ロレンソ・ビガス『彼方から』について

アルマンドは街で青年を「買う」50歳の孤独な男。ある日、ギャングのリーダーである17歳のエルダーと出会うことで、二人の人生は永遠に変わってしまう。 2015年のヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞を受賞したベネズエラ映画。監督のロレンソ・ビガスは、本作で長編デビュー。レインボー・リール東京上映作品。
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ロラン @malgre_nuit

ロレンツォ・ビガス『Desde allá』ベネズエラの片隅で、孤独な中年男性とギャングの青年が宿命的に巡り会う。しかし、若き視線は愛とは無縁の無表情に突き返される。一人の人にどうしようもなく焦がれてしまうことの哀しさ。愛の成立しないもうひとつの『キャロル』。涙が止まらなかった。

2016-05-23 15:42:12
ロラン @malgre_nuit

『Desde allá』、初めはテーブルの両端に座っていた二人の距離を、その後の場面で青年が縮める。しかし彼の視線は男には届かない。ベッドでもその視線は互いに一方向に終始する。この映画では眼差しは成立しない。 pic.twitter.com/LBs1j8Y9M4

2016-05-24 01:21:37
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ロラン @malgre_nuit

『Desde allá』初めは同性愛者の男に青年が、終盤は自身を愛してしまった青年に男が反発するという愛が成立しない映画なので、初めて二人が横並びになる瞬間や、親子のようにパーティ(劇中で唯一音楽が鳴る)へ出向く場面は感動した。 pic.twitter.com/fjIwYxBjEN

2016-05-24 01:35:41
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ロラン @malgre_nuit

『Desde allá』は、眼下に見る男のバックショットに始まり、『キャロル』と同じく表情のアップに終わる。しかし、そこにはキャロルのような微笑みはない。自身を愛してしまった青年を突き放した男の瞳には、一抹の悲しみが見えた気がした。 pic.twitter.com/Y5kHLB0xk6

2016-05-24 01:02:21
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ロラン @malgre_nuit

念願だった『Desde allá』は『キャロル』を経た私に訪れた、もうひとつの「出会いの映画」。宿命的なその出会いは、若き青年に孤独な父性への思慕を募らせるが、それを描く視線は『キャロル』のように交差せず、冷徹な無表情に突き返される。劇半の不在がまた、映画から甘美を剥奪していた。

2016-05-24 00:50:17
ロラン @malgre_nuit

『Desde allá』、どんなに愛しても届かない、愛されても受け止められないどうにもならなさ。それでもどうしようもなく焦がれてしまう哀しさ。劇半もなく冷たいルックだが、これほどまでに切実な映画。きっとこの先も何度も観る。 pic.twitter.com/q2E6moaCHp

2016-05-24 02:14:55
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