ジグソウル

はち公。 @funkastic_8er

51 ［これ大倉くんの？］ 手にしていたのは 大倉お気に入りのZippo 倉『あ、ほんまや。 どこにあったん？』 ［ベッドの横に落ちてたー］ 倉『あら、すんませんな』 そう言ってそれを手渡す時の 二人の空気が 妙に意味深やと思ったのは 俺だけやないはず #ジグソウル

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52 『うわっ･･･あ、杏子さん！ バナナジュース作ろか！？』 空気を変えたくて 思わず言ったら声がうわずった ［ううん。今日は休みだから 寝るだけだしいいやー ありがと亮ちゃん♡ じゃ･･･］ いつもみたいにふわっと笑って 杏子さんは消えていった #ジグソウル

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53 その後ろ姿を見つめつつ 倉『わざわざ届けてくれるとか･･･ どんな心境なんすかねぇ』 呟いた大倉も うっすら笑って 厨房に消えていった 『あ･･･うわ･･･』 絶対･･･なんかあったやん #ジグソウル pic.twitter.com/DVKvyqqksZ

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54 そんで･･･たぶん 『里緒･･･？』 彼女を見れば 「亮ってば･･･心配しすぎ！ 大丈夫！私は大丈夫だから！」 って笑う ────やっぱり お前も気づいたよね あの空気感 『でも･･･付き合ってるとか そーゆうんやないと思うで？』 #ジグソウル

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55 「だろうけど･･･ 忠義があの人好きな事に 代わりはないでしょ？」 う･･･ 「でも、大丈夫だって！ 知っててもやっぱり好きだし･･･ それに！亮特製の 元気が出るスムージー飲んだから！ 全然大丈夫！！」 心配不要とばかりに 俺の背中を叩く #ジグソウル

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56 「じゃ！行ってきます！」 ヒラヒラ手を振り 出ていく里緒を 見送るしかできない俺 『ちっ･･･』 空いたグラスを握りしめつつ その背中を思いやる 『お前の大丈夫ほど･･･ 大丈夫じゃないものないわ』 お前が大丈夫っていう時は 辛いのを隠す時やろ？ #ジグソウル

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57 お前は優しいから 心配かけまいと してるんやろうけど･･･ 『心配くらい ･･･俺にもさせてくれや』 ただの友達やなくて せめてお前がほんとに辛い時 肩をかせるくらいの そんな頼れる男になりたい･･･ #ジグソウル pic.twitter.com/lX8hdreFa2

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58 ────それから数日経った頃 久々にオーナーの信ちゃんが来た 村『元気してるかー？』 『ぼちぼちでんなぁー』 村『大倉はー？』 『変化なしー』 各々適当な返事で終わらす （変化無しってなんやねん！ あり過ぎて･･･ 最近里緒元気ないやんか！） #ジグソウル

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59 あの日以降･･･ 杏子さんは朝 店に顔を出す機会が減り その代わり 閉店間際に夕飯テイクアウトを頼んで 大倉に届けさせてる そしてそのまま･･･な、日々 『完全に出来てるやんか ･･･杏子さんと♡』 からかう振りして 大倉に聞いてみると #ジグソウル

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60 倉『アホ。 ･･･変化無し言うたやんか』 と力なく笑った ────あ、なるほど こいつはこいつなりに 疲弊してんのや そう思うと 力になってやりたかったけど （どれをどの方向に 向けたらええの？） 大倉の矢印を里緒に？ 杏子さんの矢印を大倉に？ #ジグソウル

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61 （どうなっても 俺含め･･･誰かが泣くんや） そう思うと 自分からは動けなかった 倉『で？村上くんは何しに来たん？』 村『おぉ。3階のオフィスの人から ちょっとイベントの話 持ちかけられててなー もうすぐ来るはずやねんけど･･･』 ────カラン #ジグソウル

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62 《どーもー！》 村『おー。こっちや』 やあやあと笑いながら入ってきたのは 3Fのオフィスで働いてる 『あぁ、横山さん！』 横『おん！こんちわー』 信ちゃんの親友で この店の常連でもある横山さんだった #ジグソウル pic.twitter.com/TuMtVyCeup

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63 横山さんが持ってきた イベントの相談とは このビルの屋上で ビアパーティをしたいと言うもので 横『来月から新入社員が 研修終わって 本格的に仕事すんねんけど 親睦兼ねて なんかやりたいなぁ言うてて。 今年もうあったかいし 外で飲みたいなぁってなってな』 #ジグソウル

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64 村『で、俺らに料理と 給仕頼みたいと』 横『せやねん！多少割高でもええて 社長と言うてたから ･･･どんなもんやろ？』 村『うーん･･･』 すると信ちゃんは 俺と大倉に声をかけて 村『どう思う？』 って 倉『バイキング形式なら 大丈夫ちゃう？』 #ジグソウル

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65 倉『俺は店で料理作って 持って上がればええだけやし』 チラッと大倉がこっちを見て 俺の意見を求めてるのが分かった 『俺もいけると思う ビールサーバーはちっこいの借りて カクテル系は屋上でも作れるし』 頷く俺達を見て 信ちゃんはニッコリ笑った #ジグソウル

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66 村『決まりやな。 うちのエースと料理長がOKなら 問題ないわw』 横『まじ！？やったぁ♡ じゃ、詳細は都度打ち合わせよー！ とりあえず社長に報告してくる！』 横山さんは嬉しそうに店を出ていった と･･･思い出したように 信ちゃんが呟く #ジグソウル

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67 村『ヘルプ俺だけで足らんなぁ･･･』 なぬ！ これは･･･チャンス！？ 『じゃあ！里緒に頼もうや！ アイツなら料理の 下ごしらえも手伝えるし！』 こーゆうイベント好きやし 大倉とも近づけるから･･･ 少しは元気になるかな？ 『どう思う？』 #ジグソウル

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68 大倉に確認したら 倉『ええんちゃう？ 里緒ならコキ使えるから 頼みやすい♡』 って ･･･ぶっ その台詞、あいつが聞いたら 喜ぶんやろうな 村『じゃ、決まりやな。 亮から里緒ちゃんに頼んどいて？』 『あーーい！』 よっしゃ！ 里緒、チャンスや #ジグソウル

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69 これを機会に 大倉に接近すんねん！ 杏子さんから 奪ってまえ！！ ────って、あれ？ ･･･俺は？ ･･･ うーん まぁ･･･ええか 俺の感情は しばらく･･･後回し #ジグソウル pic.twitter.com/yF5ENS3RrA

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70 そして、その日がやってきた 「忠義ー！ 野菜のカットこれでいい？」 倉『お。おっけー。 したら次･･･ これ見て鶏肉下味つけてもらえる？』 「おー。料理長のレシピ？ いいの？見ちゃってw」 倉『ええよwただし内緒やで？』 ────なーんて #ジグソウル

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71 （楽しそうで良かったなぁ！！） 自分でセッティングしたのに 平常心が保てない フルーツを黙々とカットして 苛立ちをぶつけてたら 村『･･･おい、亮』 『え！あ、え！？』 村『･･･フルーツにあたるな』 『ぐ･･･』 ･･･何でもお見通しっすね #ジグソウル

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72 「亮？どーしたの？」 ため息ついた俺の所に 里緒がやってきて 心配そうに顔をのぞく 『あ･･･ん、何でもない それより里緒、楽しい？』 「うん！楽しい！ このお店大好きだから！ 手伝えるのがうれしい！」 ･･･ええ子やなぁほんまに(泣) #ジグソウル

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73 そんな嬉しそうに笑われたら （この笑顔の為なら ･･･もうなんでもええわ！） そう思ってまうやんけ！ 村『さ、そろそろ時間や！ 気ぃ引き締めていくでー！』 『「はーい！！」』 いざ、初めての 屋上ビアパーティへ！ #ジグソウル

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74 会場は横山さんたちが設営してくれて 用意されたテーブルに 料理を並べる大倉と里緒 レンタルしたサーバーや カクテル類を並べる俺と信ちゃん と、そこへ 横『おー！ばっちりやんか！』 横山さんがやってきた 村『うちの店舐めんな？』 信ちゃんドヤ顔 #ジグソウル

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75 『一応ドリンクは 頼みに来てくれたら その場で作ります。 料理はバイキングで タイミングみて内容変えますから』 横『はい。じゃあよろしく！ なんか不都合あったら俺に言うて！』 村『そっちこそ。不備あったら 遠慮なく言えや？』 横『あいよー！』 #ジグソウル