一般人が頑張る話-前編-

ショーンがグランクレスト大戦非公式5期「7loops」で幼馴染を助けるために頑張る話です。
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ワンヂェン@条君SGOTP/よ鹿 @nohla_lia

【危機/戦功7】ショーン@同盟を手強いと見た敵軍は、歴戦の邪紋使いを投入! あなたがアーティストなら能力の弱点を突かれ苦戦、HP-10、SP+9。でなければHP-6、SP+7。 appli-maker.jp/analytic_apps/… #七廻フレーバー #一般人が頑張る話

2016-05-29 19:08:29
ワンヂェン@条君SGOTP/よ鹿 @nohla_lia

この繰り返しの時間が、ショーンは神様のくれた猶予だと思っている。彼の幼馴染であるユリアナを助けることのできる時間であると。一度目は敵の投石に直撃し、二度目は宿舎を投影体が燃やされた。このループが彼女を救うためだけに存在しているのではという気さえしているのだ。 #一般人が頑張る話

2016-05-29 19:21:31
ワンヂェン@条君SGOTP/よ鹿 @nohla_lia

そして今日……三度目の五日目をショーンは迎えている。ただの一兵士に過ぎないショーンが、この戦場で目立つわけがない。それをできるのは、二回、この場所を経験しているからだ。しかし、多少運動能力の高いくらいの兵士が活躍することもない。 #一般人が頑張る話

2016-05-29 19:25:51
ワンヂェン@条君SGOTP/よ鹿 @nohla_lia

討った敵兵の数は多くない。だが彼の働きにより、確かに奴らは足止めをくらっていた。 「行かせねえよ!てめえらをここから先にはな!」 森を背にしたまま、敵を挑発して剣を構える。この先には街があり、今までの経験上まだ避難は完了していない。どうにかして食い止めねば。 #一般人が頑張る話

2016-05-29 19:45:45
ワンヂェン@条君SGOTP/よ鹿 @nohla_lia

まずは弓兵が俺目掛けて、射撃を行なう。それを後ろの森に入って、木を盾に防ぐ。続いてくる歩兵達も、この場所では広がりにくい。その分だけ数の有利というものが消える。森の中を走って距離を取る。走って走って走る。ここは若干高くなっており地形はこちらに分がある。 #一般人が頑張る話

2016-05-29 20:28:10
ワンヂェン@条君SGOTP/よ鹿 @nohla_lia

ショーンは丘状になっている場所まで走る途中で、一回だけ軽くジャンプをする。木と木の間に縄を結び、トラップを仕掛けておいた。塗装もしてあるため、見つけにくい。すると後ろの方でドドドと、沢山の人間が崩れる音を聞いた。それでも半分ほどは追ってくるだろう。 #一般人が頑張る話

2016-05-29 20:43:20
ワンヂェン@条君SGOTP/よ鹿 @nohla_lia

小さな丘状になっている場所まで着くと、そこを登り小さい丸太を何本か転がす。坂になっているので、それらは下に転がり多くの敵へと直撃した。倒すまでには至らないが、それでもあれを退かして来るには時間がいる。その頃には避難も完了しているはずだ。 「よっしゃ作戦成功!」 #一般人が頑張る話

2016-05-29 21:48:51
ワンヂェン@条君SGOTP/よ鹿 @nohla_lia

下で渋滞している敵兵達を見てガッツポーズ。 「じゃあ俺はお暇させてもらうぜ。時間は充分稼いだんだ。後は他の兵がやってくれるはず、うおわ!?」 突如足元が弾け、その衝撃で身体が宙へ浮く。足元の感覚がなくなったと思った後すぐに、背中から地面へ叩きつけられた。 #一般人が頑張る話

2016-05-29 21:58:38
ワンヂェン@条君SGOTP/よ鹿 @nohla_lia

「かっは……!?」 それにより肺の中の空気が全て吐き出される。咄嗟に自分がいた場所を見ると、さっきまで自分がいた場所が抉り取られていた。直撃していれば、自分がああなっていたと思うとゾッとする。 「な、なんだ……!?」 #一般人が頑張る話

2016-05-30 10:53:59
ワンヂェン@条君SGOTP/よ鹿 @nohla_lia

「あー……外しちまったぁな。まぁー精々逃げな。そっちの方が狩りは楽しいからよ」 倒れている兵士達のその先から聞こえた声。声の主には羊のような角が生え、手の指は長く伸び、腕からは鬼という印象を受けた。そして下半身は獅子。まさに悪魔という呼び名が相応しかった。 #一般人が頑張る話

2016-05-30 12:21:04
ワンヂェン@条君SGOTP/よ鹿 @nohla_lia

「なんで……!?なんで邪紋使いが俺の方へ!?」 動揺する俺のことを他所に、悪魔の邪紋使いが手をこちらに向けた。わかる。またさっきのがくる! 俺は転がりながら、直様身体を起こす。背を向けて走り出そうとしたところでまた地面が弾けた。 「ぐわああああ!?」 #一般人が頑張る話

2016-05-30 12:25:44
ワンヂェン@条君SGOTP/よ鹿 @nohla_lia

再び身体が爆風で浮き上がる。今度は身構えていた分、体勢を崩しことはなかった。むしろ今ので距離を稼げたくらいだ。着地に成功するとショーンはすかさず走り出した。 「あんな化け物に勝てるわけねえだろ!クソが!」 「そぉだそぉだ。もっと俺を楽しませてくれよぉ、なぁ?」 #一般人が頑張る話

2016-05-30 12:43:30
ワンヂェン@条君SGOTP/よ鹿 @nohla_lia

走る。走る。走って、走って、走った。でもどこまで走っても、いつまでも走り続けても、逃げられない。ずっとあの悪魔は追ってくる。 「あんなんどうすりゃ良いんだよ!?」 視界が晴れ、森を抜けたのだとわかった。けれど……。 「あ……」 #一般人が頑張る話

2016-05-30 13:10:03
ワンヂェン@条君SGOTP/よ鹿 @nohla_lia

崖。この先は行けない。別の道を探さなきゃ。 「もう鬼ごっこは終わりみてえだなぁ。よく頑張った方じゃねぇか?」 声が聞こえる。ダメだ。死ぬ。 「じゃぁな」 邪紋使いの男が手を振り上げる。 (クソ!ここまでか!) 恐怖で目を閉じ身構えた。 #一般人が頑張る話

2016-05-30 13:37:34
ワンヂェン@条君SGOTP/よ鹿 @nohla_lia

しかし幾ら待っても手が振り下ろされることはない。ショーンは気になって目を開けてみると、男は彼に背を向けていた。 「ちぃ!邪魔が入ったか」 「大丈夫か一般兵!速くそこから離れるんだ!」 男が対峙していたのは同盟軍の前線で、旗を振っていた君主の女性だ。 #一般人が頑張る話

2016-05-30 16:05:26
ワンヂェン@条君SGOTP/よ鹿 @nohla_lia

彼女が俺にそう呼びかける。一瞬どうなってるのか理解が追いつかなかったが、すぐに理解できた。助けに来てくれたのだと。 「は、はい!」 男の脇を走り抜けるが、男は俺の方には見向きもしない。わかっていたが、遊ばれていたのだと実感する。 #一般人が頑張る話

2016-05-30 16:08:05
ワンヂェン@条君SGOTP/よ鹿 @nohla_lia

「よく頑張ったな。後は任せろ」 彼女の横を通る間際にそんな言葉を掛けられる。思わず止まりそうになったが、その腕に背中を叩かれ走ることを余儀なくされた。そして俺は、激しい戦闘音のする戦場に背を向けて逃げ出した。 #一般人が頑張る話

2016-05-30 16:12:00
ワンヂェン@条君SGOTP/よ鹿 @nohla_lia

そしてひたすらに走って、俺はついに避難している村人達に追いついた。そのことが嬉しくて、俺は崩れ落ちる。心配になったユリアナは俺に駆け寄り、他の村人達は一瞬驚いた様子を見せたが、俺だとわかると安堵の息を吐いていた。 「ショーン!大丈夫?って怪我してるじゃない!」 #一般人が頑張る話

2016-05-30 16:17:26
ワンヂェン@条君SGOTP/よ鹿 @nohla_lia

「これくらい……大丈夫だよ。ユリアナがいれば何も……」 彼女の手を額に当ててそう返す。幼馴染は顔を赤くしたが、すぐにいつも通りに戻っている。 やっとここまで来れた。3回目にしてやっと。召喚魔法師がいる方向とは別の方向へ向かわせた。避難もできてる。 #一般人が頑張る話

2016-05-30 16:21:18
ワンヂェン@条君SGOTP/よ鹿 @nohla_lia

邪紋使いも今頃戦っているはずだ。やっとユリアナが助けられるんだ! 「え……?」 ユリアナの顔は一瞬にして真っ青に変わる。その声に顔を上げると、彼女の腹が見覚えのある大きな腕に貫かれていた。 「まさか……」 #一般人が頑張る話

2016-05-30 16:26:32
ワンヂェン@条君SGOTP/よ鹿 @nohla_lia

その手の主は先ほどの邪紋使い。そいつがユリアナの腹を裂いたのだ。 「よぅ、さっきぶりだな。小僧」 「あ……あ、あ」 今度こそ俺にその腕が振り下ろされた。 俺は3回目も失敗してしまったのだ。 #一般人が頑張る話

2016-05-30 16:28:46
ワンヂェン@条君SGOTP/よ鹿 @nohla_lia

腹を貫かれる激痛の後に視界が暗くなる。意識がなくなったのだと気付いた頃にはもう手遅れだった。 その時俺は、初めて死を体験したのだ。 「は!?」 俺は目が覚めると、見慣れたベッドの上にいた。さっきまでの痛みや恐怖、それらのせいで跳ね起きる形となった。 #一般人が頑張る話

2016-06-01 23:47:30
ワンヂェン@条君SGOTP/よ鹿 @nohla_lia

「はあ……はあ……夢、なのか……?」 いや違う。夢だったら、あれが悪夢だったらどれだけ良かっただろう。そう何度も願った。ユリアナの死も、このループした世界も、この大戦そのものが夢だと信じたかった。しかし無情にもこれが現実だと思い知らされる。 #一般人が頑張る話

2016-06-01 23:50:47
ワンヂェン@条君SGOTP/よ鹿 @nohla_lia

「今日が4月1日なら、確か今日の朝は玉ねぎのスープとパン。そしてこのままここにいると……」 ドタドタと外の廊下を走る音が聞こえ、それが自分の部屋の前に来たところでドアが勢いよく開け放たれた。 「ショーンおはよーう!朝ごはん出来てるわよー!」 #一般人が頑張る話

2016-06-01 23:58:47
ワンヂェン@条君SGOTP/よ鹿 @nohla_lia

「ああ、おはようユリアナ」 俺は入ってきた幼馴染に挨拶をして、ベッドから降りた。 「なんか珍しいね〜。ショーンが自分で起きれてるなんて。いつもは私が起きるまで寝てるのに。ひょっとして怖い夢でも見たり〜?」 と彼女は悪戯っぽく笑って見せた。 #一般人が頑張る話

2016-06-02 00:02:16
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