@kurmacfさんによる、「戦国大名」と「国衆」の関係性

このまとめでの用語定義 「戦国大名」:政治的に独立した権力で、直轄地域を越えた領域を支配下に置いた存在 「国衆」  :「戦国大名」に従属している自治領主 5/6 その後の関連ツイートを更新しました。 続きを読む
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お菓子っ子 @sweets_street

@kurmacf 君主が定めた広域で通用する法律を封建領主が採用すると、封建領主は君主の法律が通用する他地域との政治的な折衝や経済的な取り決めを同一の法律で行えるし、自領に支配を浸透させるために君主の法律の権威を行使できるので、封建領主としてもメリットがある。普遍的な話ですね

2012-05-01 02:16:33
MARUSHIMA Kazuhiro @kurmacf

「軍事的安全保証体制」の中身とは何か。まず、国衆は大名に対し、戦時の参戦を約束する。つまり軍役に応じる。そして大名に対し、人質を提出する。また毎年のように、大名に税を納めているようである。一種の「安全保証税」という形になる。

2012-05-01 02:17:47
MARUSHIMA Kazuhiro @kurmacf

大名の側はどうか。まず大前提となるのが、国衆領には求められない限り干渉はしない、ということである。戦国大名の定めた法律は、国衆領には「適用されない」。そして軍事的保護を加える。これは非常時の援軍派遣に加え、国境地帯にいる場合は、恒常的な援軍の常駐という処置をとることもある。

2012-05-01 02:19:58
MARUSHIMA Kazuhiro @kurmacf

なぜこのような形をとるかというと、大名にとって、軍事的に国衆を滅ぼすのは大変な労力を要することにある。国衆に軍事的圧迫を加えれば、その国衆は隣接する別の戦国大名に支援を求め、従属するだろう。これを防ぐには、先手をうって国衆を大名領国に取りこみ、保護してしまうほうが遥かに楽なのだ。

2012-05-01 02:21:41
MARUSHIMA Kazuhiro @kurmacf

いいかえると、戦国大名の領国拡大というのは、基本的に国衆を従属させていく、という形で進展することが多い。

2012-05-01 02:22:11
MARUSHIMA Kazuhiro @kurmacf

その戦国大名による、国衆領保護の究極的な形が、「転封」である。転封というと、秀吉時代の話かと思われがちだが、戦国大名段階でも転封は確認できる。武田氏の場合、岩村田大井氏と、高天神小笠原氏の事例が該当する。

2012-05-01 02:24:31
MARUSHIMA Kazuhiro @kurmacf

岩村田大井氏の場合、信濃から上野への在番を命じられた際、自主的に本領を武田氏に差し出し、赴任地での替地宛行を求めた。本領と赴任先の往来に要する費用が、家の経営を圧迫すると判断したためと推測される。

2012-05-01 02:26:19
MARUSHIMA Kazuhiro @kurmacf

高天神小笠原氏の場合はわかりやすい。最前線にある遠江から、後方の駿河への転封である。これは、大名が国衆領を直轄化した事例ともいえるが、敵対し、かつ離反した徳川家康の攻撃に晒されることを防ぐための処置ともいえる。いわば、高天神小笠原氏を保護するための転封であった。

2012-05-01 02:27:58
MARUSHIMA Kazuhiro @kurmacf

これは、福田千鶴氏が明らかにした、江戸初期の御家騒動に対する幕府の対応と同様である。通説では、幕府は強大な諸大名の力を削ぐため、積極的に大名家取りつぶし政策を推進したとされてきた。しかし、実態は異なる。

2012-05-01 02:29:23
MARUSHIMA Kazuhiro @kurmacf

江戸幕府は、諸大名の家が存続するよう、助言役を任命したり、家老を直接説諭したりして、出来る限り大名家の破綻を回避しようと全力を注いでいる。それが成し遂げられなかった場合、やむを得ない処置として大名の取りつぶしが成されているのである。

2012-05-01 02:30:31
MARUSHIMA Kazuhiro @kurmacf

話を戻すと、戦国大名は国衆を軍事的保護下に置く代わりに、その軍事力を戦争で行使し、かつ大名領国そのものを拡大することができた。国衆は、必要に応じて大名に助けを求めたり、大名の施策を学んだりする。その結果として、類似した文書が発給されることになるのである。

2012-05-01 02:32:28
MARUSHIMA Kazuhiro @kurmacf

これはかつての、大名が国衆領に支配を及ぼそうとして、なかなか果たせなかった、という理解とは正反対である。戦国大名は、そもそも国衆領に支配を及ぼそうなどという発想は有していない。そんな必要はないからだ。

2012-05-01 02:33:29
MARUSHIMA Kazuhiro @kurmacf

ただし、国衆の自力存続が不可能、と大名が判断した場合、国衆領の直轄化政策がとられることがある。これは、江戸幕府の大名取りつぶしと同様の対応。

2012-05-01 02:34:53
MARUSHIMA Kazuhiro @kurmacf

しかし、これはかなり例外的事例である。だから大名がとった手というのは、国衆家に子弟を養子として送り込むことであった。そうすれば、国衆が離反する危険性は格段に低くなる。また、子弟に大きな軍事力を持たせることもできる。

2012-05-01 02:36:09
苗木 @LMR_XVII

岩村遠山氏における織田信房とか。だからこそ秋山虎繁の婿入りに信長は激怒するわけですね。 RT @kurmacf しかし、これはかなり例外的事例である。だから大名がとった手というのは、国衆家に子弟を養子として送り込むことであった。そうすれば、国衆が離反する危険性は格段に低くなる。

2012-05-01 06:43:38
tonobataan @tonobataan

その前に、織田のほうが無理筋なんで、信玄も激怒したでしょうね。 RT LMR_XVII 岩村遠山氏における織田信房とか。だからこそ秋山虎繁の婿入りに信長は激怒するわけですね。 RT @kurmacf しかし、これはかなり例外的事例である。だから大名がとった手とい・・・

2012-05-01 07:12:40
MARUSHIMA Kazuhiro @kurmacf

これこそ国衆家への介入の最たるものとみえるかもしれない。しかし多くの場合、国衆家への養子入りは、国衆家臣の支持を得てなされた。彼らにとっては、戦国大名の子弟を当主に頂くことは、大名領国内での立場を安定させることにつながるからである。

2012-05-01 02:37:30
MARUSHIMA Kazuhiro @kurmacf

話が長くなってしまったが、ようするに戦国大名というのは、イメージされているほど強硬な政策をとることは少ない。いってしまえば、より楽に軍事力を増強する方法を模索しているのである。それが、国衆家の保護へとつながる。

2012-05-01 02:38:50
ラモント @sohusadao1914

勉強になりました。ハプスブルクっぽいですね♪ RT @kurmacf 話が長くなってしまったが、ようするに戦国大名というのは、イメージされているほど強硬な政策をとることは少ない。いってしまえば、より楽に軍事力を増強する方法を模索しているのである。それが、国衆家の保護へとつながる。

2012-05-01 02:40:32
MARUSHIMA Kazuhiro @kurmacf

国衆領の混乱は、大名領国の混乱へと直結する。なぜなら、国衆領は国境地帯に位置することが多い。国境の国衆領の混乱は、隣接戦国大名の武力介入を招きかねない。だからこそ、戦国大名は国衆家の保護に全力を注いだのである。そして国衆家は、大名の保護のもとで発展を遂げていくこととなる。

2012-05-01 02:41:10
MARUSHIMA Kazuhiro @kurmacf

国衆同士の紛争解決は、上意権力者たる大名に裁定権があります。これも保護の一環です。 RT @JunKushita: 面白くうかがっております。その場合、域内の国衆同士の紛争解決はどうなっていたのでしょうか。自力救済でしょうか、それとも大名に裁定権/強制力があったのでしょうか。

2012-05-01 02:42:43
MARUSHIMA Kazuhiro @kurmacf

そういうことです。そして多くの場合、家中での派閥対立を伴うことが多い。これがいわゆる御家騒動です。もっとも、国境地帯の国衆でなければ不可能ですが。 RT @JunKushita: そして、その裁定に不服の場合、他の大名に乗り換えて助力を求めたりといったこともありうるわけですね。

2012-05-01 02:52:21
MARUSHIMA Kazuhiro @kurmacf

あ、いけない。誤字だ。上意権力者→上位権力者。国衆内部で解決できない問題は、大名に判断が委ねられます。これは国衆領を超えてしまった問題もそうですし、国衆の実力では解決できない問題も含まれます。

2012-05-01 02:44:46
MARUSHIMA Kazuhiro @kurmacf

繰り返しになるが、戦国大名と国衆の関係は、江戸幕府と藩の関係と基本的に同様である。よく誤解されるが、幕府の定めた法は藩領には適用されない。ただ、藩のほうが自主的に見習って、同様の法を定めることがある、というものなのだ。このことは、戦国大名と国衆が、江戸幕府に連なることを示唆する。

2012-05-01 02:50:58
MARUSHIMA Kazuhiro @kurmacf

あはは、どうもありがとうございます。まあ、講義で話した内容なので。 RT @rikuchi10: 丸島さんの一連のツイートのお陰で今までなんとなくもやっとしてたところがすっきりした気がする。夜更かししててよかった。

2012-05-01 02:53:00
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