・・年下の彼・・

安岡くんと栄斗先輩の本編
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❥❥年下の彼 @bluesweetie83

・・年下の彼・・ 1. 「栄斗せんぱぁーい!見とってくださぁい。先輩のために打ちまぁーす!」 「はいはい。」 適当に手を振る。 「今日も直球だね、あのコ。」 「直球過ぎるよ。」 (やすおかくぅーん♡) 黄色い歓声が飛ぶ。安岡くんは特大のホームランを打った。

2016-04-09 13:30:43
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2. *** 安岡章大。職場の後輩。 かわいい外見にふわふわした話し方。愛嬌があって優しい。 その反面、芯が強くて男気がある。 そのギャップが最大の魅力らしく、つまるところモテる。 現に… ** 「ありがと。けど俺、好きな人いてんねん。ごめん。」

2016-04-09 13:41:24
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3. しっかり目を見て優しく、でもきっぱりと。 (ああいう風に言われるとね。) 頷いて去っていく女の子。 てかあのコこないだも告白されてたよね。 (どこがいいんだか) まぁ、憎めない奴ではあるけど。 * 「先輩!ごめんなさい!遅れましたぁ!」

2016-04-09 13:44:10
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4. 「はいはい、お忙しいようで。」 「え、何か知ってるんすか。」 「何をですかね。」 「あ!先輩見とったん?!告白されとんの、妬いてた?!」 「全然。」 「少し?」 「全く。」 大げさにため息をつく安岡くん。 「なんで彼女作らないの?」

2016-04-09 13:46:02
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5. 「ちょ!誰がそれをさせへんのですか!」 「さぁ…?」 「もぉ先輩!一回飯、お食事行きましょ?」 「1時間後ね。」 「社食ちゃうくて!」 わたしのことを、「スキ!」らしい。 ** 「いいコだと思うけど?安岡くん。」

2016-04-09 13:48:22
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6. (約束ちゃう!)拗ねる安岡くんを置き去りにして同僚とランチ。 「うん、いいコ。とってもいい“コ”。」 「冷たいねぇ。」 「だってわたしは、」 わたしは…何だろう。 *** 「食べた?ご飯。」 昼休みが終わってデスクに戻る。 「食えてません、傷心で。…あ!」

2016-04-09 13:51:21
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7. 「傷心で焼肉弁当ねぇ。」 「…。」 (あ…、) 安岡くんのデスクトップ画面。 「ん?何すか?」 「ねぇ、それってどこ?」 「これ?ベリーズ。前に潜ったことがあって。すっげー感動したんです。」 ……。 「先輩?」 「…え?」

2016-04-09 14:06:53
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8. 「どうしました?」 「いや、綺麗だなって思って。」 「うん、ステキなとこです。」 「そう。」 ベリーズ…。 pic.twitter.com/psmjcRHv77

2016-04-09 14:10:59
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9. *** 「ありがと。ここで大丈夫。」 「おん。あ、明日からちょっと忙しくなんねん。しばらく連絡取られへんかも。」 「そっか。わかった。無理しすぎないで。」 「そっちもな。」 「じゃまた落ち着いたら、」 「うん。」 遠ざかる車を見送る。 (落ち着いたら、)

2016-04-09 14:14:50
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10. 何?連絡して?会いに来て? …私を見て? 横尾くんとそういう関係になってから1年過ぎた。身体を重ねた数は心がつながった深さと比例しない。それでも私は。 (……。) * 「誰よ、あれ。」 「!!」 いつの間にか真後ろに立ってる安岡くん。

2016-04-09 14:20:11
❥❥年下の彼 @bluesweetie83

11. 「ちょ、何?!」 「何ってぇ先輩のストーカー。」 「なっ、」 「ええなぁ、俺もずっと誘っとんのに。」 口を尖らせる。 「安岡く…」 「お説教は会社だけで十分。俺今から友だちと待ち合わせ。」 たまたまか。 「あ!けど!先輩が付き合ってくれるなら約束は」

2016-04-09 14:21:49
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12. 「行ってきなさい。」 「なんでオカン口調やねん。」 ぶつぶつ言いつつも話し方は柔らかい。このコの特徴。 「どうしました?」 「いや、遅れるよ。」 「アカン、ホンマや!ほな先輩、また明日!」 ニコッと笑って走り出す。

2016-04-09 14:23:43
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13. しばらくして振り返ると同じタイミングでこっちを向いて嬉しそうに手を振った。 横尾くんは振り返ってくれたこと、 あったっけ…。 pic.twitter.com/dymG5YCYgc

2016-04-09 14:25:02
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14. *** 「何で?何でなん、先輩。俺の何がアカン?」 社内忘年会、お酒が入った安岡くんはずっとこの調子。 「だから。わたしには付き合っ…」 「ってへんでしょ。」 「え?」 「先輩あの人とは付き合うてへん。」 「何言ってるの。見たでしょ、こないだ。」

2016-04-09 17:07:26
❥❥年下の彼 @bluesweetie83

15. 「うん。見た。けどあの人ちゃう。」 「…。現実から目を逸らしていいように解釈するのやめて。」 「先輩でしょ、それ。」 一瞬の安岡くんの鋭い視線。 「なに、」 「だぁってぇ、俺にはそう見えたんですもん。ほら、俺の目、都合よぉできとるし。」

2016-04-09 17:08:16
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16. ふはっと笑う安岡くんはいつもの安岡くんだった。 pic.twitter.com/fJKLefunOm

2016-04-09 17:08:58
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17. *** 次、行こ!言い張る安岡くんを適当にかわして駅に向かう。 賑やかな声から遠ざかると妙に心が落ち着いた。 (先輩、あの人とは付き合うてへん) さっきの安岡くんの言葉。 (うるさいよ、) …… 「一人?」 「え、」 「飲み足りないって顔。」

2016-04-09 17:10:28
❥❥年下の彼 @bluesweetie83

18. 「俺らと続き行こ。」 この人たち酔ってる?無視して進む。 「何だよ、せっかく遊んでやるって言ってんのに。」 「頼んでない。」 カチンと来て言い返した瞬間ヤバい、と思った。 「気ぃ強い女。おもしろいかも。」 「何それ…」 笑い声?後ろに誰かいる。

2016-04-09 17:11:46
❥❥年下の彼 @bluesweetie83

19. 陰に隠れたその姿を追おうとしたとき、もう一人の男に腕を掴まれた。 「っ離して!」 「とりあえず来いって。」 男たちから笑顔が消えた。 連れてかれる! ** 「もぉ!せんぱぁーい。おったぁ!」 安岡くん! ニコニコと近づいてくる。

2016-04-09 17:12:34
❥❥年下の彼 @bluesweetie83

20. 「すんません。この人、酒癖悪くてぇ。失礼なことせんかったですかぁ?」 私と男たちの間に割って入った。 「ホンマすいません。そこ曲がったとこ交番あるからそこに置いてってくれたら良かったのにぃ。」 男たちの表情が変わる。 「こーばん。すぐそこやねんけど。」

2016-04-09 17:14:07
❥❥年下の彼 @bluesweetie83

21. 安岡くんの低い声。男たちよりずっと…。 「…、」 「お!タクシー。すんませーん!」 目の前でタクシーが止まった。 「そのまま乗ってってくださいね。」 かわいい笑顔が戻って男を押し込む。タクシーは去って行った。 ** 「安岡くん、」 「そこおって。」

2016-04-09 17:15:00
❥❥年下の彼 @bluesweetie83

22. スタスタと歩き出す。 「出てこい。」 ドスの利いた声に、さっき隠れた人影が暗やみから出てきた。 あの女性たち確かソフトボール大会で安岡くんに…。 「何してくれとんねん。」 安岡くんが纏う空気が変わる。

2016-04-09 17:15:33
❥❥年下の彼 @bluesweetie83

23. 「今度変なことしたら、女でも潰す。」 pic.twitter.com/rRsT10Y7RM

2016-04-09 17:16:05
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❥❥年下の彼 @bluesweetie83

24. ** 「すいません。俺のせいです。」 「え、あ…、ううん。」 「大丈夫でしたか。」 いつもと違う話し方に戸惑う。 「全然…平気。わたしだよ?」 ひきつった笑顔を向けると安岡くんはハァと小さく息を吐いた。 「そういうんちゃうくて。女の人なんやからさ」

2016-04-16 13:30:49
❥❥年下の彼 @bluesweetie83

25. 「え、」 「“ありがとう”でええやん。それとも俺になんて借り作りたくなかったです?」 「そんなこと!」 「じゃ・あ!」 「…ありがと。」 うん、満足げに笑う。 「ねぇ、それよりどうして?」 「あぁ。さっきのこと。変なことゆーてすいませんでした。」

2016-04-16 13:31:28
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