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RiverInWestern
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鹿奈しかな a.k.a SS
@RiverInWestern
その夜は雨にけぶっていた。廃墟めいて佇む教会にも、重金属酸性雨は容赦なく打ちつける。あるいはそうした光景にゼンを覚える読者もいるかもしれない。が、夜道を行かざるをえない者にとってはそれどころではないのだ……ちょうど、教会の敷地に入り込んだその影のように。1 #4215tk
2016-06-17 21:00:11
鹿奈しかな a.k.a SS
@RiverInWestern
フード付きのPVCレインコートで体をすっぽりと覆ったその影は、水溜りを蹴立てながら教会へと向かう。そのフードの奥から覗く眼には露骨に苛立たしげな光。ふと、その影は足を止めた。教会の入り口に二つの影があったからだ。尻尾を生やした幼い少女と、黒い貫頭衣の少年。2 #4215tk
2016-06-17 21:04:51
鹿奈しかな a.k.a SS
@RiverInWestern
「……なぁ、頼むよロトンテイル＝サン。芋ケンピ食べるにしたってさ、中でいいだろ……」そのうちの片方、少年の声を聞いたレインコートの来訪者が目を細める。彼は再び歩き始めた。その足音は雨音に紛れ、子供たちの耳には届かないだろう。影はオバケめいて彼らに近づく。3 #4215tk
2016-06-17 21:08:04
鹿奈しかな a.k.a SS
@RiverInWestern
「うるさいでし！食べたいのは食べたいところで食べるのが一番いいんでしーっ！……お？」何やらごねていた少女が目を瞬かせる。彼女にしてみれば、いつの間にか第三者が少年の背後に到達していたのだ。驚きもするだろう。少年が訝しげに首を傾げる。その肩が掴まれた。4 #4215tk
2016-06-17 21:12:20
鹿奈しかな a.k.a SS
@RiverInWestern
少年は弾かれたように振り向く。そして見た。レインコートの奥から無感情に見つめてくる……ニンジャの顔を！「……あんたは……！」少年は仰け反る。ナムサン、NRSか？否！彼は挑むようにニンジャを睨めつけたではないか！「なんであんたがここにいる……！」「同感だ」5 #4215tk
2016-06-17 21:16:06
鹿奈しかな a.k.a SS
@RiverInWestern
言葉短かに返したレインコートのニンジャは、空いた片手でフードを外す。無愛想で無骨な男の顔が露わとなった。少年は唸り、おもむろにアイサツを繰り出した。「……ドーモ、ショートセンテンス＝サン。キャヴァリーチャージです……！」「ドーモ。ゴブサタだな」6 #4215tk
2016-06-17 21:20:32
鹿奈しかな a.k.a SS
@RiverInWestern
アイサツを終えた二人は静かに睨み合う。剣呑なアトモスフィアが周囲に満ちる。尻尾付きの少女……ゾンビーニンジャ、ロトンテイルは戸惑ったように両者を見やった。彼女は知る由もない。このニンジャ二人の因縁を。それを説明するには数年ほど時を遡らねばならぬ……！7 #4215tk
2016-06-17 21:24:02
鹿奈しかな a.k.a SS
@RiverInWestern
ニンジャスレイヤー二次創作集『テイルス・オブ・ギブン・ネームス』より【ニンジャズ・コリュージョン・イン・フレイム】 #4215tk #すみゆ忍
2016-06-17 21:26:00
鹿奈しかな a.k.a SS
@RiverInWestern
……数年前。ネオサイタマが炎に包まれたあの日のことだ。ショートセンテンスは藍色の風めいて駆けながらIRCによる生存者確認を試みていた。もはや用を成さぬソウカイネットではなく、とある場所で生まれた縁が繋いだ、ごく小規模なチャットルームによって。8 #4215tk
2016-06-17 21:28:05
鹿奈しかな a.k.a SS
@RiverInWestern
結果は、彼の幸運を告げるものだった。リトリートゴング、ジューテイオン、そしてエンデューロ。いずれも生存。なんたるチョージョーか。彼らは短いニンジャ・ブリーフィングを行い、合流を決めた。雷霆めいたザイバツのアンブッシュから体勢を整えるためだ。9 #4215tk
2016-06-17 21:32:02
鹿奈しかな a.k.a SS
@RiverInWestern
ショートセンテンスはそのために急ぐ。一人でザイバツ・ニンジャの群れを相手にするほど非効率的なことはない。彼は瓦解したソウカイヤを切り捨て、己の生存に注力することにに決めていた。……想像していた以上に、それは苦渋の決断であった。だが、死んだら終わりだ。10 #4215tk
2016-06-17 21:36:03
鹿奈しかな a.k.a SS
@RiverInWestern
かつて彼らの首領、ラオモト・カンが心酔していたミヤモト・マサシの言葉を思い起こしていたショートセンテンスは不意に足を止めた。己がニンジャ第六感のざわめきを感じたからだ。すると、ブルズアイ！彼のタタミ五枚分先、黒い影が降下しその行く手を阻んだのである！11 #4215tk
2016-06-17 21:40:01
鹿奈しかな a.k.a SS
@RiverInWestern
ショートセンテンスは目を細め、相手を値打ちした。まず作り物めいた馬。その上に騎乗するは黒い甲冑に身を包む武者めいた存在。それは手に持ったヤリを掲げ、アイサツを繰り出した。「ドーモ。キャヴァリーチャージです」「ショートセンテンス」藍色の風が吹いた。12 #4215tk
2016-06-17 21:44:02