スライム24巻、漫画13巻発売! @moritakisetsu

無限に言い続けるけど、百合小説出してくれる編集さんいたら、誰か紹介してください。あと、百合小説少ないなと思ってる人は、早くどこかの編集者になって力貸してください。

2016-04-19 23:58:31
みかみてれん @teren_mikami

@moritakisetsu 主人公がTSして女の子と恋するタイプのお話なら、なろうでもたくさんあるんですよねえ……。

2016-04-20 00:13:30
森田季節🥕スライム24巻、漫画13巻発売! @moritakisetsu

@teren_mikami TSと百合はやっぱりちょっと違うんですよね…。揺さぶる心の場所が違うというか……。

2016-04-20 00:17:25
森田季節🥕スライム24巻、漫画13巻発売! @moritakisetsu

美少女にキスされないと死ぬ病気とかになれば合法的にキスできる気がするが、恐らく現実は甘くなくて死を選ばされる気がしてきたので、やっぱり健康が一番です。

2016-04-20 00:22:55
蝉川夏哉 @osaka_seventeen

「定期的に美少女の接吻を受けなければ死ぬ病」を発症した女性が山奥の療養院で美少女に世話されながら生きるのだけど、次第に美少女に心惹かれてしまう。でも美少女は義務で接吻してくれているのだからと冷たく当たってしまうのだけれども実は両想いでお互いに気後れしてしまっている系病弱百合。

2016-04-20 00:27:20
みかみてれん @teren_mikami

@osaka_seventeen 蝉さんのツイートで萌えさせられるとか、一生の不覚。書いてよ!

2016-04-20 00:33:43

 
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蝉川夏哉 @osaka_seventeen

「ここでならきっと良くなりますよ」 嘘だ。 婦長の言葉は美雪の耳には虚しく聞こえた。 この病気は、決して快復することはない。 高原の澄んだ空気に抱かれた静かな療養所が、美雪にとっては終の棲家となるのだ。 ”接吻病”は、今の時代でもなお、不治の病だった。 #高原の花二輪

2016-04-20 00:45:40
蝉川夏哉 @osaka_seventeen

窓から見える七月の高原には名も知らぬ花が短い季節を咲き誇っている。 綺麗だが、虚しい。 美雪は転地療養所とは名ばかりのこの隔離施設でこれから暮らすことになる。 あの花と同じだ。 夏が終われば、散ることになる。 病に快復はない。ただ、進行を緩めることができるだけだ。 #高原の花二輪

2016-04-20 00:48:55
蝉川夏哉 @osaka_seventeen

「神辺、美雪さんですか?」 婦長の代わりに部屋に入って来たのは、まだ十五、六の少女だった。 口調はおずおずとしているが、瞳に讃えられた光は力強い。 彼女は”志願者”だ。 哀れな”接吻病”の患者の魂を救う為、安らぎを与える者。 「ええ、そうです。貴方は?」 #高原の花二輪

2016-04-20 00:52:21
蝉川夏哉 @osaka_seventeen

ナース服の少女は佐渡深雪、と名乗った。 字は違いますが同じ名前ですね、と微笑む笑顔が眩しい。 中学校を卒業してすぐ、志願したという。 「これからよろしくお願いしますね」 ぺこりと頭を下げる深雪に、美雪は何も返事をしなかった。 何も返す言葉を持っていなかった。 #高原の花二輪

2016-04-20 00:55:44
蝉川夏哉 @osaka_seventeen

「……んっ」 深雪による”治療”は、少し長い。 療養所に来る前に隅田川沿いの綺麗な病院で診て貰っていた時はもっと事務的な”治療”だった。 「同じ名前の美雪さんには、早く良くなって貰いたくて……」 深雪の笑顔には屈託がない。 美雪は、深雪に小さく頷くしかできない。 #高原の花二輪

2016-04-20 01:00:03
蝉川夏哉 @osaka_seventeen

深雪は何故こんな仕事に志願したのだろう。 唇が触れ合う僅かな時間に、そんなことを思う。 深雪は美雪に自分のことをあまり話さない。 話題は今日は鳥が可愛かっただの、花が咲いていただの、そういうことだけだ。 他愛のない話を聞いているだけなのに、どうして胸が痛むのだろう #高原の花二輪

2016-04-20 01:03:06
蝉川夏哉 @osaka_seventeen

療養所には麓から週に二度、荷物が運ばれて来る。 実家から預けられているお金の範囲で、患者は嗜好品を頼むこともできた。 「美雪さん、これ、本当に頂いていいんですか……?」 深雪に渡したのはチョコレートだ。銀座に店を構えていて、なかなか良い味をしていたのを覚えている。 #高原の花二輪

2016-04-20 01:05:45
蝉川夏哉 @osaka_seventeen

目をキラキラさせてチョコレートを深雪が口に含む。 その唇を、美雪は無理矢理奪った。 深雪の瞳が見開かれ、身体が強張る。 ”治療”ではない、”接吻”。 だが、深雪は拒まなかった。 二人の間を、溶けたチョコレートの甘味が、行き交う。 #高原の花二輪

2016-04-20 01:08:24
蝉川夏哉 @osaka_seventeen

「ご、ごめんなさい」 我に返った美雪が口を離し、謝る。 唇からはチョコレート色の糸がついと引いていた。 「あ、いえ、その、ごめんなさい!」 美雪は手の甲で口元を拭いながら謝った。 その動作が、美雪には堪らなく哀しかった。 その晩、美雪は一人で泣いた。 #高原の花二輪

2016-04-20 01:11:42
蝉川夏哉 @osaka_seventeen

翌日、美雪は”治療”を拒んだ。 深雪が来ても顔を背け、白くなるまで唇を噛み締める。 悲しそうな顔をして「キスをさせてください」と懇請する深雪を無視していると、悲しさと共に歪んだ喜びが美雪の胸の中に生じる。 美雪は、そんな自分の醜さが堪らなく嫌だった。 #高原の花二輪

2016-04-20 01:14:01