「いのちを守るがれきを活用した緑の防潮堤構想」説明会@陸前高田市(2012年7月31日)

▽東日本大震災の津波により、じつに死者1,500人以上という甚大な被害を受けた陸前高田市で、2012年7月31日(火)、宮脇昭さんらが提唱する「いのちを守るがれきを活用した緑の防潮堤構想」説明会がおこなわれました。 当日の @HASHIME_chan さん(陸前高田市、現在は隣町の木造仮設住宅に入居)による実況と、「三陸沿岸の植生」の説明を担当された博物館学芸員(植物分野) @mahoroszk さんのtweetを中心にまとめます。 なお、次のまとめも参照してください。 ▼「森の防潮堤」構想と宮脇昭理論の生態学上の問題点(2012年11月19日) - Togetter http://togetter.com/li/410096 ▼「森の防潮堤」構想と宮脇昭氏への土木工学的観点からの批判(2012年3月-6月) - Togetter http://togetter.com/li/359591 ▽また、宮脇昭さんの理論については、次のまとめも参照ください。 続きを読む
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▼「森の防潮堤」を作る植樹会〔2013/5/18〕 | NNNニュース http://news24.jp/nnn/news8855407.html
▽「震災のがれきを使って木を育て森の防潮堤を作る植樹会が〔岩手県〕大槌町で開かれた。この植樹会は、東京に本社がある横浜ゴムが大槌町が復興計画に掲げる「いのちを守る森の防潮堤」作りに賛同して去年〔2012年〕から行っている。横浜ゴムの社員と町民らおよそ450人が参加しタブノキやシラカシなど15種類の苗木5000本を大槌町浄化センターの敷地に植えた。植樹する土台には震災で発生した流木やコンクリートがらなどを活用していて苗木は10年後には高さ10メートル以上の「森の防潮堤」に成長し津波の被害を食い止める。/ [5/18 17:47 テレビ岩手]」
▼自然防潮堤をつくる植樹会 (2013年05月18日 18:00 更新)|IBC岩手放送 http://news.ibc.co.jp/item_19723.html
▽「大槌町で震災ガレキを活用して作られた防潮堤に木を植える、植樹会が行われました。植樹会は大槌町を支援する横浜ゴムなどが主催したもので、町民およそ450人が参加。震災がれきに盛り土をした場所に、タブノキやヤマザクラなど15種類5000本の苗木を植えました。木々の成長に伴って、自然を生かした防潮堤になるということです。」
▼根付け「森の防潮堤」/大槌で5千本植樹〔2013/05/19〕|岩手日報 http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20130519_5
▽「大槌町が東日本大震災の復興計画に掲げる「いのちを守る森の防潮堤」のモデルケースとなる「平成の杜(もり)」植樹会は〔2013年5月〕18日、同町小鎚の町浄化センター敷地内で開かれた。昨年に続き2回目で、趣旨に賛同する横浜ゴム(東京都港区、南雲忠信代表取締役会長兼CEO)主催。地域住民や関係者ら約400人が参加した。/ 「森の防潮堤」は横浜国立大の宮脇昭名誉教授が提唱。震災がれきを利用した土台(マウンド)に、その土地に適した樹木を混植することで、成長した木々が「本物の森」として根付き、津波被害の低減につながる。/ 参加者は長さ約50メートル、高さ約4メートルのマウンドに、タブノキやアカガシなど15種類の苗木約5千本を植えた。平成の杜は2017年までに300メートルにする予定。/ 【写真=震災がれきを利用したマウンドに約5千本の苗木を植える参加者ら=18日、大槌町小鎚】/(2013/05/19)」
  

▼河北新報 コルネット 社説|森の防潮堤構想/代表の責務を果たす提案だ〔2013年06月01日〕 http://www.kahoku.co.jp/shasetsu/2013/06/20130601s01.htm
▽「震災で発生した宮城県内のがれきは約1795万トン。その処理は、国の当初目標通り本年度末で完了する見通しとなった。/ ことし〔2013年〕3月末時点での宮城県の処理率は、災害廃棄物64.7%、津波堆積物43.0%。岩手、福島両県を上回るペースで、それぞれ59%、40%としていた中間目標値もクリアした。/ がれきの処理が遅れれば、その分、新たなまちづくりも遅れる。被災者起点で考えれば、国の方針を忠実に履行しようという宮城県の努力は、評価されてしかるべきだろう。/ しかし、がれき処理の手法をめぐっては、全く別な視点からの政策提言もあった。「国の指示に従うだけでいいのか」と疑問を投げ掛け、論争を挑んだのが宮城県議会だ。/ 宮城県のがれき総量は、県内で排出される一般廃棄物の23年分に相当する。しかも、津波による海水塩の洗浄や放射性物質の検査が欠かせない。1トン当たりの処理費は、阪神大震災(2万2千円)の2倍以上の約5万円にまで膨らむ。/ こうした事情を勘案し、県議会の総意で提言したのが「森の防潮堤」構想だった。/ 木材やコンクリート片などのがれきで盛り土を築き、広葉樹を植えれば、景観に配慮した防潮堤の整備と膨大ながれきの有効利用という二つの課題を同時に解消できると訴えた。/ これに対して執行部は、木質がれきをそのまま埋めれば不法投棄と見なされ、廃棄物処理法に抵触すると反論。がれき処理論争は、双方の主張が真っ向から対立したまま今に至る。/ がれきの広域処理が被災地支援の象徴のように扱われることにも〔宮城〕県議会は、推進の立場と一線を画す見解を示している。受け入れ自治体では、搬入阻止のデモが勃発。意図しなかった事態に「処理が多少遅れても県内で自己完結すべきだ」と論陣を張る議員もいた。/ 一連の経緯を振り返り、誰のどの主張が正しいなどと言うつもりはない。ただ、震災復興の途上で避けては通れないテーマに、県議会が独自の切り口で問題提起した意義を見逃してはならないと考える。/ 法政大の杉田敦教授(政治学)の近著「政治的思考」(岩波新書)は、民意が形成される過程で重要な役割を果たす住民の代表による「演劇的はたらき」を解き明かした。/ ある課題に対し、あらかじめ明確な意見を持っていない私たち「代表されるもの」は、議会や政党など「代表するもの」による論戦を見ることで「何が問題になっているか」を理解し、「政治的争点がどこにあるか」を知り、そして「自分は誰の意見に近くて、どの点が異なるのか」を考える。民意は、こうして形づくられる。/ 震災復興の急場にあっても、代表の責務を全うしようという宮城県議会の姿勢を買いたい。がれき処理の完了は数カ月後に迫っている。政策提言がどう決着するのか、県議会には最後まで発信を続けてもらいたい。/ 2013年06月01日土曜日」
 →▼〔参考:〕宮城県議会の「『いのちを守る森の防潮堤』実現に向けた決議(平成24年7月6日)」について。 - Togetter http://togetter.com/li/479064
  

▼東日本大震災:記憶伝承、「千年希望の丘」1号完成/4000人参加し植樹祭−−岩沼〔2013年06月11日〕 /宮城- 毎日jp(毎日新聞) http://mainichi.jp/area/miyagi/news/20130611ddlk04040070000c.html
▽「東日本大震災のがれきを活用し、避難場所や震災の記憶伝承の場となる丘陵地を造成・植林する〔宮城県〕岩沼市の「千年希望の丘」事業で〔2013年6月〕9日、同市相野釜地区に第1号の丘が完成し、植樹祭が行われた。同市は今後、沿岸部約10キロの14カ所に丘の整備を目指す。/ 丘は高さ8メートルで、がれきを含め約3万5000立方メートルの土砂で造成した。津波からの避難場所となるほか、防災教育の場や震災の記憶の伝承の役割も担う。/ 植樹祭には全国から4000人以上が参加し、タブノキやアラカシなど17種約3万本の苗木を植えた。井口経明(つねあき)市長は「復興を加速させるように努力したい。丘が世界の震災復興のモデルになれば」と話した。/ がれきを活用した防潮堤構想を提唱する宮脇昭・横浜国立大名誉教授と構想推進を目指す公益財団法人「瓦礫(がれき)を活(い)かす森の長城プロジェクト」を設立した細川護熙元首相や、歌手の倉木麻衣さんも参加した。倉木さんは「希望を作る気持ちを植えるようだった。次世代に気持ちをつなげていくことが私たちの未来を守り、私たち自身を守ることにつながる。歌手としてできることを続け、皆さんと希望を作っていきたい」と話した。【三浦研吾】」「毎日新聞 2013年06月11日 地方版」
▼河北新報|教訓、1000年先へ/「希望の丘」第1号完成/岩沼〔2013年06月11日〕 http://www.kahoku.co.jp/news/2013/06/20130611t15021.htm
▽「東日本大震災で被災した宮城県岩沼市の沿岸部に、震災廃棄物や津波堆積土を活用して震災の記憶を伝える「千年希望の丘」事業の第1号となる人工丘が完成した。/ 円形の丘は高さ9メートル、直径約70メートル。〔2013年6月〕9日、現地で植樹祭が開かれ、全国から参加したボランティアら約4000人が丘につながる約400メートルの堤防にタブノキやシラカシなど17種類、約3万本の苗木を植えた。成長すると緑の防潮堤になる。/ 2013年06月11日火曜日」」
▼時事ドットコム:津波避難の丘、第1号完成=教訓伝承へ震災がれき活用-宮城〔2013/06/09〕 http://www.jiji.com/jc/zc?k=201306/2013060900092&g=soc
▽「東日本大震災で被災した宮城県岩沼市の沿岸部で〔2013年6月〕9日、津波からの一時避難場所となる丘が完成した。震災がれきを使って造成した第1号で、市は今後、沿岸部一帯で丘を整備。津波の勢いを弱める効果に加え、震災の教訓を後世に伝える公園の役割も持たせる。/ 「千年希望の丘」と名付けた事業で、第1号の丘は標高約9メートルの頂上部に約100平方メートルの広さを確保。約50人が避難できるようにした。両脇には計約300メートル、高さ3メートルの堤防を整備。上部の遊歩道は災害時、避難路として活用する。/ 造成には約3万5000立方メートルの土砂を使った。震災の記憶を継承しようと、約6割は震災で出た被災建物のコンクリート片や、津波で打ち上げられた砂。整備費用は市への寄付金を充てた。」「〔写真:〕東日本大震災の津波で生じたがれきを使い造成された「千年希望の丘」から周囲を眺める人たち=9日午前、宮城県岩沼市」「(2013/06/09-14:38)」
  

▼河北新報|育て森の防潮堤、岩沼モデル発進/仙台湾南部海岸で植樹〔2013年07月01日〕 http://www.kahoku.co.jp/news/2013/07/20130701t13025.htm
▽「東日本大震災で津波の被害を受けた宮城県岩沼市下野郷の仙台湾南部海岸で〔2013年6月〕30日、防潮堤の陸側のり面の盛り土部分に広葉樹を植える植樹式が国などの主催で行われた。「森の防潮堤」の考え方を採用した取り組みで、国として初めて実施した。/ 植樹式には全国から駆け付けた約700人が参加。太田昭宏国土交通相は「森の防潮堤は環境への配慮と、粘り強い構造を実現できる。岩沼の取り組みをモデルにしたい」とあいさつした。/ 参加者は、「森の防潮堤」を提唱する宮脇昭横浜国立大名誉教授から指導を受け、カシやシイ、タブなどの苗約7000本を植えた。苗は、財団法人「瓦礫(がれき)を活(い)かす森の長城プロジェクト」(東京)が提供した。/ 植樹をしたのは、国が3月に復旧工事を終えた延長約5キロの海岸防潮堤のうち、約100メートルの部分。国は震災に伴って出た工事の残土やコンクリートがれきも一部活用し、最大で厚さ2.6メートルの盛り土をのり面に築いていた。」「〔写真:〕海岸防潮堤の盛り土部分に広葉樹の苗を植える参加者」2013年07月01日月曜日」
  

(2013年11月)

▼緑の防潮堤、枯死の危機/岩沼沿岸6割が生育遅れ〔2013年11月06日〕|河北新報 http://www.kahoku.co.jp/news/2013/11/20131106t11012.htm
▽「東日本大震災で被災した宮城県岩沼市沿岸部で、防潮堤に盛り土をして植樹した「緑の防潮堤」が塩害などの影響により十分に生育していないことが分かった。東北地方整備局は、枯死を防ごうと防潮堤の周囲をネットで囲い、対策を進めている。/ 緑の防潮堤は東北地方整備局が、震災の海岸復旧事業で発生した残土などを利用し整備した。同市下野郷で100メートルにわたり、防潮堤の陸側斜面に土を盛った。〔2013年〕6月下旬には住民ら約700人がシラカシやタブノキなどの苗木約7400本を植樹した。/ 整備局によると、11月初め現在、6割程度が落葉し生育が遅れているようだという。9月中旬に台風18号が通過した際、樹木に海水がかかり影響が出たとみられる。/ 整備局は10月上旬、大半は根が生きており、一部は新芽も出ているため「枯れてはいない」と確認。海水の塩分が風にのって影響しているとも判断し、10月中旬に周囲を防護ネットで囲った。/ 整備局の担当者は「追肥や水まきは行わず、注意深く見守っていく」と説明する。/ 緑の防潮堤から約250メートル陸側に岩沼市が緑の防潮堤と同時期に整備した「千年希望の丘」の木々は、順調に生育している。市は「潮風を受けにくい位置だからではないか」とみている。」「〔写真:〕生育が悪い「緑の防潮堤」。海風や海水の影響を受けないようにネットで覆われている=〔11月〕1日、宮城県岩沼市」「2013年11月06日水曜日」
  

(2014年6月)

▼震災がれきで作った丘に苗木植樹〔2014年5月31日〕|NHKニュース http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140531/k10014879941000.html
▽「東日本大震災で大きな被害を受けた宮城県岩沼市の沿岸で、震災のがれきで作った丘に「森の防潮堤」として7万本の苗木を植える催しが開かれました。/ 宮城県岩沼市などは、津波で発生した土砂やがれきなどを使って沿岸に丘を整備し、「千年希望の丘」と名付けて震災を後世に語り継ぐことにしています。/ 〔2014年5月〕31日は、全国からボランティアなどおよそ7000人が参加し、広葉樹7万本を植える催しが開かれました。/ 参加者はグループに分かれて、高さ10メートルの丘の斜面に1.5キロに渡って「しい」や「かし」など16種類の広葉樹の苗を1本1本丁寧に植えていきました。/ 丘は防潮堤としての役割も期待され、1時間ほどで植え終わると、斜面一面が緑に覆われました。/ 会社の仲間と参加したという仙台市の25歳の男性は、「この植樹が宮城県の復興の象徴になればいいなという思いで植えました」と話していました。/ 「森の防潮堤」を提唱した横浜国立大学の宮脇昭名誉教授は、「津波のエネルギーを弱め、命や地域を守る森として世界に発信したい」と話していました。/ こうした取り組みは、岩手県大槌町や福島県南相馬市などでも進められていて、今後も続けられることになっています。」「5月31日 20時01分」
  

▼改正海岸法が成立=「緑の防潮堤」を保全施設に〔2014/06/04〕|時事ドットコム http://www.jiji.com/jc/c?g=soc&k=2014060400079
▽「海岸堤防の斜面に土を盛って植樹する緑の防潮堤」などを海岸保全施設に位置付ける改正海岸法が、〔2014年6月〕4日の参院本会議で全会一致で可決、成立した。東日本大震災では、津波が堤防を乗り越えて街に流入した例が多かった。このため、緑の防潮堤をはじめ、水流を弱めたり、堤防の損傷を軽減したりできる施設の整備を推進して減災対策を強化する。/ 大震災ではまた、水門の閉鎖作業に従事した地元消防団員らが多数、津波で命を落とした。改正法では、津波や高潮の際に身の安全を確保できる操作方法や、日ごろの訓練について盛り込む水門の操作規則の策定も自治体に義務付ける。 (2014/06/04-10:30)」

▼「緑の防潮堤」国の補助明確化/改正海岸法が成立〔2014/06/04〕|47NEWS(よんななニュース) http://www.47news.jp/CN/201406/CN2014060401001077.html
▽「大規模地震に備え防潮堤と防災林を一体化して津波の被害を軽くする「緑の防潮堤」の整備を進めるための改正海岸法が〔2014年6月〕4日の参院本会議で可決、成立した。通常の防潮堤と同様に海岸保全施設の一つに位置付け、地方自治体が整備する場合に国の補助対象になることを明確にした。/ 緑の防潮堤は、通常の防潮堤の陸側などに土を盛って植林したもの。基礎部分が強化され倒壊しにくくなるほか、防潮堤を越える高さの津波が来ても防災林が勢いを弱めて、内陸への到達時間を遅らせる。またコンクリートがむき出しになった防潮堤に比べ、景観への影響を小さくできる。/ 2014/06/04 11:23 【共同通信】」

▼「緑の防潮堤」に補助/改正海岸法、本県は大槌が構想〔2014/06/05〕|岩手日報 http://www.iwate-np.co.jp/cgi-bin/topnews.cgi?20140605_5
▽「大規模地震に備え防潮堤と防災林を一体化して津波の被害を軽くする「緑の防潮堤」の整備を進めるための改正海岸法が〔2014年6月〕4日の参院本会議で可決、成立した。通常の防潮堤と同様に海岸保全施設の一つに位置付け、地方自治体が整備する場合に国の補助対象になることを明確にした。/ 緑の防潮堤は、通常の防潮堤の陸側などに土を盛って植林したもの。基礎部分が強化され倒壊しにくくなるほか、防潮堤を越える高さの津波が来ても防災林が勢いを弱めて、内陸への到達時間を遅らせる。またコンクリートがむき出しになった防潮堤に比べ、景観への影響を小さくできる。現状でも建設は可能。ただ海岸法に規定がないため、自治体が建設しようとしても国の補助が出るのか不明確だった。/ 本県では大槌町が東日本大震災の復興計画で、町方地区に緑の防潮堤や遊歩道をつくる「鎮魂の森公園」の構想を掲げている。鎮魂の森の土台には木材などの津波堆積物を処理した資材を使い、防潮堤完成後に整備を進める計画。事業費を「災害の記憶を風化させない事業寄附金」の一つとして募り、〔2014年〕5月末時点で約1億7845万円が集まっている。/ (2014/06/05)」
  

▼緑の防潮堤/議論噴出〔2014年6月7日〕|朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/articles/CMTW1406070400001.html
▽「「復興」2014/ 緑の防潮堤 議論噴出」「大津波にも強い堤防をつくるとして、国土交通省が整備に乗り出した「緑の防潮堤」で、試行錯誤が続いている。最初に手がけた岩沼市で、植えた常緑広葉樹の半数程度が枯れてしまったからだ。従来海岸に植えられてきたマツ林か、鎮守の森のような広葉樹林か。同省は樹種の見直しを検討している。/ ■さきがけの岩沼、半数ほど枯れる/ 東日本大震災で大きな被害を受けた〔宮城県〕岩沼市下野郷。海と陸側を隔てる高さ7・2メートルのコンクリート防潮堤のうち、約100メートルの区間で、斜面が土に覆われていた。目をこらすと、数十センチの細い枝がほぼ等間隔で立っている。緑の葉をつけたものは少なく、半数程度は地上部が枯れている。/ 昨年〔2013年〕6月、市民が参加し約7千本の苗木を植えた。タブノキやシラカシ、スダジイなど高木になる常緑広葉樹やマサキなど低木の広葉樹類。震災前、この海岸に植えられていたクロマツではない。宮脇昭・横浜国立大名誉教授が提唱する、土地本来の多様な広葉樹林を育てる「いのちを守る森の防潮堤」の考えだ。/ 国土交通省はこの「緑の防潮堤」を、岩沼市と山元町の沿岸計12キロで、15億円をかけて整備する。/ ところが最初に手をつけた岩沼市で、苗木の多くが1年たった今も、ほとんど成長していない。国交省東北地方整備局によれば、昨夏の台風で高潮に襲われた影響もあったという。/ 先月末〔2014年5月末〕に現地を訪れた宮脇氏は「もともと(海の近くで生育が)難しい所なので、防潮ネットを張って育てるべきだった。ただ、残ったタブやシイからは新しい芽が出ている」と話し、時間をかけて見守るべきだと訴えた。/ だが、東北地方整備局が〔2014年〕2月に開いた事業評価監視委員会では、厳しい意見が相次いだ。黒沢高秀・福島大教授は「東北の海岸では常緑高木林を育成する技術が確立しておらず、防災林になるには百年単位を要する」と指摘。「植樹技術が確立し、成長が早い針葉樹のクロマツを基本とするのが妥当だ」とした。委員会も、植生について専門家の意見をよく聞くよう注文をつけた。/ 整備局は今秋、岩沼市蒲崎地区の海岸で、2カ所目となる緑の防潮堤の整備を始める。常山修治河川調査官は「樹種をどうするか内部で検討中。林野庁とも連携して進めたい」と話す。それぞれ100メートルほどの範囲で、常緑広葉樹とクロマツを植え、数年かけて比べる案も浮かんでいる。」
▽「■広葉樹?クロマツ? 「検証ないまま推進」/ 海岸林は、農地や集落を潮風や砂から守る役割も持つ。どんな植生がふさわしいかは、専門家の間でも議論が起きている。/ 仙台湾岸では江戸時代以降、クロマツが植えられ、白砂青松の風景が受け継がれてきた。震災ではその多くが流され、県内の海岸林被害は、被災地最大の1400ヘクタールに及ぶ。/ 国有林を管理する林野庁は、根が深く張っていなかったために倒れたと分析。震災後、海岸で高さ2〜3メートルの盛り土を施し、従来通り潮風に強く成長が早いクロマツを中心に植え、復旧を進めている。/ これに対し、宮脇氏は、マツの単植林ではなく、その土地本来の様々な常緑広葉樹が交じった森を育てるべきだと提唱。各地で市民参加型の植樹運動が広がるほか、一部の自治体もとりいれている。/ この現状に対し、日本学術会議は「どちらが持続性のある海岸林か、検証がないまま海岸林の復興が進められている」と指摘する提言を〔2014年〕4月にまとめた。学術会議の分科会(委員長・石川幹子中央大教授)が仙台湾岸の植生を調査。それをもとに、地域ごとの生態系を踏まえた多様な整備・保全に転換すべきだとした。/ (石橋英昭)」
▽「■《緑の防潮堤》 巨大防潮堤への批判が強まる中、自然環境や景観への配慮をうたって国交省が新たにうちだした。コンクリートでつくった防潮堤の陸側斜面に土を盛り、木々を植える。数十年から百数十年に一度クラスの津波はコンクリートの防潮堤が防ぐと想定。それを上回る規模でも、根を張り巡らせた木々が津波の勢いを弱め、避難までの時間を稼ぐと見込んでいる。」「2014年6月7日20時08分」
  

▼ローカルTime FNN被災地発...|被災した岩沼市の海岸にある「緑の防潮堤」を現地調査/国交省(宮城2014/06/30) http://www.fnn-news.com/localtime/miyagi/detail.html?id=FNNL00013645
 →▼被災した岩沼市の海岸にある「緑の防潮堤」を現地調査/国交省(宮城14/06/30) - YouTube https://www.youtube.com/watch?v=vtQqJYSS85c
▽「東日本大震災で被災した宮城・岩沼市の海岸で整備が進められている、「緑の防潮堤」について、国土交通省は〔2014年6月〕30日、植えた樹木の生育を確認するため、現地調査を行った。/ 30日の現地調査は、「緑の防潮堤」を提唱した横浜国立大学の宮脇 昭名誉教授を招いて行われた。/ 国土交通省は2013年6月、防潮堤の陸側の斜面に、タブノキやシラカシなど、およそ7,000本の広葉樹を植えたが、植樹から1年が経過して、生育の遅れや、部分的に枯れた状態が確認されていた。/ その原因について、宮脇名誉教授は「海風に運ばれた塩分を含む砂で、苗木が20~30cm埋もれたからではないか」と分析した。/ 宮脇名誉教授は「海の砂を(苗木が)かぶったことで、こういう結果になっています。本番兼試験植栽でもありましたから、(苗木を)追加して、どうなるか見ていきたいと思います」と話した。/ 国土交通省では、7月上旬、塩分を含む砂の侵入を防ぐ柵を新たに追加するなどして、対応するという。 (6/30 20:18) 仙台放送」

▼防潮堤の広葉樹が枯れ…専門家が調査/宮城(宮城県)〔2014/06/30〕|日テレNEWS24 http://www.news24.jp/nnn/news89082897.html
▽「国土交通省が宮城県で整備を進める岩沼市の「緑の防潮堤」で、植樹した広葉樹が枯れる被害が出ていることから、〔2014年6月〕30日、専門家による現地調査が行われた。  30日午後、岩沼市下野郷に整備された「緑の防潮堤」を横浜国立大学名誉教授の宮脇昭氏が訪れ、調査を行った。国土交通省は、環境に配慮した防潮堤を作ろうと、宮脇氏が提唱する「森の防潮堤」を基に、岩沼市と山元町の沿岸12キロで、「緑の防潮堤」を15億円かけて整備する計画で、去年〔2013年〕6月、岩沼市下野郷の防潮堤に広葉樹7000本を植樹した。しかし、去年9月の台風の影響で、海から運ばれた塩分を含む砂が木の根元に堆積し、一部で生育が遅れたり、枯れたりするなど被害が出ている。  東北地方整備局は今後、宮脇氏の助言を基に来月上旬、砂の侵入を防ぐための柵をさらに増やして設置する他、新たに約400本の広葉樹を植えることにしている。」「[ 6/30 21:59 NEWS24]」
  

▼「緑の防潮堤」400本補植へ/岩沼で東北整備局〔2014年07月01日〕 | 河北新報オンラインニュース http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201407/20140701_13021.html
▽「〔国土交通省〕東北地方整備局は〔2014年6月〕30日、宮城県岩沼市沿岸に整備した「緑の防潮堤」にタブノキなどの苗300~400本を補植すると発表した。台風などの影響で部分的に枯れているのが確認されていた。/ 整備局によると、植樹エリア約1700平方メートルのうち、生育状況が良くない約300平方メートル(18%)に補植。塩害を防ぐ柵も2カ所に追加する。/ 現地では同日〔6月30日〕、植樹を指導した横浜国立大の宮脇昭名誉教授(森林生態学)を招いた調査があった。宮脇氏は「塩分を含む砂をかぶって枯れてしまった」と説明した。/ 緑の防潮堤は陸側の斜面に土を盛って植林した構造物。景観に配慮しつつ、減災機能が期待できる。岩沼市の防潮堤には昨年6月、約7400本の苗が植えられた。/ 2014年07月01日火曜日」
  

▼提言・報告等【2014年(平成26年)】|日本学術会議 http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/2014.html
 →▼PDF:「提言 いのちを育む安全な沿岸域の形成に向けた海岸林の再生に関する提言」日本学術会議 東日本大震災復興支援委員会災害に強いまちづくり分科会 環境学委員会環境政策・環境計画分科会(2014/4/23) http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-22-t140423.pdf

▼東北地方整備局事業評価監視委員会〔2014年2月26日〕|国土交通省 http://www.thr.mlit.go.jp/bumon/b00097/k00360/h13jhyouka/2506hpsiryou/H25dai6kai.htm
▼事業評価監視委員会 http://www.thr.mlit.go.jp/bumon/b00097/k00360/h13jhyouka/2506hpsiryou/2506hpsiryou.htm
 →▼PDF:「資料1 海岸事業 再評価 仙台湾南部海岸 直轄海岸保全施設整備事業」〔2014年2月26日〕|国土交通省東北地方整備局 http://www.thr.mlit.go.jp/bumon/b00097/k00360/h13jhyouka/2506hpsiryou/siryou250601.pdf
 →▼PDF:議事録「平成25年度東北地方整備局事業評価監視委員会(第6回)」〔2014年2月26日〕 http://www.thr.mlit.go.jp/bumon/b00097/k00360/h13jhyouka/2506hpsiryou/2506gijiroku.pdf
  

  
  

(関連まとめ)

まとめ 「森の防潮堤」構想と宮脇昭理論の生態学上の問題点 ▽東日本大震災後、宮脇昭さんらが提唱している「いのちを守る森の防潮堤」(「森の長城プロジェクト」)のはらむ問題点について、@mahoroszk さん(博物館学芸員(植物分野))による生態学の観点からの指摘をまとめます。 なお、より詳しいブログ記事も公表されています。 ▼仕事だけじゃない日誌〔2012-11-19〕 http://d.hatena.ne.jp/mahoro_s/20121119/1353325467 ▽「2011年3月11日の大津波被害に遭った土地で宮脇昭氏が推進する植樹運動(「緑の防潮堤づくり」)については様々な問題がある。すでに指摘されている部分もあるし、これから出てくる議論も多いだろう。/ 現在のところ、生態学的な問題について簡潔に指摘する文章が少なく、漠然とながらも疑問視する声を多く聞.. 38591 pv 229 17 users 37
まとめ 緑の防波堤 クロマツのほうが、、、 16672 pv 350 14 users 65
まとめ 宮脇昭理論(「潜在自然植生」)による森づくりをめぐって。(2012年11月) ▼宮脇昭|Wikipedia http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AE%AE%E8%84%87%E6%98%AD ▼潜在自然植生|Wikipedia http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BD%9C%E5%9C%A8%E8%87%AA%E7%84%B6%E6%A4%8D%E7%94%9F ▼極相|Wikipedia http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A5%B5%E7%9B%B8 ▼母なる森(潜在自然植生)|グリーンサイト http://www.green-site.com/motherforest/index.html ▼宮脇昭理論の批判を試みる〔2011/11/10〕|森林ジャーナリストの「思いつき」ブログ htt.. 38849 pv 200 31 users 61
まとめ 毎日新聞記者さんの「森の防潮堤」推奨発言をめぐる議論(2012年12月) ▽2012年12月14日(金)、「いのちを守る森の防潮堤」構想と宮脇昭氏の「潜在自然植生」に関する毎日新聞記者の @hidetoga さんのtweetをきっかけに広がった議論や周辺tweetをまとめます。 ▽まとめ末尾には、東日本大震災後、林野庁が進める海岸林復旧事業についての @jnishihiro さんのtweetも収録しています。  →▼毎日新聞記者hidetogaさんの語る「森の防潮堤」構想と宮脇昭氏(2012年12月) - Togetter http://togetter.com/li/422611  →▼「いのちを守る森の防潮堤/森の長城プロジェクト」と宮脇昭氏の「潜在自然植生」概念に関するまとめ一覧 - Togetter http://togetter.com/li/426192 12869 pv 125 6 users 3
まとめ 「森の防潮堤」構想と宮脇昭氏への土木工学的観点からの批判(2012年3月-6月) ▽東日本大震災の津波被害を受けて提唱されている「いのちを守る森の防潮堤」(「森の長城プロジェクト」)構想と、主唱者である宮脇昭氏の「潜在自然植生」概念に関する @MaystormJournal (寺山光廣)さんのtweetをまとめます。「森の防潮堤」の土木工学的な脆弱性の問題を中心に、「人命に関わる計画」として事前に検討されるべきさまざまな論点が提起されています。 (※なお、ダム災害の事例を参照している部分に関しては、まとめコメント欄での @f_zebra さんによる解説も参照ください。) ▼森(緑)の防潮堤について/強度の検証と郷土の設計図が見えない〔2012年06月25日〕|Maystorm Journal 寺山光廣 http://maystormj.exblog.jp/16132898/ ▼「いのち.. 25039 pv 162 27 users 13
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