ラストバレット―Keep under― 所属

貧富の差が拡大した近未来。 選ばれた富裕層は自らの安全と権利を守るため『オーバー』と呼ばれる特区を形成。 それ以外の地区を『アンダー』と呼び、管理するようになる――。 続きを読む
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ニンジャカタナ! @NJkatana

こんばんは!本日の夜2100頃より、@NJkatanaにてラストバレット第二話のツイッター投稿を行います。1話完結の短編になっていますので、どうかお気軽にご覧下さいませ!よぉし、全部みてやるぞ!という方は、ぜひぜひ、上のアカウントをフォローしてみてください٩(๑•̀ω•́๑)۶

2016-06-13 18:40:27
ニンジャカタナ! @NJkatana

こんばんは!予告通りただいまより、@NJkatanaアカウントにて、小説、ラストバレットのツイッター投稿を開始します!時間は約1時間を予定しています!冒頭数ツイートは作者アカウントでも宣伝のため投稿しますが、残りはぜひ上記アカウントをフォローしてご覧くださいませ!

2016-06-13 21:00:00
ニンジャカタナ! @NJkatana

それでは、お忙しいお時間にTLをお借り致しますが、どうかラジオ感覚で、お気軽に流し見して頂ければ幸いです!本日も宜しくお願い致します。<(_ _)>

2016-06-13 21:01:02
ニンジャカタナ! @NJkatana

ラストバレット―Keep under― 所属 ――――――――――――――◆

2016-06-13 21:01:48
ニンジャカタナ! @NJkatana

『人類は、みな平等であるべきです。アンダーやオーバーなどという壁に隔てられた今の世界は、確実に滅びに向かっていると言えるでしょう! ぜひ、次の選挙ではこのタリ・ライレインに――』 陽の光に照らされた小綺麗なオフィス街。大音量で流される放送にも、道行く一般人は注意を払わない――。

2016-06-13 21:02:50
ニンジャカタナ! @NJkatana

「うるせぇな」 大通りの一角。林立する高層ビルの一つ。その中で俺は、イラついた呟きと共に愛用の拳銃で照準を定める。 『人類は、みな平等であるべきです。アンダーやオーバーなどという壁に隔てられた今の世界――』 「黙ってろ」 銃声。スピーカーが破壊され、耳障りな放送が終わる。

2016-06-13 21:05:04
ニンジャカタナ! @NJkatana

静謐さすらたたえたビル内。黒服の男5人が血の海に沈む。 男達はみな正確に眉間、もしくは首、もしくは心臓を撃ち抜かれ、即死。断末魔の悲鳴すら上げずに死んだ。 そして、その惨劇を引き起こした張本人は――俺だ。 「やっと静かになったな」

2016-06-13 21:07:28
ニンジャカタナ! @NJkatana

俺の名はラウール。   世界中で勃発する軍事紛争に、国家の代理として対応する傭兵派遣会社『ギルド』所属の傭兵。 今回俺は、このビルで放送を行う政治家、タリ・ライレインの暗殺を請け負った。こいつらは、任務のために必要な犠牲ってわけだ。 『ラウール。ターゲットは上だ。階段を使え』

2016-06-13 21:09:44
ニンジャカタナ! @NJkatana

「わかった」 楽な仕事だ。 自慢じゃないが、俺のギルドでのランクはA。戦力で言えば、俺を止めるには機械化された歩兵数十人が必要になる。 生半可なSP共じゃ相手にもならない。俺は左目に備わった生体直結型のデバイスを操作、ビルの構造を確認していく――。

2016-06-13 21:12:09
ニンジャカタナ! @NJkatana

下の奴らと違い、この階の奴らはそれなりに手慣れていた。俺の襲撃を確認したこの階のSPは、即座に上層へ続くエレベーターを止めやがった。おかげで、俺はこうして階段を使うはめになった。 「楽な仕事だ」 『油断は貴様の悪い癖だ』 皮肉めいた口調で言う俺に、ナビの鋭い指摘が突き刺さる。

2016-06-13 21:15:18
ニンジャカタナ! @NJkatana

「ようやくA級まで上り詰めたんだ。ヘマはしない」 『そうしてくれ』   ふと、僅かに柔らかい口調を見せるナビの――俺の相棒、ルビィの声。口調はキツいが、実物は相当な美女だ。   ギルドに所属し、こいつが俺のナビだと言われたときは、生まれて初めて神ってものに感謝した程だった。

2016-06-13 21:16:47
ニンジャカタナ! @NJkatana

「俺のランクが上がれば、お前だって嬉しいだろ?」 『――特段、そのようなことはない。そして、Aの上はSしかない。お前にS級は無理だ』 「はっ、手厳しいね」 長く続く階段を昇りつつ、俺は肩をすくめた。

2016-06-13 21:18:22
ニンジャカタナ! @NJkatana

――ギルドには、傭兵の実力に応じたCからSまでのランクがある。 さっきも言った通り俺はA級。A級ともなればその実力は折り紙付き。国家から直接の指名依頼だって入る。 一仕事の報酬も、それだけで一生遊んで暮らせるほどだ。が、俺はそんなことで満足しちゃあいない――。

2016-06-13 21:20:34
ニンジャカタナ! @NJkatana

「俺はお前が欲しいんだ。ルビィ」 『任務に集中しろ。ラウール』 相変わらずそっけないルビィの態度。しかし、当然そんなことでめげる俺じゃない。 「もし俺がS級になったら、少しは考えてくれるか?」 『……』 俺の問いにルビィは無言。階段が終わる。ターゲットは、ここの階か――。

2016-06-13 21:22:05
ニンジャカタナ! @NJkatana

「目的の階についた。今から突入する」 『――わかった。用心しろ』

2016-06-13 21:23:32
ニンジャカタナ! @NJkatana

俺の存在は既に明らかになっている可能性が高い。そして進入路はこの非常階段だけ。俺は扉にワイヤーをかけ、数メートルの距離をとってゆっくりと引く――。 だが、待ち伏せを警戒した俺のあてはあっけなく裏切られる。銃声も、トラップもない。重い金属製のドアが、ただ引き開けられただけ――。

2016-06-13 21:24:00
ニンジャカタナ! @NJkatana

(間抜けか、罠か) しかし、扉が開けばいくらでもやりようはある。俺は左目の生体デバイスで扉の向こう側をスキャンする。広々とした来賓用の展望ホール――。 生体反応は――5つ。4つは奥のバリケード状の棚の向こう。1つがホールの中央で待ち構えてる。俺は、思わずヒュウと口笛を吹いた。

2016-06-13 21:26:08
ニンジャカタナ! @NJkatana

「随分と男前じゃないか。西部劇のガンマンにでもなったつもりか?」 俺は言いながら扉を潜り、拳銃を構えてホールへと進み出る。 「――乱戦にはしたくなかった」 そこには、黒髪に灰と黒のパーカージャケット。そして二丁の拳銃のうち、一丁を俺に対して構えて立つ黒髪の少年の姿――。

2016-06-13 21:27:38
ニンジャカタナ! @NJkatana

身なりはガキだが、その堂に入った構え。そして射貫かれただけで心臓まで掌握されているような眼光。このガキがただ者じゃないことは一目でわかった。 下手をすれば、俺よりも――。 「お前一人、政治家様の護衛ってわけか?」 軽口を叩きつつ、俺は生体デバイスでルビィに状況を送信する。

2016-06-13 21:29:41
ニンジャカタナ! @NJkatana

「少ない方が楽なんだ」 「同意だ。足手まといが何人居ようが、壁にもなりゃしねえ」 『(ラウール、今すぐ任務を放棄し撤退しろ。その少年はユウト・キサラギ。S級三位。同業者だ)』 銃を構えたままの俺に、若干焦りを含んだルビィの声が届く。同僚だと? しかもS級ときたもんだ。

2016-06-13 21:31:26
ニンジャカタナ! @NJkatana

傭兵同士の任務のかち合いは日常茶飯事。ギルドはデカイ組織だ、所属する人数も膨大。そいつらが請け負う依頼全てを管理するなんて出来ちゃいない。だが、そこには自然と暗黙の了解がある。 『階級が上の相手には譲る』 それはギルドに入る報酬の額からも、俺達の安全のためにも必要なルールだ。

2016-06-13 21:33:24
ニンジャカタナ! @NJkatana

『(どうしたラウール。三位は戦闘狂ではない。身分を明かせば戦闘になる確率は低い)』 高速で思考する俺の脳内。どこか遠くでルビィの声が響く。 S級三位――ユウト・キサラギ。 純粋な身体能力のみでS級に君臨する唯一の存在――。 「ああ、今確認が取れた。俺はラウール。同業者だ」

2016-06-13 21:34:56
ニンジャカタナ! @NJkatana

俺は両手を挙げ、三位に対し戦闘の意志がないことを示す。 「そっちのナビにも確認してくれ。すぐにわかるはずだ」 「――A級の、ラウール・ヴァルメラール。俺の方でも確認できました」 三位は視線だけで頷く。銃口は……降ろさない。獲物は俺に向けたまま。流石はS級ってところか――。

2016-06-13 21:37:34
ニンジャカタナ! @NJkatana

「おいおい、ルールは知ってるだろ? あんたとやり合うつもりはねぇよ」 俺が拳銃を胸のホルスターにしまうと、やっとのことで三位は銃口を俺から外す。 (S級三位――他のバケモノ共はともかく、純粋な身体能力だけなら、俺にも勝機はあるんじゃないのか?)

2016-06-13 21:39:38
ニンジャカタナ! @NJkatana

俺の左半身は大規模な機械化手術を受けている。拳銃を抜く速度は常人を遙かに超え、そして一度銃口を向ければ、脳神経とリンクした特注の銃が、0コンマ1ミリの誤差も許さない正確性で相手を撃ち抜く。 三位がここまで銃だけでのし上がったというのなら、それは俺も同じ事だ。

2016-06-13 21:41:10