【コラム】橋下市長の「慰安婦は必要」発言問題から現代の「売春」を考える～「強制売春」はなぜ国際犯罪なのか～ #主戦場

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尚、当然ながら国際刑事裁判所ローマ規程には、時間的管轄という刑法の不遡及原則に基づく制約が存在する。ローマ規程は2002年7月に発効したため、それ以前の犯罪行為については、国際刑事裁判所は管轄権を持たない。よって二次大戦やそれ以降の戦争に遡って訴追することは不可である。

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一部、「人道に対する罪」については「時効は存在しない」、よって」戦時中の犯罪であってもローマ規程が定める「人道に対する犯罪」であれば裁ける」といった主張が見られるが、これは各国の国内法の範囲でのことであって国際刑事裁判所ローマ規程においては適用できない。

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この件について、昨日詳述したのだが以下再掲する。

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国際刑事裁判所ローマ規程には第29条に消減時効の不適用という規定が存在する。http://t.co/7hzV1d2JkT だが、この規定はあくまで2002年7月の条約発効”以降”の管轄犯罪について適用される規定であり、それ以前の犯罪行為に無制限に適用されるものではない。

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この消減時効不適用の規定や時間的管轄権による不遡及の原則については、昨日Wikipediaの「人道に対する罪」の項目で十分な説明がなされていなかったのを補足したので参照いただきたい。http://t.co/4uG3NjMwhd

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これは安倍総理の「侵略の定義」発言とも同類の問題なのだが、国際刑事裁判所ローマ規程において規定された国際法上の重大な犯罪としての「性犯罪」は、あくまで現代の定義であり、これを過去に遡って適用することは①国際法上出来ないし、②無意味である。問題はあくまで現代における認識にある。

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したがって、過去の事例において、過去国際刑事司法の黎明期にあって定義や罰則が確立されていない時代に遡って、現代の定義を適用するのは荒唐無稽であるし、「裁ける」と主張することも「裁けない」と主張することもある意味不毛である。あまりにも意味のない論争だからだ。

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過去、女性の権利は現在ほど守られていなかったし、また社会進出や参政の権利すら整備されていなかった。そのような時代の価値観における女性の待遇と、現代における女性観を同一視することには無理がある。だが一方で、法的議論から離れたところにも現代の確立された倫理道徳や価値観がある。

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20世紀の戦争を経て、我々人類は男女同権化の向上と男女共同参画の推進を行ってきた。その中で倫理道徳や社会的価値観は大きく変容し、その上で「売春法」や「風営法」のような法体系が成り立っている。私たちが本来論じるべきは、これらの法体系が現代の価値観に合っているか、ではないだろうか。

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「強制売春」は国際刑事司法でも厳格に禁じ罰せられている一方で「売春」は国際社会では合法化が進められる一方で、日本では、その「行為」は罰せられないがその「斡旋」や「推進」は罰せられ、結局「行為」に及んだ者が健全な生活を継続できないという不条理な閉鎖的社会となっている。

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私は橋下氏の問題発言は、意図せずに日本において「売春」の合法性や非合法性、倫理性や非倫理性を議論する機会を作り出したと考える。ただそのためには事実関係の整理が必要であり、自らも勉強する中で同時進行でその整理作業を行ってみたのが、これまでの一連の作業である。

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これら一連の作業が、「売春」に関する国民的議論を起こす一助となることを願う。 ご精読ありがとうございました。