【共犯者】

安田さん
1
りえこ @eighter_rieko83

【共犯者】 1 ピンポーン 聞こえてくる足音がだんだん大きくなって、警戒心なく開く扉。 『はい……、』 「お届けものでーす!」 持ってきた花束を押しつけながら、強引に玄関の中へ。 『えっ……!……章大……?』 驚いて固まるおまえに、かわいい笑顔で応える。

2016-06-03 23:39:32
りえこ @eighter_rieko83

2 「安田様より花束をお届けに参りましたー!」 『えっ、あのっ、』 戸惑うおまえ。 『家に……来るなんて……、』 ルール違反。 「ダンナは仕事、息子はガッコ…せやろ?」 『そ、そうだけど……、』 「まぁ、強いていえば……、」 ニャーン……

2016-06-03 23:39:55
りえこ @eighter_rieko83

3 「コイツには黙っといてもらわなあかんな?」 おまえの後ろをついて歩いてきた黒い猫を、抱き上げる。 懐っこい猫……すぐにグルグルと甘えた声出す。 「あは!かわえぇなぁ!」 大きな花束を抱えたまま、黙ってコッチを見てる。 「オジャマしまぁーす!」 『えっ、ちょっ…!』

2016-06-03 23:40:18
りえこ @eighter_rieko83

4 構わず奥へ。 最初に開けた扉の奥……生活感を感じるリビング。 「ふーん……。」 ほんまは…いつか壊してやりたいと思う、幸せの匂いがするリビング…。 猫を床におろし、興味のままゆっくり見て歩く。 『ねぇ…章大…、今日どうしたの……?』 「さっき言うたやん、届けもん!」

2016-06-03 23:40:37
りえこ @eighter_rieko83

5 『それはっ…、』 「誕生日祝ったりたいのに、会われへんゆーから、こっちから会いに来たったんやんか。」 見えたキッチンには作りかけの料理。 「……あーなんか、喉渇いた。飲みもんもらってえぇ?」 返事も聞かんと冷蔵庫を開ける。

2016-06-03 23:40:52
りえこ @eighter_rieko83

6 なんや……会われへん理由って、自分のお祝いの為に料理作らなあかんからか。 「あっ、これもらうな?」 『う、うん……。』 缶ビールを開けて、喉を鳴らす。 「…はっ、うんまっ。」 見つめるおまえの前に立つ。 「おまえも飲む?」 『あたしは…いい……。』

2016-06-03 23:41:07
りえこ @eighter_rieko83

7 「夜のお祝いまで飲まへんの?」 『そっ、そういうわけじゃ、』 「俺にもお祝いさせてぇや?」 ひとくち含んで唇を合わせた。 『んっ……!』 送り込みきれず口の端から零れるビール。 戸惑って…、それからオンナの顔になる。 「お宅拝見~♪」

2016-06-03 23:41:21
りえこ @eighter_rieko83

8 『えっ?!』 リビングを出て……、トイレ、風呂場、客間?……それから、息子の部屋……。 『ちょっ、ちょっと待って、章大…!』 じゃ、ここか。 「はっけーん♪」 『あっ、やっ……、』 後ろから俺の腕引っ張るけど……もぉ見つけてもぉたし。 ニャーン……

2016-06-03 23:41:35
りえこ @eighter_rieko83

9 「ごめんなぁ?この部屋ではこの人と、2人きりにして欲しいねーん。」 再びついてきた猫を抱き上げて、廊下へおろして…扉を閉めた。 ベッドの横に突っ立ったおまえに、ジリジリと近付く。 『あ、あの……章大……、何か…怒ってる…?』 「別に?なぁんも、怒ってへんよ?」

2016-06-03 23:41:51
りえこ @eighter_rieko83

10 ほんまやで? 別に怒ったりしてへん。 ただ、好きな女の誕生日を祝いに来ただけやで? 『で、でも、今日……なんか……、』 「なんか、なに?」 『……なんか……、』 ちょっと乱暴にベッドに押し倒す。 跨って、ゆっくり顔を近付ける。 「このベッドでダンナに抱かれてんの?」

2016-06-03 23:42:07
りえこ @eighter_rieko83

11 『なっ……、』 「きのうは?やった?」 『なに……っ、言って……、』 「ふふ、冗談。そんなん別聞きたないし。」 『…………っ。』 顔を近付けた体勢でしばらく黙って見つめて、それから身体を起こした。 上に座ったまんま、ゆっくり…恥ずかしさを煽るように服を脱がしてく。

2016-06-03 23:42:20
りえこ @eighter_rieko83

12 レースのカーテンだけの部屋は、太陽の光をそのまま通す。 すべての布を剥ぎ取ったら、恥ずかしそうに、両手や足で隠そうとする。 黙って手首を掴んで、ベッドに押し付けた。 「ふふ……まる見えやな……。」 赤くなって目を逸らす。 いきなり胸の先を含んで、それから舐め回した。

2016-06-03 23:42:50
りえこ @eighter_rieko83

13 『はっ……!あっ……っ……!』 強めに吸って…優しく舐めて……右も…左も…。 それだけで厭らしくうねりだす腰。 「ダンナと寝とるベッドで、他の男に抱かれるって、どんな気持ち?」 すっかりオンナの顔になったおまえ。 顔を赤くしたまま、何も答えない。

2016-06-03 23:43:12
りえこ @eighter_rieko83

14 再び顔を近付けて、至近距離でわざと。 「腰動いてんで?そんな興奮してんの?」 『ち、ちがっ…!』 「じゃあ確認すんで?」 太腿の間に指を滑らす。 そっと触れただけで、音が聞こえた。 『は、ぁっ……!』 「ははっ、なにこれぇ?」 そのまま中を掻き回す。

2016-06-03 23:43:32
りえこ @eighter_rieko83

15 『ぁっ、んんっ、やだっ……ヤメてっ、しょおたっ……!』 「そんなん、よぉ言うわぁ。気持ちよさそに腰動かしてるやんかー。」 『やっ、ちがっ…!!』 足を大きく開いて、今度はそこに顔を近付けた。 逃げようとする身体の太腿に片手を回して、しっかりと動きを封じる。

2016-06-03 23:43:52
りえこ @eighter_rieko83

16 指を抜き差ししながら、膨らんだそこを舌で刺激。 逃げようとする力はすぐに無くなって、代わりに気持ち良さそうな喘ぎ声。 太腿から腕を離し、手を伸ばして胸の先を摘んだ。 その手に自分の手を重ね、“もっと”と強請る。 どんどん狭くなってくそこ。

2016-06-03 23:44:10
りえこ @eighter_rieko83

17 そろそろ、かな…。 パッと全ての刺激を止める。 『……はぁっ、はぁっ、はぁっ……。章大……?』 「俺からの誕生日プレゼント、受け取る?受け取らへん?自分で決めてーや?」 『……えっ……?』 物欲しそうな目で、俺を見上げる。 「ほら、どぉするん?」

2016-06-03 23:44:26
りえこ @eighter_rieko83

18 悩む素振り。 答えは……決まっとるくせに……。 『……う、受け取る……。』 「まぁ、そぉやろな?」 一気に奥まで。 声にならない声を上げて、身体全部がうねった。 そのまま、激しく揺さぶる。 『あ、んっ…、んっ……!』 「そんな声出したら、お隣さんに聞こえんで?」

2016-06-03 23:44:40
りえこ @eighter_rieko83

19 あ、また…ギュッと狭くなった…。 「はっ…、あかん……っ。」 腹の上に吐き出した。 やって……、ここのルール違反は……あかんやろ…? 「はぁ……はぁ……。」 おまえの顔を覗き込む。 俺と同じように、ゆっくりと呼吸を整えようとしとる。

2016-06-03 23:44:57
りえこ @eighter_rieko83

20 こんなに…愛してんのに……こんな愛し方しかでけへん……。 「…なぁ……、勝手に家来て…ごめんな…?」 『……章大……。』 「……もぉ……ここには来ーへんから……。」 『ん……いいの……。』 「ここには来ーへんから……また……俺んち来てくれる……?待ってるから……。」

2016-06-03 23:45:21
りえこ @eighter_rieko83

21 『…うん…。』 「……ほんま……?俺に…会いに来てくれる……?」 『行くよ……章大に会いに行く…。』 「良かった……。」 優しくキスをして、首元に顔を埋める。 「……もうちょっとだけ……こうしててえぇ?」 『うん…いいよ…。』 ギュッと抱きしめる。

2016-06-03 23:45:34
りえこ @eighter_rieko83

22 それに応えるように、俺の背中にはおまえの手が回る。 「誕生日おめでとぉ……。」 ニャーン…… 扉の外で共犯者の声が聴こえた。 Fin. pic.twitter.com/WF1rJYnDzl

2016-06-03 23:45:53
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