ラストバレット―Keep under― 所属

貧富の差が拡大した近未来。 選ばれた富裕層は自らの安全と権利を守るため『オーバー』と呼ばれる特区を形成。 それ以外の地区を『アンダー』と呼び、管理するようになる――。 続きを読む
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ニンジャカタナ! @NJkatana

(不意の遭遇とは言え、S級を倒したとなれば俺がその後釜に座る可能性は高い――) 脳裏に、先ほど交わしたルビィとの会話が蘇る。 ――もし俺がS級になったら、少しは考えてくれるか――? ルビィは返事をしなかったが、そもそもあいつが返事をしない時点で、肯定しているようなものだ。

2016-06-13 21:42:30
ニンジャカタナ! @NJkatana

(俺は、A級なんて肩書きには興味もない。金にも、明日の生活にもだ) ただ一人の女が俺の元にいてくれればいい。それを手に入れられるのなら、俺はどんな奴だって倒し、上回ってみせる。 そう――その相手が例え、世界で七人しかいないS級傭兵の一人だったとしても――。

2016-06-13 21:44:35
ニンジャカタナ! @NJkatana

ゆっくりと距離を取る。三位の意識は俺に向いたまま、これを外すことは出来ない。銃口を降ろさせただけでも奇跡。ここまでくれば後は早撃ちと正確性で勝負は決まる。 『(心拍数、脈拍が上がっているぞ。ラウール、何を考えている!?)』 待っててくれ。もうすぐお前を手に入れてみせる――!

2016-06-13 21:46:12
ニンジャカタナ! @NJkatana

瞬間、俺は左足のギミックを作動させ、右側面に向かって一瞬で加速。同時に空中でホルスターから拳銃を引き抜く。即座に拳銃と脳神経がリンクし、左目のデバイスにロックカーソルが明滅。俺からの不意の一撃に、まだ照準を付けている最中の三位に先んじ――。 「――っ!?」

2016-06-13 21:48:11
ニンジャカタナ! @NJkatana

銃声。それは三発。 俺が握り込んだ拳銃がはじけ飛び、空中で爆散。次いで左膝関節、左肩間接に着弾。機械化されたパーツ同士の接続が破壊され、ちぎれて切断。 一瞬で丸裸にされた俺は跳躍の勢いを殺すことが出来ず、壁面に叩き付けられ無様にはね飛ばされ、地面を舐めた。 「く、クソッ!」

2016-06-13 21:49:40
ニンジャカタナ! @NJkatana

つばを吐き、俺は残った右腕を地面に叩きつけ、必死で起き上がろうとする。まだだ、まだ終わってねえ! 「――よく狙われるんです。俺」 ゾクリ――。 心臓を鷲づかみにされたような感覚。 「でも――俺だってそう簡単に死ぬわけにはいかない」 拳銃のトリガーに指をかける音――。

2016-06-13 21:51:46
ニンジャカタナ! @NJkatana

「すまねぇ、ルビィ……また始末書だ」 『――この、大馬鹿者が!』 銃声。 同時に、俺の意識は衝撃と共に闇の中に消えた――。

2016-06-13 21:53:54
ニンジャカタナ! @NJkatana

――それから数日後。 俺は、病院のベッドの上で目を覚ました。 始めは状況を把握できなかった俺も、山積みになった諸々の請求書と始末書。そしてギルドからのB級降格通知には綺麗さっぱり目が覚めた。

2016-06-13 21:56:51
ニンジャカタナ! @NJkatana

どうやら、三位は俺を殺しはしなかったらしい。だが、ご丁寧に機械化された箇所は確実に壊していきやがった。一体幾らかかると思ってやがる――。 「これに懲りたら、二度と馬鹿なことはするな」 包帯でミイラのようになって寝る俺の横。パンツスーツ姿のルビィがいつも以上にキツい口調で言う。

2016-06-13 21:58:36
ニンジャカタナ! @NJkatana

「そうは言ってもよ。俺がS級になったら、俺とくっつくのを考えるってお前――」 「言った覚えはない」 「ハイ……たしかに」 ルビィは無感情な瞳で包帯の隙間から覗く俺の瞳を射貫くと、ことさら念を押すように言う。

2016-06-13 22:01:03
ニンジャカタナ! @NJkatana

「私は自分の命を大切にしない者。明日を考えない者と生涯を共にしようとは思わない。つまり、傭兵相手など初めから御免被るということだ」   「な!? そ、そうなのか……なら、俺もう傭兵やめ――」

2016-06-13 22:02:01
ニンジャカタナ! @NJkatana

「出来ると思うか? これだけの賠償額。貴様のような男が傭兵以外でどうやって返すというのだ。まずはこれを返済してからそういうことは言うのだな」 ルビィの目線は再び山積みになった書類へと向けられる。俺はそれを見て、うんざりという風に包帯だらけの体をすくめた――。

2016-06-13 22:04:10
ニンジャカタナ! @NJkatana

――S級三位。ユウト・キサラギ。 奴がなぜ俺を殺さなかったのかはわからない。だが、あのときの一瞬の交錯。   俺が銃を抜いたときには、俺の銃は既に奴に撃ち抜かれていた。 あの速さ――人間には到底不可能。機械ですら同じだろう。

2016-06-13 22:05:33
ニンジャカタナ! @NJkatana

俺は、最愛の女との一時を再び与えてくれた三位に心の中で感謝しつつも――。 あの少年の持つ底知れぬ力によって、一生消えることのない恐怖を植え付けられたことを、はっきりと自覚していたのだった――。

2016-06-13 22:07:43
ニンジャカタナ! @NJkatana

ラストバレット―Keep under― 所属>>>End >>>to be next ――――――――――――――◆

2016-06-13 22:08:27
ニンジャカタナ! @NJkatana

以上、本日の連載は以上になります!1時間以上にわたってご静聴いただき、誠にありがとうございました!これからも頑張りますので、宜しくお願いします!!

2016-06-13 22:10:39
ニンジャカタナ! @NJkatana

ラストバレット―Keep under―はツイッター小説になります。@NJkatanaをフォローすることで、いつでもラジオ感覚で小説を流し読むことが出来ます。どうぞお気軽にフォローしてくださいませ! カクヨムにて全話閲覧可能です! kakuyomu.jp/works/11773540…

2016-06-13 22:12:55
ニンジャカタナ! @NJkatana

また、本日も連載中にlikeやRTを下さった皆様。本当にありがとうございました!とても励みになっています!とくに全ツイートRTとかマジで感謝しかありません;;; 本当に、本当にありがとうございます!!!٩(๑•̀ω•́๑)۶

2016-06-13 22:16:55
ニンジャカタナ! @NJkatana

さらに、この後22時30分から、ツイキャスで今投稿したラストバレットの朗読を行います。小説読む暇ねえ!って方はぜひこちら、本当のラジオとしてお楽しみになってくださいませ! 本日のツイキャスは10分後の22時30分から朗読します٩(๑•̀ω•́๑)۶

2016-06-13 22:18:28