140ssログ9月

Twitterで書いてた雑多ssのログです。刀です。男同士です。
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やまたに @mw_snc

@mw_snc 金色の上に櫛を通す。丁寧に丁寧にその髪を編み込んだ。髪を留めるのは宗三が持っている中でも上等の簪だ。振り袖は何色にしましょうか。箪笥を開けるその手元を臨き込む乱は少し遠慮がちだ。いいの。いいんですよ。薬研の大事な兄弟への下心なんですから、とは言えまい。(薬宗+乱)

2016-09-22 15:52:46
やまたに @mw_snc

@mw_snc 夏の夜は嫌いだ。淡い光に蛍丸まで連れ去られてしまうようで。蛍、蛍。見つからない同派の刀を愛染は探す。蛍。夜戦には出ない。本丸にいるはずだ。蛍。大丈夫ですよ。声がした。大丈夫、大丈夫。甘やかす声色を愛染は知っている。あの豊臣で、愛染が彼を慰めた言葉だ。(薬宗+愛染)

2016-09-22 20:18:00
やまたに @mw_snc

@mw_snc はい、と皿に乗せると、ありがとう、と石切丸が持っていく。お煎餅、お饅頭、どら焼きに苺大福。たくさん食べてくれるから作り甲斐があるなぁ、と光忠は笑う。ああでも、青江の作った大福の方が私好みだったかな。そんな惚気がつきものだけど。あれも、僕の監修だよ。(石かり+光忠)

2016-09-22 20:25:42
やまたに @mw_snc

@mw_snc 出陣の前に青江を呼びに行くのは乱の役目だ。青江さーん。襖の前で。一度目は返事が無い。いつも。だから、乱がこの任に着く。時間だよー。いま、いま向かうからっ。焦ったような声もまた、いつものことだ。室内では、服を着る音。これだから、秋田達には任せられない。(石かり+乱)

2016-09-22 20:36:36
やまたに @mw_snc

@mw_snc どうして宗三さんなの。鯰尾の疑問に薬研は首を傾げる。なんでだろうな。でも好きなんだ。まるで幼い宝物のように告げるものだ。あいつじゃなきゃ駄目なんだ。幸せそうに言う短刀は、知っているはずなのに。本丸で会えて良かった。ここより先があるがわからないことを。(薬宗+鯰尾)

2016-09-22 21:24:48
やまたに @mw_snc

@mw_snc 青江。小さな短刀の声に青江は振り返る。青江、あそびませんか。青江おやつをたべましょう。その物言いが、呼び方が、なんとなく似ていて青江の頬は緩んでしまう。青江、青江。石切丸とよく似ているねぇ。その言葉に。青江がだいすきだからですよ。これは勝てない。(石かり+今剣)

2016-09-22 23:42:38
やまたに @mw_snc

@mw_snc お邪魔してもいいかい。髭切がそう言ってきたのは修行中のことだ。うむ、共に励もう。応えて山伏は彼の分の空間を空ける。神社暮らしの其方が瞑想とは珍しいな。聞けば、髭切は困ったように。弟が可愛すぎてねぇ。そういえば今朝の出陣隊員に変更があったと思い出した。(髭膝+山伏)

2016-09-23 13:11:35
やまたに @mw_snc

@mw_snc 鳥が飛んでいく。俺のせいで、というおひとを宥めつつ前田は近くの部屋を眺める。先日重傷になった太刀の部屋は、締め切られている。彼の兄の仕業だ。お前を失ったらどうしたらいいの、そう呟いた彼の周りで烏が逃げる。それを警戒してか、今どんな鳥も長居しないのだ。(髭膝+前田)

2016-09-23 17:32:34
やまたに @mw_snc

@mw_snc 顔を隠すこともあるまい。膝丸の指摘に山姥切はますます布を深く被った。写しの俺を誰も見たくないだろう。言えば、そうかと笑われて。綺麗な金の髪なのにな。その言葉に山姥切が考えを返ることはない。だって。兄者と同じ色だ。彼の話には大抵そんなおちがつく。(髭膝+山姥切)

2016-09-23 17:39:31
やまたに @mw_snc

@mw_snc 修行の日取りが決まったね。なんともめでたくなさそうな声に薬研は苦笑する。四日間、宗三を頼む。元から、僕の兄様は僕が守るよ。そうやって拒絶するくせに、小夜はわざわざ言いに来るのだ。素直じゃないな。兄様ほどじゃない。行ったら寂しいって言えないんだから。(薬宗+小夜)

2016-09-23 17:58:29
やまたに @mw_snc

@mw_snc 燭台切がねがうから、がんばります。束の間の休息に今剣はそう言った。伊達は数珠丸をつれてきましたから。それが理由かい。青江の疑問にけろりと笑う。みうちのおんはかえします。いつ僕は身内になったんだろう。聞けば、彼の名が出てくることはわかっているけれど。(石かり+今剣)

2016-09-23 18:04:16
やまたに @mw_snc

@mw_snc 戦場育ちには、ありゃ少し難しくないか。同田貫の視線の先では、宗三が辿々しく鍬を握っていた。扱い易くはないけどなぁ。薬研は目を細める。話が合うといえば、戦えればいいという同田貫の方が近いけれど。あいつじゃなきゃ駄目だって、思わない方が難しいんだ。(薬宗+たぬ)

2016-09-23 18:25:03
やまたに @mw_snc

@mw_snc 君たちは若いな。そう笑われて蜂須賀は眉を寄せた。膝丸殿は平安生まれだからね。言い返すのは、子供の抵抗なのかもしれない。老人の戯言だ、兄とは仲良くしておけ。兄じゃない。刀匠の違いなんて関係ないぞ、傍にいられる内にな。それは誰の話だろうか。(髭膝+蜂)

2016-09-23 18:41:26
やまたに @mw_snc

@mw_snc 正座。初期刀の簡潔な言葉に、髭切も膝丸も従った。このあと二時間ね。はい。幼子が年寄りを虐げるようなこの状況も、ふたりはなにも言わずに受け入れる。否はこちらにあるのだ。反省文はいらないから。はい。二度と五虎退と秋田に裸を見せないこと。はい。(髭膝+清光)

2016-09-23 22:51:55
やまたに @mw_snc

@mw_snc あなたは復讐しなくていいの。その問いに膝丸はなんと答えたものかと思う。復讐相手はわかっている。主を殺した男に関わるものへ、だ。けれどもう頼朝はいない。ならば相手は。あの方を憎むより、上回る感情があるだけだ。君にもいつか理解出来たらいい、と頭を撫でた。(髭膝+小夜)

2016-09-23 23:12:48
やまたに @mw_snc

@mw_snc 夜戦に慣れて夜に寝れない。青江からそう聞いたのはいつ頃だったか。付き合って、大太刀が共に昼寝をするようになったのも。そして、それを自分が発見するのも。山姥切は、すっかり慣れた調子で白布を外す。そして。どうしてあんたたちは、何もかけずに寝るんだ。(石かり+山姥切)

2016-09-23 23:25:28
やまたに @mw_snc

@mw_snc 焼き芋ぜよー。言いながら陸奥はそれぞれの部屋に配っていく。来派は太いの三本、左文字もこじゃんと食べんと。石切丸は、その一人部屋に言いかけて一旦やめる。石切丸は、太いのとこんまいの、二つやにゃあ。前回一人分だけ持っていった脇差を思い出したのだ。(石かり+陸奥)

2016-09-23 23:42:24
やまたに @mw_snc

@mw_snc なんとか切くん。彼は山姥切のことをそう呼ぶ。何を切ってたっけ、灯籠だったかな。違う、と首を振る。そして、少し鬱憤を晴らしたくなって。切ったのは、つちぐも、だ。そんな嘘に、彼は笑う。へぇ、じゃあ今夜は君の布団に忍ぼうか。あんた本当は覚えてるんだろう。(髭膝+山姥切)

2016-09-23 23:55:00
やまたに @mw_snc

@mw_snc 格好悪い。光忠は溜息を吐いた。あまりにも彼の弟がそう連呼するものだから、そう、それが理由なんだ。僕は悪くない。ねぇ兄者くんいるかい。そう襖を開けたのは僕のせいじゃない。だから。男の独占欲丸出しは格好悪いよってことにしてくれないかな。視線が刺してくる。(髭膝+光忠)

2016-09-24 00:34:05
やまたに @mw_snc

@mw_snc 君が羨ましい。言われても、堀川は困ってしまう。和泉守はきちんと名を呼んでくれるだろう。それは、普通のことで。兄者はすぐに忘れるから。それが特殊な方で。だから、たまに羨ましくなる。僕だって、とは口にしなかった。兄と弟のような、切れない縁が欲しかった。(髭膝+堀川)

2016-09-24 07:04:45
やまたに @mw_snc

@mw_snc その龍すごいねぇ。言って髭切が手を伸ばす。龍の尾、腹、その上まで。おい。肩まであるんだねぇ。おい、いい加減に。格好いいなぁ。わざと話を遮る彼に、溜息。弟との喧嘩の当て付けは格好悪いぞ。ばれてしまったね、と彼は悪戯を叱られた子供のように笑った。(髭膝+倶利伽羅)

2016-09-24 07:15:13
やまたに @mw_snc

@mw_snc 太陽は難しいよね。そんな言葉に山姥切は顔を上げる。他に話しかけていると思ったのだ。月を満たすのは大変だよ。真っ直ぐに髭切は自分を見る。僕はあのこの太陽でいられるだろうか。俺より余程眩しいだろう。その答えに髭切は、君は自分を知らないね、と首を振った。(髭膝+山姥切)

2016-09-24 17:20:03
やまたに @mw_snc

@mw_snc また弟と出掛けるんですって。そう言って宗三は酒を飲み干した。久々に休みが合うのに。次が注がれて、また空になって。倶利伽羅はその一連を眺めながらちびりと飲む。独り言は続いている。勝手に喋っていればいい。先日、宗三と小夜が出掛けた日は薬研が来ていた。(薬宗+倶利伽羅)

2016-09-24 17:31:17
やまたに @mw_snc

@mw_snc あーおーえ。にやにやしながら薬研が近寄る。嫌な予感に青江は身構えた。なんの用かな。忠告してやろうと思ってな。ますます悪い予感しかしない。結んだ髪が邪魔で大抵は気付かないけどな。無意識に首を押さえた。短刀の背だと見える。その覚えがあるのは、赤い跡だ。(石かり+薬研)

2016-09-24 17:37:46
やまたに @mw_snc

@mw_snc はい、最後だ。手渡された虎に五虎退は礼を言う。偵察の高いこの脇差がいつも、途方にくれていると見つけてくれるのだ。おかげでみんな見つかりました。はにかむ五虎退の上に影。青江、ここにいたんだね。今度は見つけられた側の脇差は面白がって、がお、と鳴いた。(石かり+五虎退)

2016-09-24 21:05:00