ウェイティング・フォー・マイ・ニンジャ #5
両手と頭を激しくバタつかせ、アロンダイトはレッドゴリラに足首をつかまれたままアスファルトに激しく叩きつけられた!「アバババババーッ!」ナムアミダブツ!レッドゴリラの強靭な肉体の全力で、アロンダイトは地面に力任せに打ちつけられたのだ。その衝撃はいかばかりか!?
2011-07-15 00:41:32「なぜ!なぜムテキを解いた!アロンダイト=サン!」レッドゴリラが叫んだ。だがアロンダイトの耳に届いているだろうか?アスファルトに亀裂を走らせ顔面からめり込んだアロンダイトは、痙攣しながら呻くばかりである。「アバッ…アババッ……」「ウヌーッ!一体これは……」「俺だ!」颯爽たる声!
2011-07-15 00:46:58ニンジャスレイヤーとレッドゴリラは同時にシルバーキーを見た。シルバーキーは両手指をこめかみに当てながら勝ち誇る。「俺だぜ!ヒューマン・ブレードの旦那、あんた集中しすぎてニューロンがお留守だったな……ちょいと、くすぐらせてもらったぜ……おやおや、もう聴こえちゃいないかい……」
2011-07-15 00:48:48ゴウランガ!なんたる油断ならぬ男、シルバーキー!レッドゴリラを挑発して回避に専念するニンジャスレイヤーの意志を、シルバーキーはテレパス能力で読み取っていた。ニンジャスレイヤーの指示は単純だった。『アロンダイトをやれ』、ただそれだけだ。
2011-07-15 00:56:29ムテキ・アティチュードは極度の精神集中を必要とする。アロンダイトほどの硬質化を維持し続けるなど、並大抵の努力では実現できぬ事である。ムテキ・アティチュードに専念するアロンダイトのニューロンは、いわば表門に全てのバリケードを設置して裏門を無防備に開け放った状態であった。
2011-07-15 00:59:26シルバーキーのテレパスは開け放たれたニューロンの裏門からまんまと滑りこみ、掻き乱したのである!「ヌオオオーッ!」レッドゴリラが激昂!痙攣するアロンダイトの足首を掴んだまま頭上へ振り上げ、地面に叩きつける!「アバーッ!」叩きつける!「アバーッ!」叩きつける!「アバーッ!」
2011-07-15 01:00:55叩きつける!「アバーッ!」叩きつける!「アバーッ!」叩きつける!「アバーッ!」「この……役立たずのゴミがーッ!」レッドゴリラはボロ屑めいて血を流すアロンダイトをハンマー投げめいて振り回し、シルバーキーめがけて投げつける!「オオット!あぶねえ!」ブリッジして回避するシルバーキー!
2011-07-15 01:04:21「アー……アバッ!」路地をまっすぐに飛んだアロンダイトは突き当たりのビルの壁にトマトめいて爆ぜ、血肉の染みと化した!ナムアミダブツ!
2011-07-15 01:08:35「もう許さん!今更投降など認めんぞ!」レッドゴリラは激怒のあまりメンポの隙間から鼻血を噴出し、両拳を胸の前で激しく打ち合わせた。「貴様らのザイバツ裁判は俺がこの場で死刑宣告し死刑執行だーッ!」ニンジャスレイヤーは落ち着き払って両脚を開き中腰姿勢を取る。「スゥーッ!ハァーッ!」
2011-07-15 01:16:33「ウォォォー!」その巨体からは想像もつかぬようなスピードでレッドゴリラがニンジャスレイヤーに迫る!「スゥーッ!ハァーッ!」ニンジャスレイヤーはレッドゴリラを冷酷に睨み据えたまま、深くチャドー呼吸し、待ち構える。「スゥーッ!ハァーッ!スゥーッ!ハァーッ!」
2011-07-15 01:19:44「ウォォォー!イヤーッ!」レッドゴリラの致死的左フック!トラックの衝突事故めいた勢いで左拳がニンジャスレイヤーを襲う!「……イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは襲い来る左拳に己の右拳を叩き込む!「グワーッ!?」ナムサン!レッドゴリラの左拳がひしゃげ、指骨があべこべに飛び出す!
2011-07-15 01:21:46「ウ、ウォォー!イヤーッ!」レッドゴリラの決死の右フック!トラックの衝突事故めいた勢いで右拳がニンジャスレイヤーを襲う!「……イヤーッ!」ニンジャスレイヤーは襲い来る右拳に己の左拳を叩き込む!「グワーッ!?」ナムサン!レッドゴリラの右拳もまたひしゃげ、指骨があべこべに飛び出す!
2011-07-15 01:23:00「グワーッ!?バ、バカなアババーッ!?」破壊された両手から血を流し、レッドゴリラが後ずさる!ゴウランガ!ビッグカラテ敗れたり!己の巨体にまかせ、頭に血をのぼせた雑な打撃が、心身をチャドーしたニンジャスレイヤーの狙い澄ました打撃に打ち克つことなどできようか?否!できるわけがない!
2011-07-15 01:27:38「今宵、死刑宣告し死刑執行するのはこの私だ、レッドゴリラ=サン。ザイバツではない。私の裁判だ」ニンジャスレイヤーは苦しむレッドゴリラのワン・インチ距離まで進み出る。「ハイクを詠むがいい!」
2011-07-15 01:31:08「さ……先に行くぞーッ!パープルタコ=サンーッ!」レッドゴリラは絶叫し、丸太めいた脚で絶望的な蹴りを繰り出す!「イヤーッ!」だが、蹴りによる反撃を予測していたニンジャスレイヤーはレッドゴリラの脚を雑作無く両手で絡め取る!そしてそのままその身体を地面に……「イヤーッ!」叩きつける!
2011-07-15 01:37:39「グワーッ!」脚を持ったまま、振り上げ、反対側の地面に叩きつける!「グワーッ!」叩きつける!「グワーッ!」叩きつける!「アバーッ!」叩きつける!「アバーッ!」……叩きつける!「アババババーッ!」そしてハンマー投げめいて回転!アロンダイトが染みとなった突き当たりめがけ、投げつける!
2011-07-15 01:40:03「イヤーッ!」「サ……サ……」レッドゴリラの巨体が一直線に飛び、ビルの壁に叩きつけられる!「サヨナラ!」その巨体がそのまま爆発四散!降り注ぐ瓦礫!ビルが崩落する……!
2011-07-15 01:41:58ニンジャスレイヤーはそちらを見もしない。バシダ、シルバーキー、よろけながら立ち上がるネザークイーンと向かい合う。ネザークイーンは気づき、頭上を見上げる。「ヤモト=サン」戻ってきたヤモトが彼らを見下ろす。ズタ袋めいて気を失ったプロセッサを引きずって!「お手柄よ、ヤモト=サン」
2011-07-15 01:45:23「ま、そんなわけで」シルバーキーが切り出した。「俺たちはこのバシダ=サンに用があるんでな。オイトマするぜ」バシダは蒼ざめたまま、呆けたように頷く。無理もない。非ニンジャ、非戦闘者のサイバネ医師がくぐり抜けるにはタフ過ぎるイクサであった。「ええ……ええ」ネザークイーンは同意した。
2011-07-15 01:54:13ヤモトが屋上からプロセッサーを投げ落とし、自らもヒラリと飛び降りる。ネザークイーンはヤモトを見た。「ご覧のとおりよ」路地はクローンヤクザの死体や血しぶきでジゴクめいた有様である。「アータの初っ端の仕事としちゃ、色々オプションが付き過ぎたわね!」「それ……怪我……!」「痒いわ!」
2011-07-15 02:00:26「ネザークイーン=サン。ヤモト=サン。今回は我々のイクサに巻き込んでしまった事をお詫びする」ニンジャスレイヤーは二人に奥ゆかしくオジギした。ヤモトはネザークイーンを見た。ネザークイーンは肩をすくめ笑う、「いいの!いいのよ別に、ホントよ!アータのこと少し気に入ったわ、だからね!」
2011-07-15 02:05:51「……」「アタシとこの娘は、ニチョームの『絵馴染』にいるわ。何か困った事があったら訪ねてらっしゃい。話ぐらいは聞いたげるから」ヤモトをつつき、「とっとと行くわよ!腐れマッポのところにね!」「え、うん」話の見えぬヤモトは曖昧に頷き、ニンジャスレイヤーを見た。「オタッシャデ」「うむ」
2011-07-15 02:12:25「行こうぜ、早いとこ」足早に去ってゆくネザークイーンとヤモトの後ろ姿を見ながら、シルバーキーが言った。「またこんな大勢でザイバツの連中が来でもしてみろよ」「そうだな」ニンジャスレイヤーはバシダを見た。「申し訳ないが、一刻を争うのだ。出せるのはカネだけだが」「ええ……ハイ……」
2011-07-15 02:17:36「アータはね、そこがダメ!アータは。そこがダ!メ!」「でもあの人とってもカッコイイし優しいこともあるの」「だーから!そこがダ!メ!優しいこともある、って何よ?こともある、って」「そうだよね……そうなんだけど……」「アーン!モー!」ドスン!彼はバイオバンブー製のカウンターを殴った。
2011-07-15 02:20:28