モーサイダー!~Motorcycle Diary~Episode of Summer VII~

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IngaDo type-RR @mor_cy_dar

 早間は自分が口にした言葉で、何かに気づいたかのように、小さく手を打った。 #mor_cy_dar

2013-08-31 13:41:26
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

「XRの彼女。あんた名前は?」 「日原院亞璃須(にっぱらいん ありす)です。まあ、将来的に名字は三鳥栖になるかもしれませんが」 #mor_cy_dar

2013-08-31 13:41:44
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

「果てしなくどうでもいいな……じゃあ、日原院さん。  俺が三鳥栖(みとす)に勝ったら、知り合いの女の子、誰か紹介してくれ。  高校生でもいいぜ。そうだな、スタイルのいい子が希望だ。それが勝負を受ける条件ってことで、どうだよ」 #mor_cy_dar

2013-08-31 13:42:02
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

「ああ……なるほど……ふむ。ま、そういうことでしたら」 「……おい、ちょっと待て」  亞璃須が志智を見つめる表情は、まるで特定の誰かを想定しつつ、その保護者に許可を求めるかのような色だった。 #mor_cy_dar

2013-08-31 13:42:51
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

「いいでしょう。  わたくしに! 志智の彼女であるわたくしに、どーんとお任せくださいな!!」 「ちょっと待てと言ってるだろ! 俺は絶対に許さないからな!」 「……いまいち、何をもめているのか分からないが、とりあえず頼んだぜ」 #mor_cy_dar

2013-08-31 13:42:57
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

「それじゃあ、日曜の夕方に川野で」 「ああ分かった」 「いや、ちょ……あのですね、早間さん。俺は━━」 「それじゃあなー」 #mor_cy_dar

2013-08-31 13:43:06
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

 心なしか浮ついた声で、早間はDR-Z400SMのエンジンを始動させると、さっさと走り出していってしまう。  残されたのは、企みの顔でほくそ笑む亞璃須と、呆然と立ち尽くす志智だけだった。 #mor_cy_dar

2013-08-31 13:43:14
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

~~~~~~Motorcycle Diary~~~~~~ #mor_cy_dar

2013-08-31 13:43:26
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

 翌週の平日。大多磨周遊道路、川野駐車場。 「えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!?  ね、姉さんっ……ほ、ほんとにそんなこと約束したの?」 「もちろんですわ。このわたくしが嘘をついたことなど、生まれてこの方ありませんもの」 #mor_cy_dar

2013-08-31 13:43:44
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

「昔はよく僕のこと騙して遊んでたよね……じゃなくて!  お、お義兄さんもそれでいいんですか!? だって、姉さんが紹介しようとしてるのって、千歳ちゃ━━」 「……ああ、そうだな。それが何か?」 #mor_cy_dar

2013-08-31 13:43:51
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

「いだだだだだだだだっ!!」  橋を一つわたった先にあるドライブイン前の自販機で買ったコーヒーを口にしながら、三鳥栖志智は日原院ティックの顔面に鉄の爪を浴びせている。 #mor_cy_dar

2013-08-31 13:44:02
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

 盆も明けた時期とはいえ、まだまだ夏の匂いが大多磨にはあふれていた。  夕暮れ時に気温がさがるのが、すこしだけ早くなったように思えるとはいえ、首都東京は連日の熱帯夜を記録しつづけている。#mor_cy_dar

2013-08-31 13:45:22
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

「要は、勝てばいいのですわ」  すっかりその水面を下げた小河内湖をみつめながら、ゴスロリ姿の亞璃須は悠然とアイスティーのグラスを手にしていた。 #mor_cy_dar

2013-08-31 13:58:53
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

「そもそも志智が勝てばこの話はなし。  それに、わたくしは女の子を紹介するとは約束しましたけど、どこの誰とも言っていませんし」 「で、でもスタイルがいい子……なんですよね!?」 #mor_cy_dar

2013-08-31 13:59:13
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

「何で俺を見るんだよ。  そりゃあまあ……確かに千歳のやつは、いろいろよく育っちゃいるが……」 #mor_cy_dar

2013-08-31 13:59:40
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

「ですよね! そうですよね、お兄さん!  千歳ちゃん、体育の授業とかだともうすごいんですよ! あと水泳も大変なことになっちゃって!  僕、後ろの席なんですけど、暑い日とかだと白いブラウスに透けた線が……ああ、もううわーい!!」 #mor_cy_dar

2013-08-31 13:59:45
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

「おい、亞璃須。こいつから殺していいか?」 「さすがに殺されるのは困りますけれども……まあ、若さというものですわ。  むしろ志智がおとなしすぎるくらいなんです。わたくしはいつだって一夏の過ちを待っていますのに」 #mor_cy_dar

2013-08-31 13:59:56
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

「姉弟そろって好き勝手言ってくれるよ……」  DR-Z400SMとの対決を前に、志智が何か特別な訓練をしているかと言えば、そんなことはなかった。 #mor_cy_dar

2013-08-31 14:00:27
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

 亞璃須にきいても、2stを相手にするよりは気楽だの一言であり、もっぱら事情を聞いたティックだけが慌てている。 #mor_cy_dar

2013-08-31 14:00:44
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

「で、でも万が一にもお兄さんが負けたら……ぼ、僕だって他人事じゃないですよ……」 「だから負けなければいいって言ってるだろ」 #mor_cy_dar

2013-08-31 14:01:08
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

「そんなことを言ったって、勝負は何が起こるかわかりませんよ!  パンクとか! ガス欠とか! あ、そうだ! そのDR-Zが走るときに、釘まいておいてもいいですか!?」 「卑怯すぎるだろ……それに俺も釘を踏んだらどうするんだよ」 #mor_cy_dar

2013-08-31 14:01:21
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

「ダイジョウブです、お兄さん。  スパーダがチューブレスタイヤですから、釘を踏んでもしばらくはハシれます。でも、DR-Zはチューブですからパンク=走行不能です」 「れ、冷静に考えてるところがむしろ怖いな……」 #mor_cy_dar

2013-08-31 14:01:50
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

「天使である千歳ちゃんの純潔をマモるためなら、殺人未遂までは許されるとオモうんです」 「そ、そうか……?」  どこか光の失せた瞳で言い切るティックに、志智は薄ら寒いものを感じながら、話題を変えるように亞璃須の傍らへ控える吉脇を見た。 #mor_cy_dar

2013-08-31 14:02:12
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

「吉脇さん、DR-Zってどんなマシンなの?」 「なあに、2stに比べれば遅いマシンです」 「亞璃須と同じこと言うな……」 #mor_cy_dar

2013-08-31 14:02:20
IngaDo type-RR @mor_cy_dar

「レーサー直系のマシンであることは事実ですな。  とは言っても、結局は公道前提の国内仕様です。周遊に限っていえば、スパーダと戦闘力の差はほとんどないでしょう」 #mor_cy_dar

2013-08-31 14:02:57
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