【Lancer】Beginning of Rebellion -後編-
- gr_starneon
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何がおかしいのか、ヘリックは急にふっと笑って見せた。 「……そうだよな。シンキさんは俺にとって一番の戦友だよ。だからこそ……大切な戦友を失うのだけは避けたかった……」-132
2016-07-06 01:00:35それを聞いてシンキは余計に悔しさがこみ上げてくる。ヘリックを守ることができなかったと。ふと、自分の持っている盾を見る。己の盾は己を守る事が出来ても、かけがえのない戦友を守ることはできなかった。-133
2016-07-06 01:01:04「ちくしょう……ヘリック、俺は……。俺だってギルド軍を……っ!」 目頭が熱くなる共に、ギルド軍への叛逆の心が芽生えた。全ての元凶たるギルド軍を潰さねば彼の無念を弔えないと、そして友を守れなかった自分自身を許す事ができないと。-134
2016-07-06 01:02:03そんな考えに捕らわれていると、酷く冷たい物が頬に触れた。ヘリックの手だ。 「シンキさんまで熱くなっちゃダメだ。それでも、もしもやるっていうなら慎重に、俺達みたいにならないようにな」 しっかりとした口調でそれだけ言い残すと手は離れ、ヘリックは目を閉じ力なくうな垂れた。-135
2016-07-06 01:03:02その後、ヘリックを看取ることとなったその場所に、簡単な墓を作ってやった。 「悪いな、手伝わせて」 一緒に彼の最期に立ち会ったアイルーに礼を言う。もしかしたらかつて迷い込んだ時に見ていたのと同じ子かもしれない。-137
2016-07-06 01:05:05「俺はもう行かないといけない。代わりにこいつを見守ってやってくれないか?」 アイルーは肯定するようにニャーと返事を返す。 「ありがとな」-138
2016-07-06 01:06:04シンキは憑き物の取れたような顔でその場を後にした。あの時芽生えた叛逆の心は変わらずにある。だが冷静になってから、より大切な事を考えていた。何の為に叛逆をするのか。-139
2016-07-06 01:07:06(ヘリック……お前の死は無駄にしない。いつか必ず……) 彼の語っていた、皆が幸せに過ごせる世の中を築き上げる。その為にギルド軍と戦う。その決意を胸に、新たな一歩を踏み出すのだった。-140
2016-07-06 01:08:03