同窓会

本編から続編、番外編へと続きます。いつの間にか続編、番外編の方がメインになっていきます。おくらくんのお話はずが、いつの間にかやすすに。
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かおり @orange_shake_

【同窓会・1】 高3のクラスの同窓会。 卒業して10年経っても変わらない仲間達と、久しぶりの再会にお酒も進む。 28歳。 同じ時間を過ごした仲間も、今は全く別の人生をそれぞれに楽しんでおり、近況報告と思い出話に花が咲きいい気分になっていたその時。 『○○』

2016-03-23 23:09:01
かおり @orange_shake_

【同窓会・2】 懐かしい、私を呼ぶ声。 あの頃と変わらないなーなんて酔っ払った頭で考えながらふらふらと振り返る。 「忠義」 さっきまで反対側のテーブルの中心にいた人物。 よく抜けてこれたなぁなんて見つめていると、 『ちょっと、ええかな』

2016-03-23 23:09:08
かおり @orange_shake_

【同窓会・3】 友達に背中を小突かれながら頷き、彼の背中に続いて店のテラスに出る。 火照った顔に夜風が気持ちいい。 「で、何?」 『いきなり本題か(笑)』 世間話ぐらいさせぇや、10年ぶりの再会やで?と苦笑する忠義は高校の頃の元彼。

2016-03-23 23:09:17
かおり @orange_shake_

【同窓会・4】 彼に促されるままベンチに座る。先に座っていた彼と少し距離を空けて。 『元気にしとった?』 「おかげさまで」 私の言葉に少し気まずそうな顔をした忠義を横目に、お酒を飲み干す。 「おかわりもらってこようかな…忠義、何飲む?」 『…○○と同じの』

2016-03-23 23:09:24
かおり @orange_shake_

【同窓会・5】 彼が小さくついたため息は聞こえなかったことにして会場に戻る。 …思っていたより冷静だ。 東京の大学に進学するために、高校卒業と同時に大阪を出た私。 遠距離恋愛やね、と無理矢理笑った忠義の目に溜まった涙は今でも覚えている。

2016-03-23 23:09:32
かおり @orange_shake_

【同窓会・6】 私だって離れたくなかった。 でも、夢を諦めるのはもっと嫌だった。 だから、上京して2年後に忠義から『他に好きな子ができた』と電話で告げられたときもすんなり受け入れた。 忠義が私を捨てたんじゃない。 東京を選んだときから、私が忠義を捨てて夢を選んでたんだ、って。

2016-03-23 23:09:40
かおり @orange_shake_

【同窓会・7】 あれ?でもそういえばいっぱい泣いたかな、しばらく食事も睡眠もとれなくてガリガリに痩せちゃったんだっけな…よく覚えてない。 まあいいや、今となってはそれも思い出なんだから。

2016-03-23 23:09:54
かおり @orange_shake_

【同窓会・8】 それからなんとなく地元には帰りづらくて、お盆やお正月にも何かと理由をつけて大阪には帰ってこなかった。 今日の同窓会だって、忠義から『話があるから来い』なんてメールさえなければ来るつもりなんてなかった。

2016-03-23 23:10:00
かおり @orange_shake_

【同窓会・9】 2つのグラスを持ってテラスに戻る。忠義にグラスを渡して、ベンチに座る。 「で?何よ、話って」 『変わらんなぁ、お前…そのせっかちなところ(笑)』 口に手を当てて楽しそうに笑う、 『でも、すっかり標準語やん。やっぱ東京の人やな』 「そりゃ10年もいればね」

2016-03-23 23:10:08
かおり @orange_shake_

【同窓会・10】 確かに、関西弁は抜けてしまった。 いや、もしかしたら意図的に関西弁も忘れようとしていたのかもしれない。 『俺な…結婚すんねん』 「……ふーん」

2016-03-23 23:10:19
かおり @orange_shake_

【同窓会・11】 今日最初に顔を見たときから、なんとなくそんな気はしてた。 10年も経てば大人になっていて当たり前だけど、それだけじゃない。 柔らかくて暖かい笑顔はあの頃のままだけど、今の彼には守るべきものを見つけた男の強さもどことなく感じるから。 「おめでとう」

2016-03-23 23:10:26
かおり @orange_shake_

【同窓会・12】 素直に出た言葉。 別れてから彼のことも彼との思い出も避けてたのは事実。だけど、いつまでも引きずるほど未練がましい女じゃない。 今は1人の友人として彼のことが好きで、彼の幸せを願う気持ちに嘘はないから。 『ありがとう』 幸せそうな顔。 うん、良かった。

2016-03-23 23:10:32
かおり @orange_shake_

【同窓会・13】 「話ってそれだけ?電話でも良かったのに」 『いや…結婚する前に、もう一度会って話したかったから』 『俺の中では、お前とのこと、終わらせられてなかったんかも』 「…どういうこと?」

2016-03-26 23:02:44
かおり @orange_shake_

【同窓会・14】 『好きな子ができたって…別れたやん?その子と付き合ってんけど、なんかすっきりせぇへんくて…結局すぐ別れた。 それで気づいてん。お前やないとあかんかったんやなって。』 「…うん」

2016-03-26 23:02:54
かおり @orange_shake_

【同窓会・15】 『でもな、もう一度○○と戻ったところで俺は遠距離の寂しさに耐えられへん、○○がおらんとあかんってお前の夢の邪魔をしてまうから… やから、自分の気持ちに気づいてからも○○には連絡とらへんって決めてた。』

2016-03-26 23:03:02
かおり @orange_shake_

【同窓会・16】 『○○ぐらい好きになれる子がいつか現れたらと思って、色んな女の子と付き合ったり…正直遊んだりもした』 「……」 知らなかった。忠義も私と同じだったんだ。 『○○もそうやったんちゃう?』 グラスを持つ手が一瞬震える。 本当に、この人には何でもお見通しだ。

2016-03-26 23:03:14
かおり @orange_shake_

【同窓会・17】 『どんなにいい子と付き合っても、どこかで○○を重ねてとって、もう俺誰のことも本気で好きになられへんのかなぁと思ってたときに…今の彼女と出会った』 ふう、と息をついてようやくグラスに口をつける。高校の頃は食べっぷりしか知らなかったけど、飲みっぷりもいいんだなぁ。

2016-03-26 23:03:20
かおり @orange_shake_

【同窓会・18】 『正直、どこがええとかわからへんねん。○○の方が美人やし頭もいいし、ダメな俺をしっかり支えてくれてたと思う。 彼女、そんなに美人ってわけでもないしドジやし、俺が言うのもなんやけどほんまにダメダメやねん』 そう語る忠義の顔は本当に幸せそうで。

2016-03-26 23:03:27
かおり @orange_shake_

【同窓会・19】 『やっと、○○から卒業できそうやわ、俺。』 大好きだった笑顔。 「…そっか。良かったね」

2016-03-26 23:03:33
かおり @orange_shake_

【同窓会・20】 別れてから、忠義を好きだった自分を忘れたくて、どこかで忠義も同じ気持ちでいるんじゃないかって思いながらも意地を張ってた。 何度も思い出す忠義との思い出を消そうと、必死に他の人との思い出で塗り替えてきた。そんな自分に嫌気がさして、気がつけば恋愛から遠ざかってた。

2016-03-26 23:03:40
かおり @orange_shake_

【同窓会・21】 でも、忠義は前に進むんだね。 「本当に、良かった」 『やっと笑ってくれたー♡』 ふにゃっと笑って体をこちらに向け、私の手を握る。 『○○のこと、ほんまに好きやった。 …ありがとう』 そのまま抱きしめられる。

2016-03-26 23:03:44
かおり @orange_shake_

【同窓会・22】 「もー、何泣いてんのよー」 『え!なんで泣いてるってわかったん!』 涙声でふざける忠義。 「ほんと変わんないね、こうやって泣き顔隠すの」 『そう言う○○こそ』 うん、私もこうやって忠義の胸で涙を隠してきた。 でも、今日で最後だよ。

2016-03-26 23:03:49
かおり @orange_shake_

【同窓会・23】 最後だし、泣き顔見られてもいいよね。 忠義から体を離して、目を見つめる。 「私も、忠義のこと大好きだったよ。忠義のこと好きでいて、本当に良かった。ありがとう」 良かった。ちゃんと言えた。 これで、10年ぶりに大阪に戻ってきた甲斐もあったってもんだ。

2016-03-26 23:03:54
かおり @orange_shake_

【同窓会・24】 最後にもう一度抱きしめられて、耳元で言われた言葉。 『お前も早く、幸せになってな』 【おしまい】

2016-03-26 23:03:59
かおり @orange_shake_

【同窓会続編・1】 2人共ひとしきり泣いて、そして笑い合う。 「こうしてたら、本当に高校の頃と変わんないね」 お互い泣き虫な私達。喧嘩したときや感動する映画を観たとき、よくこうして2人で泣いていた。 『いや、まだ足りひんものあるやろ』 キョロキョロする忠義。 …あ。

2016-03-28 23:55:35
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