BBB劇場【テンパード・スティール、ランパート・ディール】#8,#9
- ahiruchan_phi
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#8
「昼メシはどうしてるんだ」ブラッディスウェットは助手席のコノメに問う。「オーガニック・トロマグロスシを一度に二つ」彼は顔を顰めた。「嘘です。ドンブリ・ポンなどで済ませています」「庶民的で有難いな」ブラッディスウェットは近場のドンブリ・ポンへと車を走らせる。
2016-07-10 16:14:57カーオーディオからは暗黒鮪飛ぶの『歪み鮫』のアコースティック・ギターソロが流れていた。ジューテイオンから借りたCDだ。「このバンド好きかもしれません」「だと思ったんだよ!暗い都市部から思想の影響を受けてて、深み朱色のパワーも継承してるんだ。でも二番煎じにしない感性がある」
2016-07-10 16:17:47数分後、彼らは無残に破壊された店舗前に停車していた。「畜生!どうなってやがる」「トラック事故があったみたいです」数人のマッポが『外して保持』テープを持って歩き回っている。「くそ、別の店行くか」ブラッディスウェットは車を出そうと……「ちょっと待ちなさい」突然、窓をノックされた。
2016-07-10 16:21:18ノックしたのはマッポの一人だ。窓を開ける。「何だ」「アンタたち何者かな、そんな車」「ブツリュ・トラックだ。名刺出すか?」トランプラーから受け取った偽の名刺を渡す。「フゥーム、ツブシ運送のアセチ=サンね?あ、ちょっと音楽止めて」ブラッディスウェットは渋々曲を止めた。
2016-07-10 16:24:15「フゥーム」マッポは護送車に視線を移す。助手席にはオイラン装束のコノメがいる。彼女は察してか、シート下、ブラッディスウェットの足下に潜り込んで隠れていた。車両窓には特殊加工シートが貼られており、中の様子は見えづらくなっている。が、開いた窓から覗き込まれれば流石に気づかれるだろう。
2016-07-10 16:27:25もしコノメに気づかれても、己の職務への不真面目ということで何とか誤魔化せるか。タイヤや車両側面に残る微かな赤い血に気づかれればオシマイだ。殺すか?否、それはトランプラーに迷惑をかけかねず、オイラン護送任務にも支障が出るだろう。額を冷や汗が伝う。何とか穏便に切り抜けるのだ。
2016-07-10 16:29:41「運送屋なら、これナンデ?」マッポは車両側面を見る。ヤバイ。「ナンデ会社名書いてないの?」「緊急運送で車両が足りなくて、レンタカーなんだよ」用意していた言い訳だ。「何運んでるの?」「オーガニック食品!緊急って言ってるだろ?行かせてくれよ」「フゥーム」妙に粘る面倒なマッポ!
2016-07-10 16:32:27「ここで昨日の昼過ぎに起きたトラック事故知らない?タッキュビン社のトラックなんだけど」「知らねえ」「運転手が自我崩壊状態で発見されてね」「知らねえ!」予定が詰まっている。昼食を手早く摂って、次の退廃ホテルへ向かわねばならない。焦りと苛立ちが暴力衝動を増大させる。危険な状態だ。
2016-07-10 16:34:49