「西洋剣術」の話

ここ数日流れてきた西洋剣術についての個人的メモ。 「西洋の剣は重さで叩き潰す武器で切れ味は良くない」という通説に対するツッコミとか、失伝していた西洋剣術の研究が進み情報がどんどんアップデートしているとか。
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Amicitia sal vitae. @boots_fleck

うーん……これは事実ではない。 なにしろ、事実ではないのだから、そういうほか無い。 また、全身を覆う西洋歴史甲冑の全盛期は、中世後期から近世に入るまでのほんの少しの間だけ。 当然、動く相手をただぶっ叩くだけでは、相手は死なないので、剣術にも色々と工夫があった。 twitter.com/Marume_Kurando…

2021-02-14 18:11:34
くらんど @Marume_Kurando

つまりフルアーマーな騎士による対決というのは、堅牢な鎧の上からブッ叩きあう、剣戟とよぶもおこがましいしっちゃかめっちゃかの殴打戦法と言えよう。うーん蛮族チック。なおディスではない。事実だからだ。そんなもんである。

2021-02-12 02:59:21
Amicitia sal vitae. @boots_fleck

創作の中でそうだというのは、まったく全然良いのだが、歴史的事実は異なる。 簡便に申し上げれば、武器が鋭かったり飛び道具やポールウェポンが強いもんだから、板金鎧が発達したと言ってもいい。 システマティックに闘うというのは、洋の東西を問わずそうだから twitter.com/Marume_Kurando…

2021-02-14 18:14:26
くらんど @Marume_Kurando

さて、フェリクスの可能性について模索する。 主に日本刀(倭刀)を使わせる方向で模索。 騎士剣の特性として、叩き「切る」というより、正確には重さで叩き「潰す」というものがある。そも騎士剣は切れる必要性がない。なんせ相手が鎧やら甲冑やら着てるのが当たり前であるからだ

2021-02-12 02:52:52
Amicitia sal vitae. @boots_fleck

それはいいと思う。 例えば素人から見れば、剣道も無用な叩き合いと思われることがあるが、あれにも物凄い合理的な考えがあり、そもそも(全国大会に出るくらいの)あれだけ激しい鍛え方をしている人間には、武器の扱い方がどうかとか関係なく勝てない。 いわんや中世西洋の人間もそうである。

2021-02-14 18:16:38
Amicitia sal vitae. @boots_fleck

高級な甲冑を身に付けるにおいて、それだけの地位にいる人間はみんな阿呆ではないのだから、適した戦法を思いつく。 激しい動きは控え(時には行い)、相手の隙を突くことは基本だし、長い間戦争貴族をやってる諸君が、他の国に比べて『野蛮な叩き合い』のみやってるはずもない。

2021-02-14 18:20:03
はすね @Re_113_Gnu

ff外から失礼致します 確かに西洋剣術にはポメル(柄頭)を使って叩き潰す「殺撃」という技がありますが、基本的には西洋剣(騎士剣)は「斬る」ものです twitter.com/marume_kurando…

2021-02-14 23:38:31
はすね @Re_113_Gnu

一口に西洋剣と言っても色々ありますが、例えばロングソードは平服戦闘も想定して作られているのでスパスパ切れます 中世後期のドイツ地方の剣術家タルフォーファーの武術教本にはロングソードで切りつける図がありますが、首を思いっきり切断しており、剣の威力が絶大であった事が分かります pic.twitter.com/u1L1oXDAky

2021-02-14 23:43:27
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はすね @Re_113_Gnu

また「Towton25」と呼ばれる骨は薔薇戦争中の1461年、タウトンの戦いで戦死した兵士のものですが、この頭蓋骨の後頭部には致命的な刀傷があり、とどめの一撃は顔面に食らっていますが、剣の威力の恐ろしさを物語っています pic.twitter.com/fYghQPymb5

2021-02-14 23:48:46
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はすね @Re_113_Gnu

また対甲冑戦闘では斬撃や刺突、殴打が基本的に効かないので(鎧の下にアーミングダブレットと呼ばれるメイルと詰物入りの上着を合わせた防護服を着ているからです)、動画の様に兜をポメルを使った殴打でダメージを与えつつ、甲冑で覆われていない部分を狙って正確に突く という戦闘スタイルでした twitter.com/marume_kurando… pic.twitter.com/cFPTUx8qMk

2021-02-14 23:57:06
はすね @Re_113_Gnu

こちらは別の動画ですが、甲冑の上から叩きまくるという事はあまりしなかったようです pic.twitter.com/vZaojj768b

2021-02-15 00:00:43
はすね @Re_113_Gnu

@Marume_Kurando 少々長くなりますが、お付き合いください まず西洋剣を知るためには防具の歴史も知っておく必要があります(←ココ重要) まずこの画像は11~12世紀の騎士です この頃はメイル(鎖帷子)全盛期であり、斬撃に強いメイルを断ち切り、突き刺す為に刀身は分厚く、太いものとなりました pic.twitter.com/NRnEZSz3b7

2021-02-15 19:33:46
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はすね @Re_113_Gnu

@Marume_Kurando つぎに13~14世紀の騎士です この頃になるとコートオブプレート(板金入り上着)が登場し、従来の刀剣では攻撃が効かなくなりました なので、剣も切れ味を保ちつつ、薄く強い、刺突に優れた剣になっていきます pic.twitter.com/cLrmgAQmm6

2021-02-15 19:36:57
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はすね @Re_113_Gnu

@Marume_Kurando そして15世紀の騎士 製鉄技術の向上により、皆がよく知る板金鎧が登場しました この頃に全盛期を迎えたロングソードは、言わばオールマイティの武器であり、平服戦闘ではその切れ味を活かしたもの、甲冑戦闘ではその刺突性と使い方の柔軟性を活かしたものとして多くの騎士達が愛用しました pic.twitter.com/RNa7nzzanA

2021-02-15 19:41:12
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はすね @Re_113_Gnu

@Marume_Kurando また甲冑戦闘では、ロングソードはハーフソードと呼ばれる画像のような特殊な技術を使うことが出来る代物でした 片方の手で柄を持ち刃を片方の手で持つハーフソードは、通常の剣ではありえないような間合いでも攻撃可能だったので、近接戦闘では無類の強さを誇りました pic.twitter.com/IahgQllBZN

2021-02-15 19:45:35
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はすね @Re_113_Gnu

@Marume_Kurando まとめになりますが、「西洋は甲冑(メイル)の進歩に伴って刀剣の切れ味は最重要とされなくなった」ではなく、「西洋は甲冑の進歩、戦闘術の変化に伴い、斬れ味や刺突、殴打の全てが最重要とされた」ということになります

2021-02-15 19:48:44
アプロ @rUyaCVtIiRxgC9M

>西洋剣に比すれば日本刀は軽いので速さ勝負DA 西洋剣と言っても千差万別だけど、実用的な片手~片手半剣はだいたい0.8~1.5kg程度で一般的な日本刀(太刀・打刀)と同じぐらいだし、特に中世中期はポンメルの分重心は手元寄りでむしろ日本刀よりも「軽い」件 twitter.com/Marume_Kurando… pic.twitter.com/M5nwaSD081

2021-02-14 19:36:54
くらんど @Marume_Kurando

見解としては、騎士側が全身を覆うプレートアーマーの類を装備すると日本刀だと大分しんどい。機動力こそない鈍麻だが、ほぼ攻撃が通らない。鎧の縫い目狙うとか頭ベレスじゃないと無理。板金の脆そうな脇下あたりを刺突すれば多分貫ける。あと足。西洋剣に比すれば日本刀は軽いので速さ勝負DA

2021-02-12 03:08:12
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アプロ @rUyaCVtIiRxgC9M

薔薇戦争期の騎士の戦い方で、「柄尻で相手を殴る」というものがあるのも、このポンメル(柄尻にあるバランスとりの重り)があるゆえだろうかね? 相手の馬の頭とか殴ると良いらしい。 pic.twitter.com/THc2Md42jc

2021-02-14 19:47:22
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アプロ @rUyaCVtIiRxgC9M

というか、板金鎧で身を固めた欧州の騎士ともバシバシやりあっていたスィパーヒーとかもこういう剣を使っているあたりを考えれば、「日本刀は板金鎧相手に~」とか半分聞き流してよいと思ふ。 pic.twitter.com/XqgZRU7aBT

2021-02-14 21:16:58
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アプロ @rUyaCVtIiRxgC9M

>横からの衝撃で結構パキパキ折れちゃうのが難点カナー。そう、折れるのだ日本刀ってやつは ちょっと誤解しているようなので(´・ω・) 西洋剣というのも時代や地域で千差万別ですが、普通に折れます。というか「すぐ折れるからどうにかして(怒」というクレームが(続く twitter.com/Marume_Kurando…

2021-02-14 23:39:11
くらんど @Marume_Kurando

では一方、日本刀。こいつはシステマチックだ。日本の武士はとにかく首が大好きである。そんな貴方に日本刀。こいつは刃筋さえ立ててしっかり引き切りすれば骨すら断ってしまうイカした武器である。横からの衝撃で結構パキパキ折れちゃうのが難点カナー。そう、折れるのだ日本刀ってやつは

2021-02-12 03:01:37
アプロ @rUyaCVtIiRxgC9M

耐えません。 製鉄技術が大幅に進歩した19世紀ですら、クリミア戦争に従軍した英軍歩兵や騎兵から 「官営工房から支給される剣がすぐ折れる!!」 とクレームが殺到していたというから、もう剣というのはそういうものだと思った方が良いですね。 まあ、中世前半とか鋼の製造技術が未熟な時期は(続く pic.twitter.com/EvVPyseKGm

2021-02-14 23:42:12
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アプロ @rUyaCVtIiRxgC9M

折れる前に「曲がる」ようですが。 pic.twitter.com/ShC4JZzjAK

2021-02-14 23:43:28
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アプロ @rUyaCVtIiRxgC9M

ここら辺で面白いのは、現代の技術で作られた自〇隊の銃剣とかもわりと折れたり曲がったりしますね。 うっかり尻に敷いて体重をかけてしまい曲がったとか、トラックの荷台から飛び降りようとして(やっちゃ駄目です。)引っ掛けてボキンと折れたとか。 下手な鉈ぐらいの厚みはあるのですが(´・ω・) pic.twitter.com/OHAKCTfz8B

2021-02-14 23:50:30
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アプロ @rUyaCVtIiRxgC9M

あと、上で上げたクリミア戦争だと 「ロシア兵がすごい厚着しているから、剣が通りにくい(怒」 というクレームもあったとか。 正直、そんなこと言われても、工房側の人らも困るとは思うのですがね(´・ω・) とはいえ、厚着というのはシンプルですが効果的な防御手段なんだなと。夏場は辛いけど。 pic.twitter.com/qP5mOvghgO

2021-02-14 23:55:02
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アプロ @rUyaCVtIiRxgC9M

ちょっとしつこい気もしますが、もう一か所ほど気になる点をば(;一_一) >騎士側が全身を覆うプレートアーマーの類を装備すると日本刀だと大分しんどい。機動力こそない鈍麻だが、ほぼ攻撃が通らない。 日本の大鎧~当世具足(今はこの呼び方も正しくないようです)(続く twitter.com/Marume_Kurando…

2021-02-15 00:02:03
アプロ @rUyaCVtIiRxgC9M

はフル装備だとかなり重装甲なラメラーアーマーなのですが(ぶっちゃけ、大鎧とか同世代の西洋鎧よりゴツイ)、そういった鎧相手に日本刀(太刀~打刀)でどう戦ったというと。 「思いっきりぶん殴る」 です。 鎧兜の上からぶん殴って落馬させるなり転倒させるなりしてから止めを刺しました(続く pic.twitter.com/Tmv61Qo2FM

2021-02-15 00:07:19
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アプロ @rUyaCVtIiRxgC9M

ここら辺は、軍記物にちょくちょく描写があるのですが、日本刀というのは我々がイメージする以上に蛮用される武器だったようです。 まあ、似たようなサイズの武器を使っていれば、使い方も似たようなものになるということかなと思います。 pic.twitter.com/eKjKVPFWRf

2021-02-15 00:11:52
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