夕焼け色の涙

ゆずなぎ @yuzukinagi_you

【秋×Shingo①】 学校の帰り道 「信ちゃーん、待ってー」 俺を呼ぶ声に振り返る 『そんな走って、どないしたん？』 「一緒に帰ろっ」 息を切らして隣に並ぶ彼女 『おん、ええよ』 呼吸を整えて 「ふふっ、良かった」 微笑みを向ける #枕草子

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【秋×Shingo②】 「だいぶ涼しくなったよね」 『ホンマやなー』 この前までの暑さが嘘みたいに 『あのさ…それ、寒ないん？』 「え？大丈夫だよ？」 日が傾くと、空気の冷えを感じ始める様になった 「信ちゃん、さ」 『なんや？』 #枕草子

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【秋×Shingo③】 言いにくそうに口を開いた 「好きな人…いる？あ、言いたくないんだったら別にいいんだけどっ」 慌てた様に、笑って誤魔化そうとする 『…居るって言うたら、どうする？』 「え…居る、の？」 俺の言葉に、微かに曇る彼女の表情 #枕草子

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【秋×Shingo④】 『…そういうお前は、好きな奴居るん？』 遠くで雁が空を渡り、差し込む夕日が２人の後ろに影を落とす 「私…？うん…居るよ…」 その瞬間…時間が止まった気がした 『それ誰？俺が知ってる奴…？』 腕を掴み、歩みを進める彼女を引き止める #枕草子

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【秋×Shingo⑤】 「…っ、知ってる人だったら、どうするの？」 俯いて、目も合わせようとしない 『どぉするって…いや、気になるやんか…』 「気になる…？なんで…？信ちゃん、好きな人居るんでしょ？だったら、期待なんてさせないでよ…っ」 #枕草子

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【秋×Shingo⑥】 腕を振り払い、駆け出す彼女の頬を涙が濡らしているのが見えた 『っ！おい、ちょお待てや！』 姿を見失わないように後を追う 『なぁ！待てって！』 「付いて来ないで…っ」 じわじわと距離を詰め、やっと伸ばした手が彼女を捉えた #枕草子

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【秋×Shingo⑦】 「離して…っ、離してよっ！」 それでもまだ、俺から逃げようとするから 『離さへんよっ！』 抱き寄せて、腕の中に閉じ込めた 「なんなの…っ？もう、分かんないよ…っ」 俺の胸を叩きながら 「なんで私ばっかり、こんなに好きなの…っ」 #枕草子

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【秋×Shingo⑧】 気持ちを吐き出していく 「私のこと好きじゃないなら、優しくしないでよ…っ」 大粒の涙が、胸を濡らす 『好きやないなんて言うてへんっ！』 「だって、好きな人居るって…っ」 くしゃくしゃの顔を上げ、俺を映す瞳 #枕草子

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【秋×Shingo⑨】 『あれは…っ！…お前の気持ちが知りたなって試してもてん、スマンっ』 「どういう、こと…？」 戸惑う声が、その先の言葉を促す 『俺のこと、どう思ってんのか気になってん…やから、居ったらどうするって…』 彼女の頬を伝う涙を指で拭う #枕草子

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【秋×Shingo⑩】 『泣かすつもりやなかってん…ホンマにスマン…』 交わる視線 「それって…」 『…俺もお前が好きや。先に言わせるなんて…あかんな、俺』 「私…諦めなくていいの？」 濡れた瞳が揺れる 『当たり前やん、諦められたら俺が困るわ』 #枕草子

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【秋×Shingo⑪】 一度止まりかけた涙が、また流れ出す 「～っ、信ちゃんっ」 『好きやねん、お前が』 鈴虫の声と秋の匂いが、２人を包んだ #枕草子 pic.twitter.com/Mmy77SxS5h

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【 秋 】 #枕草子 pic.twitter.com/x4hTPGLa3b

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