- toshihiro36
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<ナレーション> MRCはアメリカ国内の原発の安全性について検証を開始、そして格納容器改善プログラムを始めます。このとき注目したのがマークⅠでした。アメリカGE社が開発した量産型の原発です。真ん中が核燃料を入れた圧力容器。その外側には電球にたとえられる格納容器があります。
2012-04-30 01:59:50<ナレーション> 下にはドーナツのような圧力抑制プール。事故で原子炉が高い圧力にさらされたら、ここに逃がす設計です。当時サンディア国立研究所で格納容器改善プログラムに関わっていたケネス・バージェロン博士。
2012-04-30 02:05:00<ナレーション> 博士はNRCの依頼を受け、マークⅠでメルトダウンが起きたらどうなるのかコンピュータで解析を繰り返しました。マークⅠは他の種類の原発と比べ、格納容器が小さいのが特徴です。コンパクトにして建設コストを下げるためでした。
2012-04-30 02:11:49<ナレーション> バージェロン博士が行った事故のシュミレーションです。深刻な事故によってメルトダウンが起こると水素が発生。比較的短時間で格納容器に充満し、圧力が上がります。そして原子炉建屋に漏れ出し、酸素と結び付いて爆発に至る危険性があると指摘しました。
2012-04-30 02:15:57バージェロン博士:マークⅠの最大の問題は格納容器が小さすぎることです。建設後に格納容器を大きくすることはできません。補強工事などで解決できる問題ではないのです。最初から建て直す以外に“小さすぎる”という問題は解決できません。
2012-04-30 02:21:11<ナレーション> 建て直すのではなく、NRCは格納容器内の圧力を抜く非常手段としてベントの設置を進めます。かつてNRCで原子炉規制局長を務めたハロルド・デントン氏。
2012-04-30 02:25:34デントン氏:ベントをつけることで「ドーナツ」と「電球」の高くなった圧力を逃がすことはできる。ベントによって蒸気を出し、放射性物質が一緒に放出されても、少なくとも格納容器の破裂は回避できます。
2012-04-30 02:29:31<ナレーション> NRCはベントの設置を義務付ける命令を出そうとします。しかし電力会社側が強く反対し、自主的取り組みになりました。当時のいきさつを知る、NRC原子炉規制局の幹部だったトマス・マレー博士。
2012-04-30 08:34:57マレー博士:命令書は私の机にありました。あとは署名するだけでした。今でもあの時の会話は覚えています。電力会社の重役に「これは命令書だ」と言い、我々は署名する準備があると言った。電力会社の重役は「署名は必要ない」と反論してきた。電力会社は「自由裁量でベントを設置したい」と言った。
2012-04-30 08:40:32ミラー博士:ベントは自主的な取り組みになったので、その後のNRCの監査対象にはなりませんでした。一部のベントには機能しない可能性があった。ヒューズが入っていなかったり、バルブの位置が高すぎて手動では動かせないものもあった。
2012-04-30 08:46:35特別チーム:すべての原発をテロや飛行機激突・火災・洪水などからどう守るのか。そうした事態をあらかじめ想定したシステムが必要です。それがフクシマの事故から得られた結論です。
2012-04-30 09:01:48NRC委員:NRCは何かが起きるたびに、その都度指示を出してきました。スリーマイル島や9.11などに対応してきました。NRCがやったことは納得できるものです。
2012-04-30 09:05:21特別チーム:法規制でやらないと、原発のリスク回避能力に差が出てしまいます。特に古い原発が、洪水や地震への強固な対策をとらないまま残ってしまいます。自主性に頼るより、法律で強制するほうが確実に実行できるのです。
2012-04-30 09:09:58NRC委員:勧告はフクシマに照らして、米国の規制の枠組みを再検証するように言っているわけですが…これはかなり重大な変更をしろということですよ。
2012-04-30 09:12:39特別チーム:私が言いたいのは、この場にいるすべての人が今日の事態を招いたことに加担したのだということです。そのことを認識し、どうやって将来よい方向に向かわせるべきかと考えた時、おのずと見えてくるものがあるはずです。
2012-04-30 09:16:32<ナレーション> 規制を強化すべきという特別チームの主張に理解を示したのは、NRCのヤツコ委員長でした。重大な事故が起きて放射性物質が撒き散らされたら、甚大な社会的損失が生まれる。
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