発達障害大学生支援における「高機能発達不均等(HFDI)」という概念について(@斎藤清二先生)

斎藤清二 @SaitoSeiji 先生の連続ツイートをまとめました。
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斎藤清二 @SaitoSeiji

「発達障害」を「発達不均等」と呼びかえることにより期待されるメリットの3番目です。それは「『異質な人たち』から『連続したスペクトラム』へ」と表現できます。

2013-02-13 21:09:20
斎藤清二 @SaitoSeiji

①発達障害のモデルは、生得時にすでにもっていた障害が、年齢を経るにつれて次々と新たな障害を生み出していくというモデルであり、それが人生早期に「見逃される」ならば、二次的な障害という形で、次々と悪いことを産み出していくというモデルでもある。

2013-02-13 21:10:23
斎藤清二 @SaitoSeiji

②このモデルは、発達障害とは一般的な集団とは明らかに区別できる特性を持った人であるという考え方が前提となっている。しかし現実には、中核的な発達障害の大学生がもっている特性のかなりの部分は、いわゆる一般の人も程度の差こそあれ持っている。

2013-02-13 21:11:15
斎藤清二 @SaitoSeiji

③実際に相談室や支援の窓口を訪れる学生は、最初から彼らの特性を全て示すわけでもなければ、自分の特性を自覚しているわけでもない。彼らの特性は、支援などによる関わりを通じて次第に明らかになっていくものである。

2013-02-13 21:12:19
斎藤清二 @SaitoSeiji

④今までの障害モデルでは、最終的に医学的診断がなされない限り、彼らはそもそも発達障害とはカテゴライズされず、彼らに対する支援の実際が公表されることはほとんどなかった。しかし大学のみならず、現代社会において、いわゆる「社会的コミュニケーションの困難」は大きな問題である。

2013-02-13 21:15:46
斎藤清二 @SaitoSeiji

⑤このような問題に対する支援の方法論が確立されれば、それは中核的な発達障害の学生のみならず、キャンパスの構成員全てにとって恩恵をもたらす可能性がある。

2013-02-13 21:17:23
斎藤清二 @SaitoSeiji

⑥「高機能発達不均等」という概念は、ある意味では大学で学ぶ大部分のもの(あるいは教える立場あるもの)にとって程度の差はあっても当てはまるものであるから、この問題に対する関心の領域を拡げるために有用である可能性がある。

2013-02-13 21:20:57
斎藤清二 @SaitoSeiji

⑦発達不均等とは、その人が発達させている能力のうち、あるものは非常に高いが、あるものは比較的低い状態にとどまっているので、全体として能力の凸凹があり、そのために(特に社会的なパフォーマンスにおいて)苦労しているという考え方である。

2013-02-13 21:22:03
斎藤清二 @SaitoSeiji

⑧そういう風に考えると、発達不均等はある意味では程度の差によって、誰にでもあるものだから、発達障害とみなされる人とそうみなされない人というのは、実は連続したスペクトラム上にあり、決してあるところで明確に線引きできるものではないということになる。

2013-02-13 21:23:38
斎藤清二 @SaitoSeiji

⑨私達は、HFDIの学生が生活しやすいように大学を変える試みは、以下の2つの理由によって、全ての大学構成員にとっても良い効果をもたらすと考えている。

2013-02-13 21:24:15
斎藤清二 @SaitoSeiji

⑩(1)そのような大学は、必然的に多様性を尊重する大学とならざるを得ない。 HFDIの学生は、他の人から見ればユニークな認知のしかたをしている。またHFDIの学生同士においても、認知のパターンはおそらくそれぞれ異なっている。

2013-02-13 21:25:45
斎藤清二 @SaitoSeiji

⑪(承前)一般にこのことは、「変わっている」とか「常識がない」というような評価をされがちであるが、それは偏ったみかたである。

2013-02-13 21:26:45
斎藤清二 @SaitoSeiji

⑫一人一人の人間が、それぞれ違った世界を認識しており、多様なものの見方が存在することを認めあうことによって、各自がそれぞれのユニークさを、より生かすことが可能になる。このような大学環境は、特定の学生だけではなく、全ての大学構成員にとって、より生きやすい創造的な場となると思われる。

2013-02-13 21:28:05
斎藤清二 @SaitoSeiji

⑬(2)そのような大学は「暗黙のルール」に過剰に頼ることなく、明示すべきことをきちんと明示したうえで、質の高い交流が可能になる「場」を提供する。

2013-02-13 21:28:50
斎藤清二 @SaitoSeiji

⑭多くのHFDIの学生がもっとも苦手とすることは「暗黙のルールを読み取ること」である。テクストとして明示されることのない「暗黙のルール」がその場を支配しており、少しでも外れると、徹底的に非難されたり、その場から排除されてしまったりする世界は、HFDIにとっては恐怖の世界である。

2013-02-13 21:32:44
斎藤清二 @SaitoSeiji

⑮しかし、このような世界は、その他の人にとっても生きにくい世界ではないだろうか。日本の文化は、「言葉に表現されていないことを察して行動すること」を良しとする文化であり、このことにはもちろんメリットもある。しかし(続)

2013-02-13 21:34:00
斎藤清二 @SaitoSeiji

⑯(承前)・・テクストやルールによって明示化できることはきちんと明示化した上で、その中でよりよい交流を目指していくような文化は、HFDIの人のみならず、多くの人によっても生きやすい文化なのではないだろうか。

2013-02-13 21:35:11
斎藤清二 @SaitoSeiji

⑰そのような質の高い交流を大学内に生み出すことが可能になる「場」を提供することは、大学の大きな責務であると考える。 ・・・・以上で連続ツイートを終わります。フォローしてくださったみなさま、ありがとうございました。

2013-02-13 21:36:21
切り取り線 @kiri_tori

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2013-02-13 10:00:00
*サイパブ @psypub

『発達障害大学生支援への挑戦―ナラティブ・アプローチとナレッジ・マネジメント』 http://t.co/1W08OO22

2013-02-13 10:31:17
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