- leo_msk_tdys
- 5756
- 1
- 0
- 0
【Holiday Cactus・1】 静かな住宅街にある、小さなカフェ。 そこに初めて訪れた時、陽だまりのような柔らかくあたたかい雰囲気と、お店のお兄さんのおひさまのような笑顔に一目惚れして、私はここで働き始めた。 #エイトで妄想
2015-11-26 00:29:39【2】 冷たく澄んだ朝の空気。陽の光に映えるイチョウの黄色に、目を覚まされる。 秋と冬の間の、今日は特別な日。 「おはようございます。隆(りゅう)さん、後で新作デザート、試食してもらえますか?」 「おはよー。新作?ええよー。めっちゃ楽しみやなぁ」
2015-11-26 00:30:53【3】 この店のオーナーであり、店長の隆さん。 スイーツ好きで、趣味で作っていただけの私のお菓子を気に入ってくれて、お店のメニューに出してくれている。 今日は隆さんの誕生日。個人的にお祝いしたいけど恥ずかしくて、新作の試食と称してお菓子を作ってきた。
2015-11-26 00:32:00【4】 店内が次第にあたたまり、コーヒーの香りが湧き立つ。仕込みをしながら、時々隆さんの横顔を盗み見る。 穏やかに流れる、朝のこんな時間が、私は好きだ。
2015-11-26 00:32:52【5】 開店し、ランチの混雑もひと段落。店内にはのんびりとコーヒーを啜るお客さんが一人。 常連の智さん。近所に住むイラストレーターらしい。 「詩織ちゃん、デートしようよ」 「「デ、デート⁈」」 突然の提案に、思わず隆さんと声を揃えて聞き返す。
2015-11-26 00:38:56【6】 「アカン、アカン!大(おお)ちゃん!そんな、デートなんて!」 私が口を開くよりも早く、なぜか隆さんが慌てて返事をした。 「えー、いいじゃん。オイラ今日誕生日だしー」
2015-11-26 00:40:53【7】 「え?智さん、今日お誕生日なんですか?」 「そう。マルと一緒。だからー、デートしよ?」 智さん、“だから”の意味がわかりません。本気なのか冗談なのか、いつもながら掴めない人だ。
2015-11-26 00:43:15【8】 「あかーん。ウチの大事な従業員に手出さんといてー」 その響きに胸がチクリとする。ーー“従業員”。 2人に気づかれないよう、小さくため息をついた。
2015-11-26 00:45:19【9】 夜のお客さんも落ち着いた頃、コーヒーカップを拭きながら、隆さんが言った。 「詩織ちゃーん、今朝言うてた新作、食べさしてー。もうガマンできひんわー」 「あ、はい。今、準備しますね」
2015-11-26 00:47:51【10】 まださっきの言葉を引きずっている私は、沈んだ気持ちと一緒に、持ってきたそれを温めたオーブンに入れる。 ひとつ息を吐いて、私の心も融かしてくれるよう、オレンジ色の光を見つめた。
2015-11-26 00:54:06【11】 「いいかな」 オーブンから出したアツアツのケーキの横にバニラアイスを盛り付け、ほんの少しシナモンパウダーを降る。 そしてお皿には、震える手でラズベリーソースで書いた、“HAPPY BIRTHDAY!!”の文字。
2015-11-26 00:55:32【12】 「どうぞ」 ドキドキしながら、隆さんの前に差し出す。 隆さんは目を丸くして、お皿と私を交互に見た。 「え、詩織ちゃん、これ」 「あ……、隆さん、お誕生日だし、せっかくなので……」
2015-11-26 00:57:20【13】 告白なんて、私にそんな勇気はない。精一杯なんでもないフリをして、そう言った。 「ありがとう」 隆さんは目を細め、とても優しく、とても幸せそうな顔で笑った。 不意打ちのその笑顔にものすごくドキドキさせられる。
2015-11-26 00:59:25【14】 「フォンダンショコラかぁ。ええなあ」 「あ、えっと、クリスマスメニューとしても、いいかなと思って」 うんうん、と嬉しそうな顔でケーキにフォークを入れる隆さん。 濃厚なチョコレートが、とろりと流れ出す。 それをひとくち口に入れると、隆さんはさらに頬を緩ませた。
2015-11-26 01:04:20【15】 「ウマい!」 「ホントですか⁈」 「うん」 嬉しい言葉が聞こえてホッとすると、不意に影が近づいて、柔らかいものが私の唇に触れた。
2015-11-26 01:08:18【16】 「な?」 私を見つめ、優しく微笑む隆さん。 「……はい」 唇にほんのり移った甘さに、今の出来事を少しずつ自覚させられる。
2015-11-26 01:10:49【17】 「……もっかい、シていい?」 いつもの優しい声だけど、いつもとは違う熱っぽい目で見つめられ、チョコのように甘いキスに酔わされた。 【Holiday Cactus・終】
2015-11-26 01:15:02Happy birthday dear RYUHEI MARUYAMA!! pic.twitter.com/R25yg5lGsb
2015-11-26 01:16:38【カフェオレの夜・1】 「ん、あっ、…隆、さんっ」 ベッドサイドのほの暗い明りが包む、白く柔らかな肌をなぞると、甘い声があがる。 #エイトで妄想
2015-11-26 23:04:01【2】 1年前、彼女が俺の店にやって来たのは、ただの偶然だろう。 店に入ると、奥の席を選んでブレンドコーヒーをオーダーし、一冊の本を取り出してページをめくる。 やがて運ばれたコーヒーに口をつけると、一瞬ほんの少しだけ目を見開き、そして優しく微笑んだ。
2015-11-26 23:05:11【3】 なんだかそこだけが、幸せな陽だまりのようだった。 とても嬉しそうにコーヒーを飲んでくれた彼女が、もう一度来店しないかと、俺は密かに楽しみにしていた。
2015-11-26 23:06:22【4】 2度目に彼女が来店したのは、募集していた従業員の面接だった。 「ブレンドが美味しいお店は、きっとステキなお店だろうな、って」 それが彼女の志望動機。 彼女に再び会えることを願っていた俺は、迷うことなく彼女を採用した。
2015-11-26 23:07:22【5】 彼女が作るお菓子は、優しくて、それでいてブレがない。彼女そのものな感じがした。 コーヒーも、彼女が淹れると格段に美味しくなる気がしている俺は、きっと魔法にかかってしまったのだろう。
2015-11-26 23:08:06【6】 「詩織、」 「……隆、あっ、ゃっ、…ぃやぁっ」 彼女の中に指を埋め、入口から奥へと擦るように探っていく。 「あかんよ。詩織をぜーんぶ味わいたいねん」
2015-11-26 23:11:43【7】 逃げようと捩る腰を掴み、指を挿し込んだそこに、顔を近づける。 その上にある小さな蕾を舐めると、ビクンと彼女が大きく跳ねた。 「あっ、いやっ!…っん、そこ、ダメっ」 「ふふ、甘いなあ」
2015-11-26 23:12:53