ジグソウル

はち公。 @funkastic_8er

76 そんな感じで 準備万端にスタート！ ────のはずが やっぱり慣れへんから バタバタして 料理が好評過ぎて 大倉は店にこもりっきり 信ちゃんはそれを運ぶのに 店と屋上を行ったり来たり 俺はドリンクのオーダーに追われ 里緒は皿の片付けでてんてこ舞い #ジグソウル

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77 村『あかんな･･･ちょ、人足らんわ』 急遽屋上の一角で作戦会議 『頼みの横山さんも ベロベロやもんなぁ･･･』 うーん･･･ 全員が頭を抱える中 大倉が切り出す 倉『あと1人なら呼べるわ』 え？ 倉『杏子さん呼ぶ？ あの人こーゆう空気得意やで』 #ジグソウル

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78 その名前に 里緒がビクッとしたのを 見逃さなかった だけど･･･ 村『せやな･･･あの人なら 酔っぱらいの扱いうまそうやなw ええか･･･亮？』 そんなん、里緒を思えばありえんけど この状況やと 『断る理由あらへんわ』 ってなるやんか･･･ #ジグソウル

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79 すると大倉はスマホを取り出し 倉『あ、もしもし？起きてた？ うん･･･あんな？前話したやん？ ビアパーティの事。 悪いねんけど 今から手伝ってくれへん？』 ────へぇ そんな話、2人でしてたんや つーか、空気感 完全に 出来てるやんか #ジグソウル

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80 数分後･･･ ［おまたせ！］ ラフなスタイルに 長い髪をまとめた 杏子さんがやって来た 倉『なん。大丈夫。 悪いないきなり･･･』 ［全然！ 頼ってくれてむしろ嬉しい！］ ピースサインした杏子さんに 大倉が優しく笑って その頭をクシャっと撫でる #ジグソウル

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81 倉『じゃあ俺店戻るから。 杏子さんはここで 酒運んだり、皿片付けたり･･･ 里緒、悪いけど教えたって？』 「あ･･･はい」 ［よろしくね！里緒ちゃん！］ うっわ･･･地獄絵図 なんて思うものの 村『さ！引き続き！よろしく！』 仕事せなー！！ #ジグソウル

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82 とはいえ 里緒も大人やし 杏子さん自身とは気が合うみたいで ［里緒ちゃん！お皿余ってる？］ 「ありますよ！はい！」 ［ありがと！］ 二人のおかげで だいぶ物事がスムーズになった 2時間程になれば 食事のピッチも落ちて 大倉も信ちゃんも屋上へ #ジグソウル

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83 村『みんなお疲れ！ 軽く俺らも飲むかwww』 倉『いえー♪』 そんな訳で俺らにも酒が まわり出す頃･･･ 倉『･･･あれ？杏子さんは？』 「あれ？ さっきまで居たんだけど･･･」 みんなでキョロキョロと 探してたら･･･ 貯水槽の辺りに人影が #ジグソウル

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84 よく見るとそこには 酔っぱらった横山さんに 絡まれてる杏子さんがいた 横『あの店に こんなべっぴんおったぁ？』 ［おだててもいい事ないですよ？］ 横『えーないん？ キスだけでもええのにー♡』 ［またまたぁ キスだけで満足する 歳じゃないでしょー？］ #ジグソウル

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85 倉『あいつ』 顔を歪めて駆け出そうとする大倉に 俺も里緒も慌てる中 その肩をガッと掴んで 信ちゃんが引き止める 村『悪い大倉。 あれ、俺の親友やから 俺がちゃんと注意するから。 お前はここで待機して 少し落ち着け』 そう言って2人のもとに向かった #ジグソウル

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86 しばらくすると 横山さんの首根っこ掴んだ 信ちゃんがやってきて 村『みんなすまんな。 こいつ酔ったら見境ないねん ほれ、ヨコも。 仲間に手ぇ出したん謝れや』 横『ほんますんません！ 杏子さんも！すんません！』 平謝りする横山さんに 俺らは一安心 #ジグソウル

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87 ･･･せやけど大倉は 1人納得いかない顔で しかもそれは 横山さんに向けたものじゃなく 杏子さんに向けられたもの 倉『悪いんは 横山さんだけちゃうやろ？ 思わせぶりな事言った 杏子さんも悪いわ』 ･･･あかん。この空気 『ちょ、大倉落ち着け･･･』 #ジグソウル

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88 倉『ほんまなんなん？ 誰にでもあーゆう態度とるから 絡まれるんやんか！』 ［ぶっ･･･ なんでそんな熱くなってんの？］ 倉『･･･バカにすんな 人からかっておもろいんか？』 2人の張り詰めたやり取りに 言葉を誰も挟めない ［別にバカにしてないよ？］ #ジグソウル

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89 ［たださ。どんな願望 私に重ねてるか知らないけど 私こーゆう女だよ？ 隠してるつもりもないし 大倉くん･･･貴方が 1番知ってるでしょ？］ ズキン･･･ 大倉の心が 傷んだのが分かった ［私はね？ 優しくて居心地良いのが好きなの 空気も、身体も］ #ジグソウル

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90 冷ややかに笑う杏子さんのその表情 初めて見た･･･ 大倉は舌打ちすると 倉『もうええわ。俺、店におる』 そう言って その場を離れていった ･･･あ、どうしよ 自然と里緒を見れば 追いかけたそうな顔で （背中･･･押すべき･･･？） #ジグソウル

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91 迷ったけど次の瞬間 『行け、里緒 今あいつをひとりにしたらあかん。』 考えるより先に 彼女の背中を押していた 「･･･うん！」 里緒は頷くと 慌てて大倉を追った ────その背中を見送ってたら ［ふふw］ 杏子さんが笑った 『･･･何？』 #ジグソウル

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92 ［なんでそこで背中押すかなぁ？］ 『あん？』 ［亮ちゃん 里緒ちゃん好きなんでしょ？ なのになんで大倉くんとこ 行かせちゃうの？］ いやいや。なんでバレてんの ［ほんとに好きなら 譲ってばっかりじゃなくて 奪う時は奪わなきゃ･･･］ #ジグソウル

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93 でも、なんでバレたとか どーでものよくなって 『なら聞くけど･･･ 強引に奪いに行っても あんたは大倉になびかんやんか それどころかあんな酷い事言うて』 ［･･･確かに 見境なく奪うのもいかんかw］ 彼女は答えをはぐらかす 『答えになってへん！』 #ジグソウル

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94 すると真っ直ぐ俺を見て 真面目な声で返す ［答えって･･･そんな簡単に出る？ 誰を好きになればいいか 誰といたらいいか 出ないからみんな苦しいんでしょ？ 大倉くんも、里緒ちゃんも 貴方も･･･私も］ そのセリフに 何も言い返せなかった #ジグソウル

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95 答えなんて 何処にもないことくらい 俺が1番分かってる 誰が笑って 誰が泣く そんなのもうわからんよ ────願わくは 最愛の君が 笑う結末なら 俺の涙なんか･･･ どうでもええ──── #ジグソウル pic.twitter.com/AHdZgICPuU

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96 『くっそ･･･』 巻いてたエプロンを 店のカウンターに叩きつけ 『あぁ！もぉっ！！』 我慢しきれず声を上げる ────分かってた 分かってたけど こんなに自分が無力で 杏子さんに入り込めてないなんて 『期待した･･･俺がアホやけど･･･』 #ジグソウル

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97 力なく笑ってたら ドアの開く音がして 「･･･忠義っ」 『里緒･･･？』 俺はキョトンとする 『どないしたん？ なんか忘れもん？』 聞く俺に首を横に振って 「違う･･･ 忠義が･･･心配で」 ────え？ 潤んだその目が 全てを物語っていた #ジグソウル

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98 「忠義が･･･あのね」 だめ あかんて 「私･･･忠義の事･･･」 あかん 慌ててその口に手を当て塞ぐ 『その続き･･･言うたらあかん』 伝わったから 伝わったけど ────お前が好きになるべきは こんな俺ちゃうやろ？ #ジグソウル

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99 「なんであかん･･･なの？」 上目遣いで見つめる里緒 抱きしたくなる衝動が それを見ないようにする為なのか 何かに苛立ちをぶつけたいからなのか ･･･わからなくて 背を向ける 『とにかく･･･今はあかん 俺、冷静な判断出来へんから･･･』 #ジグソウル

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100 杏子さんへの感情と 急に突きつけられた里緒の好意を前に 『冷静でなんかおられるか･･･』 言葉にして聞いたら最後 そこに逃げ込んでしまいそうや ────次の瞬間 『え･･･』 背中に温もりを感じる 『･･･里緒？』 彼女が 抱きしめてくれて #ジグソウル