陳浩基『13・67』、作家・評論家の方々によるレビュー
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綾辻先生のレビューと、陳浩基先生とのやりとり
そして今夜はハロウィンとは関係なく、これを読んでおります。 pic.twitter.com/frsV78J62F
2017-10-31 17:39:04陳浩基『13・67』(天野健太郎訳、文藝春秋刊)を読了。ずっしりとした読み応えの、確かにこれは素晴らしい作品ですね。「逆・年代記」を構成する6つの中編は、類型的な「本格」の形式を採ってはいないが、どれもが本格ミステリ的なアイデアやロジックを効果的に投入した秀作揃い。→
2017-11-02 07:44:58→脱帽ものです。2つめの「任侠ジレンマ」だけはちょっと私には合わなかったけれど。何にせよ、恐ろしく高密度・高レベルの1冊!
2017-11-02 08:09:56@Chan_HoKei 陳浩基さま。はじめまして、綾辻行人です。『13・67』読みました。素晴らしい作品だと思います。
2017-11-07 04:17:10@ayatsujiyukito 綾辻先生!どうもありがとうございます!先生よりお褒めをいただいて光栄です。実は、私は先生にあったことありますね。お久しぶりです。(第21回鮎川哲也賞贈呈式) pic.twitter.com/kQoIwp2NJr
2017-11-07 11:36:16「13・67」の陳浩基さんとは昔、日本でお会いしていたと判明。第21回鮎川哲也賞の贈呈式会場で、だから2011年のことですね。 twitter.com/chan_hokei/sta…
2017-11-07 13:16:31作家・評論家の方々によるレビュー
陳浩基氏の『13・67』(文藝春秋)を読了。オールタイムベスト級の傑作。天才的な名探偵が活躍する、奇想と逆転に満ちた本格ミステリであると同時に、一人の警察官の四十年以上にわたる軌跡を通して香港の社会や警察の変動をつぶさに描いた年代記(正確には逆年代記)形式の警察小説でもあります。
2017-10-27 22:03:31チェスタトンとジェフリー・ディーヴァーと連城三紀彦と佐々木譲と横山秀夫が合体したらかくもあろうかという作品でした。二人か三人ならともかく、この五人全員が合体できるとは到底思えないのですが、驚いたことにできているのです。
2017-10-27 22:04:35第一話は2013年、香港警察の「天眼」と謳われたクワン上級警視は死の床にあります。以後一編ごとに時代が遡り、クワンも若くなっていき、最終話は1967年、彼がまだ無名の若者だった時代です。第一話が「名探偵最後の事件」、最終話が「名探偵最初の事件」なのです。この構成がすばらしい。
2017-10-27 22:05:05激動する香港社会が、一編ごとに時代を遡るかたちで活写され、それを背景にしてリアルな事件が描かれます。すごいのは、これらリアルな事件が驚くほどトリッキーに解決されることです。背景や事件のリアルさと、解決のトリッキーさや主人公の名探偵ぶりとが、相反することなく鮮やかに両立しています。
2017-10-27 22:05:40主人公のクワンは、おそらくその能力では名探偵の中で五指に入るのではないでしょうか。些細な手がかりから真相を見破るだけでなく、先の先まで見越して完璧ともいえる手を打つ、まさに神の如き明察と悪魔の如き狡知の持ち主です。それでいて不思議に庶民的で人間臭さがあるのが面白い。
2017-10-27 22:06:20ベストを選ぶとすれば第三話の「クワンのいちばん長い日」でしょうか。この解決には仰天しました。次点は第一話の「黒と白のあいだの真実」。部分的ながら真相に気づく話もありますが、各編とも伏線や手がかりが実にうまくて、たとえ真相が読めても、意外な伏線や手がかりに驚かされます。
2017-10-27 22:07:05第一話が「名探偵最後の事件」を、最終話が「名探偵最初の事件」を描いていますが、面白いのは、どちらの真相も「最後の事件」「最初の事件」のステレオタイプから意図的にずらされていることです。ここがまたうまい。
2017-10-27 22:07:56そして、最終話のラストで、第一話は新たな光で照らされることになります。そこに浮かび上がった「運命」とでも呼ぶべきものに、茫然としました。連作短編の締めくくりとして、実に見事だと思います。
2017-10-27 22:08:40正直、第一話だけで元が取れた気分なんですが……買ってよかった/『13・67』陳浩基 天野健太郎訳 | 単行本 books.bunshun.jp/ud/book/num/97… @bungeishunjuさんから
2017-10-29 20:36:21都市小説的な側面というか、街中で事件が起きて、関係者が入り乱れて、警察も介入して、でも謎解きは本格で……みたいなミステリが個人的に好物なので、『13・67』はどストライクすぎた
2017-10-31 23:14:51陳浩基『13・67』(文藝春秋社) 香港警察署の「天眼」と呼ばれる刑事を主人公に、逆年代記で語られる香港クロニクル。なんだけど、各編が本格ミステリとして実に素晴らしい出来で、1、2編目などは連城三紀彦や山田風太郎を想起し、震撼するレベル。華文ミステリはいつこの境地に達したのか。
2017-11-04 12:36:36本格ミステリのセンス・オブ・ワンダーは、「鶏を割くに焉んぞ牛刀を用いん」。(これだけのことをなすのにそこまでやるか)に淵源する、というのがよく分かっている。二転三転しつつ、最後に明かされる構図の素晴らしさ。そこに十分ロジックが伴っているし、騙りの技巧まで要所で上手に使われている。
2017-11-04 12:48:52