米軍の考える「限定戦争」とは何か?ベトナム戦争まで
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元々、米軍のドクトリンは敵の完全な打倒のみを目指していたものではなかった。1939年版の野外教令では、総力戦にも言及しているとはいえ、「より有利な平和」を獲得するのが勝利である、という観点を失ってはいない
2011-02-10 00:35:49![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
敵を完全に打倒した戦争は、それまでの歴史では南北戦争くらいか。もちろんこれは内戦であり、敵の存続が許されるような政治的状況ではないという条件がある。
2011-02-10 00:38:36![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
米西戦争では、「メイン号を忘れるな」という掛け声の下に戦われたが、別にスペインに上陸したわけでもマドリッドを攻略したわけでもない。
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戦場でははかばかしい成果が出なかった1812年の米英戦争は、むしろ制限戦争を考える上で有益な枠組みを提供してくれるだろう。米側の視点でも英側の視点でも。
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しかし、WW2の経験を受け、「勝利」の意味が「全面戦争での勝利」としてのみ捉えられるようになる。少なくとも、マッカーサーはその視点で朝鮮戦争を見ていた。
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同時期にブラッドレイ元帥は「原状回復から敵の完全な打倒まで、勝利には幅がある」と議会で証言している。しかし「核を持つ世界の警察官」は、やがてこの視点を忘れていく
2011-02-10 00:52:15![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
限定戦争を巡るもう一つの混乱は、「限定」の中身だった。「全面戦争」に対し「限定戦争」というときの「限定」とは、「戦争目的」の限定である。
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もちろん手段は目的とバランスが取れている必要がある。このため「限定戦争」では手段にも制限がある場合が多いが、それは必ずしも本質的なものではない。
2011-02-10 00:58:23![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
核兵器はその威力のため、手段として非常にバランスが悪い。しかしこのバランスが悪い兵器の使い方が「戦略」を支配した時代があった。それは大量報復戦略だけではない。
2011-02-10 01:07:38![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
柔軟反応戦略は「目的と手段とのバランス」を取り戻す戦略だと見られた。しかし、それは「核を使わないために戦闘手段を制約する」という戦略であって、目的と手段が転倒していた事に変わりは無い。
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このため、ベトナムのジャングルでは「ベトコンと戦うために、ベトコンと同じ戦い方」をすることが求められた。それは米軍の戦争目的とバランスが取れていたのだろうか?
2011-02-10 01:12:18![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
そしてそれは、ベトナムでの主敵が北ベトナム正規軍だと判明してからも変化は無かった。またその戦い方が米軍に向いているかどうかも深くは追求されなかった。
2011-02-10 01:14:53![](https://tgfile.tg-static.com/static/web/img/placeholder.gif)
1962年版の米陸軍野外教令では「全面(核)戦争にならないように、紛争を迅速且つ決定的に収拾する事が、米軍の緊要な目標となる」とある。確かに、ゲリラ戦に留めれば核戦争にはならないかもしれない。勝てるかどうかはともかく。
2011-02-10 01:19:00