「葬室からの励と責～イット・カムズ・レイド」#6

Astal_jukebox @astral_jukebox

ホワイトは『殺そうとしたアイツ』などとは言わない。嘘になるからだ。『イヤーッ！』チョップ！「うわあああっ！」『助けてくれる訳が無いだろ？あの死にぞこないが』殴打！「あああ！」（やめろ！）掌底！「ぐあああ！」（やめろ！）蹴り！「ひあああっ！」（やめろ！）顔へ膝！「んぐっ！！」 50

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（やめろ！）『助かりたいか？イヤーッ！』「ああああ！……た、助けて！助けて下さい！」『じゃあ…』ロナルドの眼前にしゃがみ込み、耳元に声を作る。同時に、ロナルドの声がストーンに届かなくなる。何をしようと言うのか？「い、嫌だ！」『そんなこと言うなら痛覚増加しようか？』 51

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「え！？」『ほら二倍！』「いぎやああああっ！！！」『三倍！』打撃と共に痛覚強化が撃ち込まれる！『ﾖﾝﾊﾞｰｲ！』「あ、、ああ、ああ！」このやり取りもストーンには届かない！だが、ホワイトの動きからロナルドが拷問されていることだけは分かる！(やめろ！) 52

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「っおおああ」(やめろ！)上顎だけで声を強引に作るが、当然言葉にならない。（やめろ！）『ｺﾞﾊﾞｰｲ！』「が、あああ、お」『どうする？』「い…や…だ…」なおも拒絶！これも届かない！『どうすっかね～』『…二十倍』「………？」徐々に上げていた倍率をここに来て一度に四倍！ 53

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ロナルドの脳は一瞬、その強すぎるソレが何であるか認識出来ない……そして数秒して…「ぎぃああああああああああああああああああああああ！！！？？！？？？！」「うぃああ（ロナルド！？）」その凄まじい絶叫は、ホワイトによる消音も突破！『どうする？』施術を止めて、ホワイトが問う。 54

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「ひぅう…わ、分かった…助け…へ」顔中を涙で汚したロナルドが呂律のまわらぬ声で答える。『よーし、じゃああっち向いて言ってみよっか～？』「がああ！」首の骨が軋む！強引に師の方を向かせたのだ。「がっ…はっ…マスター…」彼は助ける条件として師を冒涜することを要求されていた。 55

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正確には『助かりたければ、あの出来損ない魔術師を好き放題馬鹿にしてやれ？ＯＫ？』と言われたのである。勿論『助かりたければ、言え』であり『言えば助ける』とは言っていない。なので言わせてから彼を殺したとしても嘘ではない。「マス…ター…」『うん』 56

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「今までありがとうございましたっ！貴方に会えて幸へげぇっ！」顔へヤクザめいた蹴り！床に叩きつけられたその全身からは鮮血！『うわっ！なんてクズ！』蹴った足を念入りに、丹念に、丁寧に払ってから立ち上がった。 57

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もうお気づきだろう。死の恐怖を振り払った彼の叫びは、勿論師には届いていない。全力で掻き消された上で『死ねぇ！役立たず！アンタが弱いせいだ！ホワイトと少しでも戦えたのは僕だけじゃないかっ！アンタの弟子にならなければ死なずに済んだのに！うわああ』と吹き替えられていた。 58

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（違う…おそらく、奴は音を作るだけでなく、消すことが出来る…だが）クライムストーンは先程からの妙な様子からその真実に気付いた。今のロナルドの表情は壮絶だった。そのため思いの丈を叫んだことは分かっても、その感情の種類や本来の台詞は読み取りにくかった。 59

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だがわざわざ吹き替えたという事実そのものが、真実は真逆の台詞だったことを暗示していた。それでも（そうだ…全て本当のことだ…ロンがどう思っていようと…私の部下にならなければ…いやＵＡＲに入らなければ…殺されずに済んだのだ…私が誘わなければ…！）その事実に彼は絶望し、涙した。 60

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（私がっ！私が！わ『ゴミの分際で泣いてんじゃねーよおおあ！？』銀断！百倍の激痛の中でクライムストーンは死んだ。『人間気取りが…っ！』「あああ、あああ！うわあああ！」泣きじゃくるロナルド。その体が天井まで蹴り飛ばされる！『だからその人間気取り止めろよおおおあっあ！！！！』 61

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「あぐっ！」地面に落下！内臓が破裂し、全身複雑骨折！更に頭部を踏みつけ頭蓋を割る。「ごふ…ごお、おお」『全く、掃除が、大変、じゃないかよっ！血ィ流さない努力でもしたらどうだ！あん！？…あ、忘れるとこだった』急に冷静になるとその半死体を蹴り上げて仰向けに起こした。 62

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そして彼等執行者に与えられていたネックレスを引き千切った。彼にとっては5度目の動作だ。既に4回、殺す前に密かに奪っていた。そして『痛覚増加…二百倍(ツーハンドレッドタイムズ)！』術が発動。「――――――ッ！！！ゥア！！！！！――――――――――――――――――」 63

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残るはワイドリバー一人。時刻は18：52。ホワイトは床が血とガラスと死体に塗れる中へ、雑な動きで最後の生贄を投げ込んだ。「……」無反応。『ぅぅ起きろー！！』悠の木めいた音声！そして激痛！「づああああ！！？」『時間かけ過ぎたな…お前は最後に殺すと約束したな…アレはマジだ』 64

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『…のま・え・に！お前の知っている限りのＵＡＲの情報を聞かせてもらおう。一応、目的と、構成員と特徴、得意分野、固有術式…ああ、あと交友関係とか家族構成とか』「誰が、話すものか…！」ワイドリバーは断固として決意していた。そして、彼の魔術麻痺は…ほぼ解けかけていた。 65

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歩み寄るホワイトに対し今一度特攻しようと機を伺う。距離が迫る。あと3歩、2歩、1歩…「うおおおっ！」残る全力で跳躍しホワイトに掴みかかる！だが確かに掴んだはずのホワイトに手応えは無く、そのまま床に激突！『残念だったな…トリックだよ』背後から声と存在感！今のは幻影！ 66

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ここまで一度も使っていなかった（と彼等は思っていた）ため油断していたが、存在感のある高精度幻影も、銀刃や合成音声と並ぶホワイトの特徴の一つだった。左肩のナイフ『プラスケット』を再起動！ワイドリバーの背を両膝で抑えつけながら、振りかぶる。 67

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この刃は通常使用で魔術を1時間以上は封印できる。まともに直撃した上で、短時間で自然に解けるとしたら、余程の上級魔術師相手か強力な解呪持ちの相手の場合に限られる。ワイドリバーはそのどちらでもない。本来なら数時間は解除されない筈なのだ。……意図的に出力を加減でもしない限り。 68

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ワイドリバーはそんなことは知らない。だがここに来て急に幻影を使われたことで、彼の意図に気付いた！『いかがでしたかなぁ？希望が絶望に、ええと…相転移するアレ…は？悲しいでしょう苦しいでしょう？…えー…あー…なんだっけ…まいいや、この人間モドキがっ…！』 69

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ナイフからＢＧＭ！テーンテーンテテテテーンテーンテテテ♪『お、レアＢＧＭ…もっとＢＧＭの種類増やすかね…？』40万円を横取りされたり20万円を差し上げることになりそうなＢＧＭ！ワイドリバーの希望が横取りされ、反攻の意志が差し上げられていく！テーンテーンテテテ、テ、テン！ 70

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リバーの魔術回路は再び、かつ先程の十倍の出力で封印された。『さ、話せよ。はよ。ペインアクセル！』脳に直接流し込まれる激痛！「ぐがああああああっ！！！？？！」『今使ってるのは三倍だ！三百倍じゃないんだぜ？』「ひ、ああ、ぐがあああああああああああああ！！！！」 71

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『さ、話せ』「がああああことわ、ああああああああ！」『手間かけんな』「ああああああああ！」『ところで、博士のお子さん、もとい、今年60になるお前の母親はお元気ですか？』「！？」術式が唐突に止まる。『62歳の父親は農家やってるんだって？偉いよね～誰かさんと違って』 72

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「どういうことだ！ホワんぐ！？」超強粘性テープでホワイトがリバーの口を塞ぎ、体を縛る。そして瓦礫を慎重な手つきで『起こす』と…その中には無傷の柱！潰れたという認識は誤りであった。瓦礫と思われたものは5ｍ辺の正方形状の箱で、高さは2ｍ程。箱の周りに瓦礫が付いている物だ。 73

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これが天井の上に仕掛けてあり、下部は天井に偽装されてはいたが、その実は発泡スチロール！柱は従って無傷！これを見たワイドリバーは幾度目かの絶望を思い知った。この儀式の場は本部で選定され、数日前に一度下見に来ていた。その後は今日再訪するまで放置されていた。 74