SecretLover3【R-18】

secretloverシリーズその3(・ε・) 【1】⇒http://togetter.com/li/605940 【2】⇒http://togetter.com/li/605940 ※なお、【1】・【2】については改訂版がHPに置いてあります。※
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橘 志摩( ˙▿˙ )<ホンモノだよ! @gara_panda

51)「…過程?」 「そう。普通の会社員の女の子が服に出せる金額なんてたかが知れてる。ブランド物だけ買うなんてそれこそ金持ちにしかできない事だろ?」 「確かに…」 「それなら似たようなデザインで、安い店で買ったほうがよっぽど量もバリエーションも増やせるからさ。覚えておくといいよ」

2013-12-29 00:22:41
橘 志摩( ˙▿˙ )<ホンモノだよ! @gara_panda

52)「はい!」 未だ頭に乗って、私のそれをなで続けている彼の掌に気を取られつつ、その言葉を頭に刻む。 「あぁでも、靴だけはいいの買ってもいいと思う」 「靴だけ?なんでですか?」 「いい靴履いてると出世するっていうから」 「…出世…」 「そう。身だしなみは足元からっていうじゃん」

2013-12-29 00:34:41
橘 志摩( ˙▿˙ )<ホンモノだよ! @gara_panda

53)そういうものなのか。 初めて聞いたその言葉も頭の中のメモに書き込んで、彼の選んでくれた洋服の会計を済ませた。 受け取った戦利品の量はそれなりにあって、自分で持とうとしたら、彼が当たり前のようにそれを横から奪い取っていく。 自分で持ちます、そう言ってもその人は譲らなかった。

2013-12-29 00:40:35
橘 志摩( ˙▿˙ )<ホンモノだよ! @gara_panda

54)「颯人さん…っ」 「ダメ。これは俺の役目。…俺、今桃ちゃんの彼氏だって、忘れた?」 「…そ、それは、そうですけど…っ」 「彼氏には、甘えるもんだよ。その方がずっと可愛い」 苦笑してそう言う彼に、咄嗟に狡いと思ってしまった。 そんな事言われたら、これ以上食い下がれない。

2013-12-29 00:44:51
橘 志摩( ˙▿˙ )<ホンモノだよ! @gara_panda

55)頬を赤くしたまま、片手で荷物をもって、空いた方の手で私の手を握った彼の一歩後ろを歩く。 洋服を買った後は少し遅いお昼を済ませて、時計を見るともう3時間も過ぎていた。 残された時間は後5時間。 これからどうするんだろう、そうぼんやり考えていると、繋いでいた彼の手に力が篭った。

2013-12-29 00:49:34
橘 志摩( ˙▿˙ )<ホンモノだよ! @gara_panda

56)「…そろそろ、ホテル行こう」 「…っ」 その言葉に一気に鼓動が早くなった。 そうだ、確かに、そういうサービス込で申し込んで、彼から説明を受けた時、私は受け入れた。 だから、彼の言葉も、少し考えれば分かる事で、分かることなのに、私は情けない事に、ここまできてうろたえていた。

2013-12-29 00:52:02
橘 志摩( ˙▿˙ )<ホンモノだよ! @gara_panda

57)「…無理?怖いなら、いいよ。このまま外でも」 「…で、でも…」 「言ったでしょ、できる限り希望に応えるって。料金は返せないけど選択肢は桃ちゃんにあるの」 「…颯人さん」 先程から、ずっと笑顔を向けてくれている彼は、私に対する人見知りを解いてくれたと思っていいんだろうか。

2013-12-29 00:53:54
橘 志摩( ˙▿˙ )<ホンモノだよ! @gara_panda

58)それに気がついて、胸が切なく痛む。 だめだ、ここで怖気づいたりしたら、私きっとこの先一生後悔する。 大体、何のために今日ここに来たのかさえわからなくなる。 何より、心がこの人にもう少しだけ近づきたいと望んでいた。 「…い、行きます」 「…いいの?無理しないでいいよ」

2013-12-29 00:55:44
橘 志摩( ˙▿˙ )<ホンモノだよ! @gara_panda

59)「む、無理じゃないです。大丈夫。行きます」 「…わかった」 再び手を強く握られて、彼が歩き出した。 予め取っておいたホテルの名前は受付で伝えてある。きっと彼も知ってるんだろう。 あんまり深入りしちゃダメだ、これ以上望んではダメだ、そう心に言い聞かせながら、彼と一緒に歩いた。

2013-12-29 00:57:33
橘 志摩( ˙▿˙ )<ホンモノだよ! @gara_panda

60)チェックインを済ませてから彼と二人で取った部屋に向かう。 その部屋に入って、緊張がマックスになった。 心臓の音が耳の裏側にまで響く。 おまけに息まで苦しくて、コートを脱ぐ彼の姿を見つめたまま、どうしたらいいのかわからない。 入口近くで突っ立ったままの私を見て、彼が苦笑した。

2013-12-29 01:05:05
橘 志摩( ˙▿˙ )<ホンモノだよ! @gara_panda

61)「いいよ、緊張しなくて。いいって言うまで俺、触んないから」 「あ…う…っ!」 「…先、シャワー浴びておいでよ。そんで、さっき買った服来て出てきて。一番可愛いって言ったあれ。もっかいみたい」 そっと手を取られてそのまま浴室に促された。 彼の選んだ服を渡されてドアが閉まる。

2013-12-29 01:07:47
橘 志摩( ˙▿˙ )<ホンモノだよ! @gara_panda

62)まだ緊張はしたままだが、このままでいる訳にもいかない。小さく、何度か深呼吸を繰り返して、渡された服をおいてからシャワーを浴びた。 水分をよく拭き取ってから着替えて恐る恐る浴室から出ると、彼が嬉しそうに笑って私を出迎えてくれる。 その笑顔に息が詰まって、必死で何かを堪えた。

2013-12-29 01:11:17
橘 志摩( ˙▿˙ )<ホンモノだよ! @gara_panda

63)「こっちおいで」 ソファに座ったままの彼に手招きされて、近づくと彼の隣に座るよう促された。 再び高なり始めた緊張に心臓が破裂してしまいそうな気がする。 情けない事に指が震えていて、それを抑えるようにぎゅっと拳を握り締めた。 「…桃ちゃんさ、…初めて?」 「…いっいえ…!」

2013-12-29 01:13:47
橘 志摩( ˙▿˙ )<ホンモノだよ! @gara_panda

64)初体験はもう済ませてる。だからこんな事なんでもない。なんでもないのにどうしても緊張が解けない。 覚悟も決めてきたのに、もっと知りたいと望んだのは私なのに怯む心が情けなくて涙が浮かんできた。 ダメだ、泣くなこんな時にそう唇を噛み締めていると、握り締めていた手をそっと握られた。

2013-12-29 01:16:26
橘 志摩( ˙▿˙ )<ホンモノだよ! @gara_panda

65)固く握り締めていたそれを解くように撫でられて、ゆっくり視線を上げると、彼がすごく優しい顔で笑っていた。 「…俺さ、これでも職人なんだ」 「…え…」 「まぁ職人っていうのも変だけど。会社で色んなプログラムとかシステムとか作ってる」 「…そ、そうなんですか…」

2013-12-29 01:18:17
橘 志摩( ˙▿˙ )<ホンモノだよ! @gara_panda

66)「基本的にはオフィスから出ないけど。でも小さいとこだから、あ、いや小さいなんて言ったら辻井さんに怒られるんだけど。それでもたまに、外に出されるの。クライアントの要望をすぐに理解できるようにとかなんとか言ってさ」 「…へえ…」 突然始まったその言葉に私は頷く事しかできない。

2013-12-29 01:20:43
橘 志摩( ˙▿˙ )<ホンモノだよ! @gara_panda

67)戸惑う私に構わず彼は続けて、その間ずっと、私の手を握ったままだった。 「…ほら、俺、人見知りだって言ったじゃん。だから、やっぱり緊張するんだ、男の俺でも、さ」 「…あ…」 「だから、…いや、それとこれとは全く違うけどさ、別に、桃ちゃんが今怖いって言っても別に、いいんだよ」

2013-12-29 01:22:45
橘 志摩( ˙▿˙ )<ホンモノだよ! @gara_panda

68)「…っ…」 「…無理強いもしないし、だから、…その、泣かないで。泣かれたら俺、どうしていいかわかんなくなる。抱きしめて上げたいけど、怖いって思ってる子にそんな事できないし」 彼の言葉に涙が目尻を越えて流れそうになって、必死で堪えた。 だけどこれは情けないと思う涙じゃない。

2013-12-29 01:24:49
橘 志摩( ˙▿˙ )<ホンモノだよ! @gara_panda

69)不器用な言葉で私をフォローしてくれているその人の気遣いが心のそこから嬉しくてたまらなかった。 「…桃ちゃん?」 「…大丈夫です、…ありがとう、颯人さん」 彼の腕に抱きついて、その肩に顔をうずめると、その大きな掌が優しく頭を撫でてくれる。 うん、大丈夫、この人なら平気。

2013-12-29 01:26:50
橘 志摩( ˙▿˙ )<ホンモノだよ! @gara_panda

70)先程までの緊張が、恐怖が、嘘のように消えていた。 ゆっくり顔をあげて、彼の表情を見つめて、頬を撫でた掌の感触にそっと瞼を閉じる。 ささやくような声で、「キスしてもいい?」と問われて、私は素直に頷いた。 「…ん…」 「…桃…」 初めて、呼び捨てにされた彼の声に、身体が震えた。

2013-12-29 01:29:19
橘 志摩( ˙▿˙ )<ホンモノだよ! @gara_panda

71)ちゅっと、音を立てて、彼の唇が私の唇を吸う。 かと思えば優しく撫でるように触れて、ただ触れ合っている、それだけなのに、頭が痺れた。 息が苦しくなって、酸素を求める為にうっすら開いた唇の隙間から舌が滑り込んでくる。 擦り合わせて、絡めて、歯列をなぞるその動きに漏れた息が甘い。

2013-12-29 11:54:34
橘 志摩( ˙▿˙ )<ホンモノだよ! @gara_panda

72)クチュクチュと舌の絡みあう音が聞こえて恥ずかしいのにキスを止めて欲しくない。 求めるように彼の服をぎゅっと握ると両頬を優しく掴まれてもっと深くなった。 「…っ…ぁ、は…っん、ん…っ」 「…桃…」 「んっ…!」 離れた唇の間を透明な糸が伝う。 彼の柔らかな毛先が頬に触れた。

2013-12-29 11:57:54
橘 志摩( ˙▿˙ )<ホンモノだよ! @gara_panda

73)少しでも動いたら、触れてしまいそうな唇がそこにある。 至近距離で視線を重ね合わせて、心臓が痛いほど強く鳴り響いていた。 「……触ってもいい?」 ちゅと、私にキスを落としながら彼が囁いて、私もそっと頷いた。 「ん、ん…っ」 再び始まった激しいキスに、私はただ翻弄されるだけ。

2013-12-29 12:00:45
橘 志摩( ˙▿˙ )<ホンモノだよ! @gara_panda

74)彼の掌が、少し短めなピンクチェックのプリーツスカートから伸びる太ももを撫でて、身体が小さく反応を返す。 何度かそこを撫でて、脇腹を通って肩に触れる。 その柔らかくて優しい感触に身震いした。 首筋まで登ってきた手が指で肌をなぞって、首元のボタンに触れる。

2013-12-29 12:03:38
橘 志摩( ˙▿˙ )<ホンモノだよ! @gara_panda

75)アンサンブルになっているトップスの4つだけ付いたボタンをひとつひとつゆっくりと外されて、再び身体を撫でながら下へと降りた掌が服の裾から滑り込んできた。 「…ん…っ」 音を立てながら顔中にキスをする彼の手が止まることはない。 肌を撫でていく彼の指先がその膨らみに触れた。

2013-12-29 12:06:04