だからぼくの玄関はシンプル。今履いてるシューズ、これ脱いだら並べるのと、あとはゴミ出しとか行くときに履く軽いサンダルが一足。これで全部。
2016-05-13 23:04:43そのサンダルの横に、玄関の間口の平行になるように、きちんと並べられた見覚えのないスニーカー。いや、見覚えがないっていうかさ、むしろすっごい見覚えがあるっていうかさ!?
2016-05-13 23:05:16だっていつも見てたもん。意外とおしゃれさんだから履いてる靴はいつも違うけど、これは割とお気に入りのやつでよく履いて仕事に来てた。服にはお金かけてるみたいだから、きっとこのスニーカーもそこそこの値段するんだろうなって思う。
2016-05-13 23:05:43思いがけず見つけたその靴に体温が上がる。心臓がドキドキと脈打って、ひたすら血液を押し出してくる。ぼくの顔をあかくしようと必死に、どんきんどきん。
2016-05-13 23:06:19この前なりゆきとは言え鍵渡しちゃったんだから、ランランがぼくの家に入ってこられるのは不思議じゃない。……じゃないけど、なんで?
2016-05-13 23:08:49ランランはエプロン付けてキッチンでご飯…作ってるみたいだった。じゃっじゃっていう小気味いい炒め物の音と、香ばしい匂いがする。エプロンはぼくが見たことないやつだ。
2016-05-13 23:12:10嶺「な、なに作ってるの?」 蘭丸「炒飯」 嶺「…へー…なんでぼくんちで作ってるの」 蘭「うちの電磁コンロじゃ火力が出ねえ」 嶺「ああ…炒飯には火力大事だよね」
2016-05-13 23:12:57今日のせんせはお口が好きな人で…ってこれさっきと被っちゃうな。ああ、でもとにかく今日は初めてのせんせが相手で割と緊張してて、しかも嫌なことも言われて軽くショックで、この前からずっとぼくの頭を引っ掻き回してたいろんな嫌なことも考えたくないぐらいに疲れてて。
2016-05-13 23:14:27収録でランランと会うんだったらあらかじめ分かってるから、心の準備も落ち込む準備も無意味に神様に祈る準備もできるのに、こんな急になんの前触れもなく思いがけず予想外の場所で会えるなんて、なに一つ準備できてないぼくの頭じゃ嬉しいのも驚くのもぜんぜん処理が追いつかない。
2016-05-13 23:15:00だけどとりあえず、ランランが自前のエプロンつけてぼくんちのキッチンに立っているっていうこの絵面は脳みそに焼き付けておきたいかもしれない。
2016-05-13 23:15:12嶺「…………い…いい匂いだね、なんの炒飯?」 蘭「鶏肉とカシューナッツ。あとビーツ」 嶺「ビーツ?炒飯の具材にしては変わってるよね」
2016-05-13 23:16:34蘭「言っとくがてめぇのぶんねぇからな」 嶺「えっ!ないの!?」 蘭「ねぇよ」 嶺「え、じゃあほんとになんでうちで作ってるの」 蘭「おれんちじゃ火力が足りねぇつったろ」 嶺「あー…それガチ理由だったんだ…」
2016-05-13 23:17:23れいちゃんの継ぎ接ぎだらけの心、ちょ〜っとブロークン。いや、べつにいいんだけどさ、食欲もないし。ランランの炒飯食べたかったけど!
2016-05-13 23:17:39でももしランランが本気で炒飯だけ作りに来てるんだったら、ぼくのことそれだけ気が置けない相手だって思ってくれてるってことだろうから、結果オーライだよね、うん。だってやっぱり、嫌われるのは…嫌だもん。
2016-05-13 23:17:58なんだったら本気でぼくんちのことサブコンロ代わりにしてくれてもいいし…って考えてると、ランランが何か探すみたいに視線を巡らせた。
2016-05-13 23:18:33