空想の街・氷涼祭・2016 1日目

twitter上の創作企画「空想の街」の1日目のまとめです。 不備や漏れ等があれば公式アカウントか主催までお願いいたします。
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佐和島ゆら@星月堂へようこそ(新作)販売中 @sawajimayura227

そんな作家の使い魔を、何もかもを知っていて子供扱いするとはなかなか度胸がある。彩華は指で自分の額を叩いた。 「あまりふざけると呪いますよ」 「おぉ、怖い」 「嘘臭い驚き方」 彩華がため息をつくと、語り部はケラケラと笑った。 「少し旦那と話していてな」 #作家と女房 #空想の街

2016-07-01 00:57:09
佐和島ゆら@星月堂へようこそ(新作)販売中 @sawajimayura227

「煙草をもらった」 彩華は目を丸くした。語り部に作家が煙草を与えるなんて、どうしたのだろう。女房の監視をかいくぐって、なんとか買っているらしい煙草は貴重なものだった。 これはきっとあれだ。 勝手にとったのだろう。なんてやつだ。 「本当ですか、それ」 #作家と女房 #空想の街

2016-07-01 00:57:24
佐和島ゆら@星月堂へようこそ(新作)販売中 @sawajimayura227

トゲトゲしい声になる。 「信じてないなー」 「旦那様が軽く煙草を渡すわけがありません」 「いやいや本当にくれた」 「本当に?」 「本当だとも」 語り部の瞳には嘘がなかった。彩華はわけがわからなくなる。 「何があったんです?」 自然と声が神妙になった。 #作家と女房 #空想の街

2016-07-01 00:58:10
佐和島ゆら@星月堂へようこそ(新作)販売中 @sawajimayura227

すると語り部においと声をかけられた。語り部は煙草を地面に落とし、ぐりぐりと踏み消す。一生懸命だった。 語り部は顔を伏せ表情を見せないまま、聞いてきた。 「彩華は死者にもう一度会えるとしたらどうする?」 「え」 「どうする?」 彩華は笑った。 #作家と女房 #空想の街

2016-07-01 00:58:47
佐和島ゆら@星月堂へようこそ(新作)販売中 @sawajimayura227

「その発想自体が無駄だわ。少なくとも私の場合はね」 「お前は、大事なものを殺されているだろう」 「えーそうよ。」 彩華は大きく頷いた。 「でも私が会いたいのは生きたあれなの」 彩華は自分の胸に手を当てた。 #作家と女房 #空想の街

2016-07-01 00:59:09
佐和島ゆら@星月堂へようこそ(新作)販売中 @sawajimayura227

「それは叶わないし、そもそもあれはここにいる」 それで十分だ……自分たちの関係は最期まで報われなかったけど、十分とは言えなかったけど……。 あいつは先で空で待っている。 そう思えば、今会うのは、何だかずるいだろう。 語り部はそうかと煙草をしつこく踏んだ。#作家と女房 #空想の街

2016-07-01 00:59:44
佐和島ゆら@星月堂へようこそ(新作)販売中 @sawajimayura227

そうか、と何度も言った。 その声は普段の道化じみた調子が、まるでなかった。 彩華はいつもとあまりに違う語り部に、何も言えず、煙草を踏みつぶす語り部の足の動きを、所在なさげに見るしかなかった。 #作家と女房 #空想の街

2016-07-01 01:00:00
黒巣真音 @catnap_7

触れた指先 絡んだ脚と 微睡む朝に 紅い華 #言葉食み #空想の街 「夜が名残惜しいっていうのは、こういう気分のことをいうのかねぇ。不味くはないけども、珈琲みたいなのがよかったなぁ」 人間みたいなナニカはゆっくり歩きながら、人目につかないところで、歌を食べた。

2016-07-01 10:59:39
ハコ @amenohakoniwa

#空想の街#地下の硝子屋 とその商品を扱う #時計座 をやっています。不思議な硝子製品のご依頼は時計座の店主まで。 これまでのまとめ 地下の硝子屋と時計座 togetter.com/li/338250 氷涼祭編 togetter.com/li/338273

2016-07-01 00:39:24
れんれん★うちよそ垢 @auoioua

【7/1~7/3】#空想の街 の氷涼祭初参加!今回もマップショップ・ #アティア の二人をよろしくお願いします! 前回企画まとめ→togetter.com/li/890644 pic.twitter.com/yWG5N7LxQI

2016-07-01 00:59:58
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煉@兼業審神者 @fakediva

碧琥珀の練り香(よくねむれます) 滑石と天青石のパルファム(白のふしぎがあらわれます) 蛍石のコロン(ふわふわとよく浮かびます) 他にも ございますが 今宵は此れにて 看板蛍を仕舞います 佳い夜と 好い朝を … #空想の街 #鉱水売りの店

2016-07-01 01:28:04
煉@兼業審神者 @fakediva

『此のお店は 鉱水 を お賣りする処です。 いヽえ お飲みになっては駄目。 主人が一ツ一ツ つくった 他に無い 香りが 揃って在す。 この時季は やはり 水晶の虹入りが 人気ですね。お迎え用にと…』 #空想の街 #鉱水売りの店 pic.twitter.com/MfTcnKMSls

2016-07-01 01:06:33
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佐和島ゆら@星月堂へようこそ(新作)販売中 @sawajimayura227

数日後作家は突然旅に出た。行先は女房が以前行ったことがあるという時計塔の街だと聞いた。 そこで祭りがあるらしく、取材に行くのだと彩華は女房から聞かされた。 彩華が離れで本を読んでいる時である、女房の声が聞こえた。 素っ頓狂な声に驚き、母屋に走った。 #作家と女房 #空想の街

2016-07-01 01:00:30
佐和島ゆら@星月堂へようこそ(新作)販売中 @sawajimayura227

「ど、どうされました。奥様」 女房はまったくと言わんばかりに腰に手を当てていた。 「あぁ、彩華ちゃん。見て、あの人……これを忘れていってるの」 金の細い鎖を女房は掴む。鎖の先を見ると針の動かない懐中時計があった。 「大事なものだからと言っているくせに」 #作家と女房 #空想の街

2016-07-01 01:00:56
佐和島ゆら@星月堂へようこそ(新作)販売中 @sawajimayura227

「忘れることもあるのねぇ」 寂しそうに言った。 「それは何なんですか?」 「見ての通り懐中時計よ。昔、住んでた国にいた時に、先生に渡したの」 「奥様のプレゼント!」 「そういうことね」 女房はあたりを見回した。 「すぐに散らかして……掃除をしないと」 #作家と女房 #空想の街

2016-07-01 01:01:35
佐和島ゆら@星月堂へようこそ(新作)販売中 @sawajimayura227

「この本……懐かしい」 女房は目を細める。 「それは?」 女房は蝶の髪飾りのついた長い髪に触れた。 「あの人が書いた本。 #作家と女房 以外だとこの本しか残っていないの」 彩華はふぅんと何の気なしに本を見た。眉を顰める。血の匂いがした。表紙がひどく汚れてる。 #空想の街

2016-07-01 01:02:19
佐和島ゆら@星月堂へようこそ(新作)販売中 @sawajimayura227

「昔ね、いろいろあって……この本を守った時に私の血で汚れちゃったの」 女房は本棚に本をしまう。その時机に当たってしまい、積み上げられた紙束が崩れる。女房はため息をついた。 「やだ、私は何を……」 そう紙束に手を伸ばして、ぴくっと止めた。表情がくもる。 #作家と女房 #空想の街

2016-07-01 01:02:38
佐和島ゆら@星月堂へようこそ(新作)販売中 @sawajimayura227

「どうされました?」 彩華は訝しげに聞くと、女房はねぇと低い声で聞いてきた。 「先週掃除した時にはなかったものがあるの」 「え、なんですか」 女房は写真を机に置く。そこには女房と年の頃が似た笑顔の女性が写っていた。 「私、この人知らないのよね」 #作家と女房 #空想の街

2016-07-01 01:03:23
佐和島ゆら@星月堂へようこそ(新作)販売中 @sawajimayura227

「そうなんですか?」 「ええ、私とあの人は亡命者だから、知り合いがそんなにいないのよ」 彩華は頭を傾げた。何故作家は女房の知らない女の写真を持っているのだろう。女房が机に置いた写真に触れると、死の匂いが伝わった。 #作家と女房 #空想の街

2016-07-01 01:03:36
佐和島ゆら@星月堂へようこそ(新作)販売中 @sawajimayura227

死の匂いは古い。かび臭かった。 女房は他に落ちた紙束を片付ける。 「氷涼祭……」 かさかさと紙が鳴る。 「死者と出会える」 紙束を整える。 「時計塔のあの街で……」 彩華はみるみる沈んでいく女房の肩を叩く。 「奥様……この写真の女性、多分亡くなってる」 #作家と女房 #空想の街

2016-07-01 01:04:13
日魚ときお @tokyosanfish

まだブログにいれてませんが電話の嬢のビジュアル出来ました #空想の街 #喫茶馬頭琴 pic.twitter.com/NaUMo2zlIL

2016-07-01 02:02:31
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佐和島ゆら@星月堂へようこそ(新作)販売中 @sawajimayura227

女房は肩を落とした。 「そう、彩華ちゃんも先生と同じで、不思議な力があったのよね」 女房はため息をついた。 「じゃあ、先生はこの人に会いに行ったのかしら。黙ってね」 女房は懐中時計を握った。 「何ていうか……苛っとするわね」 「え?」 女房は笑っていた。 #作家と女房 #空想の街

2016-07-01 01:05:09
佐和島ゆら@星月堂へようこそ(新作)販売中 @sawajimayura227

「そうよ、ムカツクの。私に黙って女に会うことというよりは、隠し方が雑なのよ。こういうことはきちっと隠して欲しいわ。こんないらいらさせて、有罪だわ有罪」 女房はますますいい笑顔になる。彩華はオロオロしだした。 「お、奥様?」 女房はあっけらかんと言った。 #作家と女房 #空想の街

2016-07-01 01:05:30
佐和島ゆら@星月堂へようこそ(新作)販売中 @sawajimayura227

「私も時計塔の街に行くわ」 「本当ですか?」 「ええ、先生に話を聞いてくる」 彩華は女房の行動力にいささか呆れ、また素直に驚嘆する自分がいることに気がついた。 「昔の女だったらどうするんです、その女性が」 「その時はその時よ」 「奥様傷つきますよ」 #作家と女房 #空想の街

2016-07-01 01:08:08
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