空想の街・氷涼祭・2016 1日目

twitter上の創作企画「空想の街」の1日目のまとめです。 不備や漏れ等があれば公式アカウントか主催までお願いいたします。
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萌葱[moegi] @hmoegi

雨は上がったようだ。大きな帽子を傾けて、暗い夜空を見上げる。雲は厚いが、濡れないのなら良しとしよう。私は #色売り 。久しぶりに訪れる街は、どんな色を見せてくれるだろう。始まりの夜、眠る誰もに良い夢を。#夢闇色 (ゆめやみいろ)の小瓶をひとつ、挨拶代わりに空へ掲げる。 #空想の街

2016-07-01 00:13:31
脩生 @amenote07

ぱらぱらとお話は進んでいく。「赤い屋根のおうち、ひとりぼっちなの?」「このあと…どうなったの?」「かわいそう」静かに聞いていた子供たちが眉を下げて聞いて来ます。「大丈夫、心配しなくていいよ。少し経って赤い屋根の家には新しい人が住むようになったんだ」 #絵本屋さん #空想の街

2016-07-03 01:53:53
脩生 @amenote07

にっこりと笑顔の花を咲かせる子供たち。やはり素直で可愛い。僕にもこのくらい素直で純粋な頃があったのだろうか。ふと息をつけば何やら外が薄明るい。ああ、もうこんな時間か。「今日のところはそろそろ終わりにしよう。時間だ」朝が近付いてくる。絵本屋は閉まる時間だ。 #絵本屋さん #空想の街

2016-07-03 02:05:11
脩生 @amenote07

子供たちを見送ってから、店の看板を返す。「CLOSED」これでよし。気持ちの良い朝だ。天気予報によると今日は暑いらしい。さて、と。少しだけ仮眠を取ろうかな。ああ、これも忘れたらいけないね。風船を店の外に吊るす。よく見えるように。 #絵本屋さん #空想の街

2016-07-03 02:13:05
はなまめ @gp_c_

はぁい、ちょいとお待ち下さいなって今行きますよゥ……おや、兄さんか。 #空想の街 #オトトイ食堂 そうでございますよ、なぁにご心配召される程もありませんさね。

2016-07-01 00:16:00
はなまめ @gp_c_

なんせ死人生き人、口があるなら食う物はあるってんだ。 #空想の街 思い出唄えば酒の雨降る飯の花咲く #オトトイ食堂 、なかなか閉まらないってのが売りでございますからね。さぁさ、座った座った!まずは……何に致しましょ?

2016-07-01 00:17:05
こみや@空想の街 @Ne2_co

「ね、楽しみだね」 ちどりが小さくわらって言った。 うつぶせになって、まくらをかかえこんで、足をぷらぷらさせている。 「ん」 めじろはちどりを見つめかえしてうなづいた。 #空想の街 #鳥に纏わる掌編

2016-07-01 00:04:34
こみや@空想の街 @Ne2_co

「ぼくらのゆかた、少し大きくなおしてくれるって、言ってたね」 「ん」 「楽しみだねー」 「ん」 「もう、めじろったらねむいのー?」 ちょっかいを出すようにのびてきた手を逆につかんでおしたりひっぱったり。 #空想の街 #鳥に纏わる掌編

2016-07-01 00:04:57
こみや@空想の街 @Ne2_co

くすくす、笑い声がかさなる。 そしてどちらからともなく、しー、と指を立てて、にこ、と笑って、しずかになる。 「……ね、ちどり」 めじろはきいてみることにした。 #空想の街 #鳥に纏わる掌編

2016-07-01 00:05:40
こみや@空想の街 @Ne2_co

「ひょうりょうさい、って、しんだひとがもどってくるんだよね?」 「うん」 「もどってきてほしい、っておねがいしたら、もどってきてくれるんだよね?」 うん、とこたえて少しちどりはふしぎそうなかおになる。 #空想の街 #鳥に纏わる掌編

2016-07-01 00:06:39
こみや@空想の街 @Ne2_co

「それがどうかしたの?」 「んー……」 めじろはまくらにかおをうずめた。 「……おおやさん、もどってきてほしいひと、いないのかな」 それを聞いてちどりはにがわらいになる。 #空想の街 #鳥に纏わる掌編

2016-07-01 00:07:03
こみや@空想の街 @Ne2_co

「おおやさん、長生きだもんね。きっと会いたいひとはいるけど、すなおに会いにくかったりするのかもよ?」 「うむー、むずかしいなあー」 「ねー」 ちょっとまた笑いあったあと、めじろがふとまがおになる。 「……ちどりは?」 #空想の街 #鳥に纏わる掌編

2016-07-01 00:07:24
こみや@空想の街 @Ne2_co

「……ぼく?」 「……ちどりには、いる? いまはもういない、あいたいひと」 ――少しだけまをおいて、ちどりはくびをふった。 #空想の街 #鳥に纏わる掌編

2016-07-01 00:07:55
こみや@空想の街 @Ne2_co

「ぼくは鳥屋さんや、かご屋さんがあそびにきてくれたら、それでいいよ」 ちどりはそういってほほえんだ。 めじろはそんなちどりのかおを見つめかえして――ん、とみじかく答えた。 #空想の街 #鳥に纏わる掌編

2016-07-01 00:08:13
こみや@空想の街 @Ne2_co

――ちどりのねいきがきこえる。 めじろはぱち、と目をあけた。 そしてごろりとねがえりをうって――ちどりにせなかをむけたまま、目をとじた。 #空想の街 #鳥に纏わる掌編

2016-07-01 00:08:31
こみや@空想の街 @Ne2_co

【設定】 #鳥に纏わる掌編 ・ちどり…〈鳥〉の少年。小学校中学年くらいには見えるかもしれない。おとなしい。 ・めじろ…〈鳥〉の少年。こちらはまだ小学年くらい。だいぶ言葉が流暢になりました。活発。 #空想の街

2016-07-01 00:11:41
原 沙良葉 @harasaraha

昔々、街に時計塔ができたばかりの頃。街にひとりの女の人がいた。ある晴れた日、女はいつものように畑仕事に出かけようとして悲鳴をあげた。驚いた隣人が駆け付けた先で、彼女は足を抱えてうずくまっていた。手を貸しながら立ち上がった彼女の影に、隣人は息を飲んだ。 #藍童話 #影虚 #空想の街

2016-07-01 00:13:43
原 沙良葉 @harasaraha

地面に落ちた彼女の影の足が、ぱっくりと割れ、ぽっきりと折れ、変な方向へ曲がっているのを、隣人は見た。息を飲む。太陽の日差しは地面に濃い影を落とす。そして、それがすべての始まりだった。 #藍童話 #影虚 #空想の街

2016-07-01 00:14:01
原 沙良葉 @harasaraha

彼女の影がそうなった理由は分からなかった。街中の研究者や医者が(まだそう数は多くなかったが)影と彼女を診察したが何も分からない。影が欠けた部分は現実の身体も痛むということ、光を浴びなければ、つまり影を作らなければ痛みはないことだけが確かなことだった。 #藍童話 #影虚 #空想の街

2016-07-01 00:14:19
原 沙良葉 @harasaraha

とある青年が女の人のところを訪れたのは、彼女の影が壊れて数週間後のことだった。ベッドで暗い顔をした女の人の手をとって青年は「僕は不思議専門の医者なんです」と言った。「あなたの病気は僕が治してさしあげましょう」 #藍童話 #影虚 #空想の街

2016-07-01 00:14:42
原 沙良葉 @harasaraha

青年がランプの光を向ける。数日ぶりの光に女性は腕で顔を咄嗟に庇い、そしてそのまま体を折った。驚いた青年が壁を見てアッと声を上げた。壁に映る影の腕がぽっかりと欠けていた。 #藍童話 #影虚 #空想の街

2016-07-01 00:14:59
原 沙良葉 @harasaraha

少しずつ、女の人の影は壊れていく。そのたびに、どこも悪くないはずの体が痛んで彼女を苛んだ。たくさんの薬や包帯を持ち出す青年を、彼女は諦めの眼差しで見る。どうしたってだめなのよ。ぽつりと呟いた彼女の声を聞いて、青年は顔を曇らせる。 #藍童話 #影虚 #空想の街

2016-07-01 00:15:49
原 沙良葉 @harasaraha

「手術をしませんか」ある晴れた日、青年が突然言い出した。「影を戻すのはもう無理だ。けれどあなたの体はどこも傷ついてなどいない。痛みだけをもたらす影ならば、いっそ切り取ってしまいませんか。このままじゃどうせ影が無くなる未来は同じだ」 #藍童話 #影虚 #空想の街

2016-07-01 00:16:11
原 沙良葉 @harasaraha

女の人はベッドから青年を見上げた。きりりとした表情と、今までの必死の看病を思い出した。ずっと寝たきりで痩せてしまった自分の手を、体を見下ろした。そして青年を再び見上げた。「お願いします」唇を震わせて、それでもきっぱりと、彼女は言った。 #藍童話 #影虚 #空想の街

2016-07-01 00:16:33
原 沙良葉 @harasaraha

青年の手術とは影の切断だった。試しに右脚の影を切除した結果、女性の脚の痛みはすっかりと無くなってしまった。驚きと喜びを履いた目で二人は脚を失くした影を見下ろした。「これなら…!」青年は星のメスをぐっと握った。そして女性は、影を失った。 #藍童話 #影虚 #空想の街

2016-07-01 00:17:01
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