- sweetblue83
- 1998
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・・ちゃんと・・ 1. テーブルに並んだお皿。 ラップをかけようとしたときドアが開いた。 ** 「おかえり。お疲れさま」 「ただいま。ごめん。俺電話すんの遅かったかな」 並んだ夕食に目をやる。 「ううん!作り過ぎたの」 「ホンマ?」 「うん。お風呂沸いてるよ」
2016-04-28 21:59:512. 「んなら先もらおかな」 ボテボテと歩く後ろ姿。 すごく疲れてる。 ** 「上がったで」 「うん。はい、ビール」 「おぉ!ありがと」 プシュッと缶を開ける音と、ハァーという声。 「わたしも入って来るね、」 ** 「ねぇ、章…」
2016-04-28 22:00:343. 「―――…」 半分以上残ったビール。 伸ばした腕に頭をのせてテーブルの上で寝息を立てる。 「章大、起きて?」 「んん…、」 「風邪ひいちゃう。ベッド行こ」 「ん…まだ寝ぇへんの?」 「ううん、もう寝る」 「ほな行こ…」 ** 「…なぁ」 「ん?」
2016-04-28 22:01:194. 「晩飯…ごめん」 「いいんだって。あ、今日ね、」 「手ぇ貸して、」 「ん、」 眠気でポカポカした手。 「今日…なした…?」 「あ、うん。今日、」 「ん…」 「章大?」 「聞い…とる…」 スーッ…。 握った手の力が抜けた。 おやすみ。
2016-04-28 22:02:375. ** 寝返りを打った章大にお布団を掛けてベッドから出る。 最近ずっとこんな感じ。 寂しくないことはない。でも言葉の端々でちゃんと気にかけてくれてるのがわかる。 大切にしてもらえてる。ただ、わたしはちゃんと章大を支えられてるのかな、
2016-04-28 22:03:266. ちゃんと章大の落ち着ける場所になれてるかなって。不安になったりする。 (わたしに何ができるんだろう) 薄暗い部屋、携帯にジャックをさす。 ギターの音色と大好きな章大の声。 ** (……) (…?…って、) 「おいって!なぁっ!」
2016-04-28 22:03:587. 「!!」 大声とともに激しく肩を揺さぶられて呼び戻された。 「章//大丈夫かっ?!」 「なに…」 「何ちゃうくて、」 「章大、痛い…」 強く掴まれた肩。 「っごめん!え…寝てたん?」 「みたい」 「そぉか…」 深いため息。 「章大?」
2016-04-28 22:04:418. 「…目ぇ覚めたらお前おらんくて」 「うん、」 「リビング覗いたら、突っ伏してて」 「うん、」 「泣いとんのかな、て」 「え?」 「謝らな思て。それで声かけてんけど、お前全然動かへんし…、」 章大のほうが泣きそうな顔してる。
2016-04-28 22:05:139. 「ごめん、音楽聞いてたの。そのまま寝ちゃった」 「うん…」 「章大?」 俯いたままの章大が心配になる。 「ベッド戻…わっ」 抱き寄せられた身体。 「こんままさして…」 ふわっと寄りかかった章大を慌てて支えた。 「ごめん、最近俺…」
2016-04-28 22:06:0610. 「ごめんって…何?」 首筋に顔を埋めたままポツリポツリ呟く章大。 「仕事で頭いっぱいなってて。なんやがむしゃらで。そんで俺…、」 「、」 「帰ってきたら気ぃ抜けるいうか、お前の顔見たらホッとしてもーて」 「章大」 「ろくに喋りもせんと、寝てまうし」
2016-04-28 22:06:3511. 「お前のコトちゃんと大切にしてやれてへんって」 「そのうち愛想つかされるんちゃうかって」 章大…。そんなこと考えてたの? 「おってもらわな困る」 「え?」 「そばにおってくれるだけでええから」 「俺…安心すんの」 「大丈夫だよ、どこにも行かない」
2016-04-28 22:07:2212. 章大の想い、ちゃんと届いてる。 「ホンマ?」 「うん」 回された腕に力がこもる。同じだけの力強さはないけれど。 暖かく包み込むことならきっとできる。 「大好きや」 「わたしも」 「一緒に寝よ?」
2016-04-28 22:08:0313. あなたはいつだってちゃんとわたしを大切にしてくれる。 だからわたしも。 いつだってちゃんとあなたを支えていきたい。 pic.twitter.com/xTWqi1QimU
2016-04-28 22:08:54