中国の都会ッ子と田舎ッ子を１週間入れ替えるドキュメント番組「変形計」まとめ第２回

井上純一（希有馬屋）『逆資本論』発売中 @KEUMAYA

さて、変形計─エクスチェンジ─の連続tweetしようかと思うんですが、実は昨日見たものは以前連続tweetしたものより落ちます。前の回は我々言う所の『神回』であったようです。 ものがドキュメンタリーである以上、毎回絶対「超絶面白くなる」なんて、不可能なのです。しかし！

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今回はそれを見越したスタッフの『仕掛け』が垣間見え、そしてそれを越えるリアリティが垣間見えたりして面白い回ではありました。 このあと、tweetかなり連続します。申し訳なし。

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変形計─エクスチェンジ─とは、一週間都会の子供と、田舎の子供を交換するというドキュメンタリーです。中国はとにかく田舎と都会の格差がすごいので、そんな簡単な番組が信じられないくらい「面白く」なってしまうのです。

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今回入れ替わる都会の子供（たいがい問題児）ですが、のっけからBMWに乗って現れます。 「俺は二台車を持ってるぜ！！」 え！？　お前16歳じゃん！？　免許無いじゃん！！？　無免！？

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いや、運転手は別にいるみたいなので、その場で逮捕！　ってな展開ではないんですが…… この16歳。学校はだるいから中退。朝５時までネトゲ→昼に起き→バーに通って酒は飲みまくり、夜遊びしまくり。という、バーに行く以外は、漫画家が親近感のある生活をしております。江西省南昌の子です。

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父と母は離婚。母は女手一つでホテルを経営しています。住居はホテルと一緒なので、コイツは仕事場に出向いては、従業員の仕事をじゃましたり、会議中に母親に小遣いねだったりします。ものすごい営業妨害です。 「誰のために働いてると思ってるの！？」 「俺のためだろ？　だから俺に金をくれよ」

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「なー、新しいiPadが欲しいんだよ！　金をくれよ！　金！！」 「そんなお金無いわよ！」 「あー、じゃあ、俺、肝臓売る。肝臓売ってiPad買いますーーー」 で、うるさいのでお金を渡してしまう母親。お金をもらうと喜んで外にすっ飛んでいく子供。

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「１００元（１７００円）だと近所のコンビニ行くぐらい。１０００元（１７０００円）なら、友達と遊ぶギリギリのお金。理想は３０００元（５万円）ぐらいは持っていたいね」 えー。俺よりお金持ってるヨー(;´Д`)

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ここでスタッフのナレーション「彼は１６歳だし、もう大人と言っていい。１週間の交換では何も変わらないのではないか？　とスタッフから意見が出た」まあねー(;´Д`)

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ただ、このバカ息子さんですが、実は音楽に興味があるのです。音楽、というかロックに関しては真摯で、ギターとピアノが弾け、そちらの友達も多い模様。そこの「まっとうさ」に賭け、変形計続行ということになりました。

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さて、交換される田舎の子供の方ですが、そこは陝西省八仙……スミマセン。聞いたことないです。まぁ山間の、小さな村ですが、前回tweetした村ほど酷くはありません。近くに小さな街があるようだし……。 その村に住む、お婆さんと二人暮らしの少年です。年齢はたぶん１０歳ぐらい。

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なんでたぶんかというと、年齢のところを見飛ばしたから(;´Д`)ｺﾞﾒﾝ 彼は父をバイク事故で失いました。母親はその後再婚。少年を引き取ろうとしますが、少年は「お婆さん（父方）が心配なので家に残る」と。 なのでお婆さんと二人で暮らしています。

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彼は父の死んだ日以来、友達関係もうまくいっていません。それは「自分の存在が母の再婚の重荷になったのではないか？」と思っているからです。自分の存在に自信が持てないのです。 彼の日課は父の事故で残ったバイクを磨くことです。貧しい、小さい家の中で、そのバイクはピカピカに輝いています。

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普通なら、この子とバカ息子様を交換して、そこで終わりなのですが、今回は変則です。もう一人、同じ村の女の子も一緒に交換することになりました。女の子の名前は紅林。彼女の父親は半身不随で、上半身しか動きません。父親はベッドで寝たきりですが、刺繍が出来ます。その収入で暮らしています。

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その父とお婆さんと三人で暮らしていますが、父に身の回りのことは全て９歳の紅林がやっています。炊事、洗濯、父の体を拭くこと、ほぼ全てを紅林がやっています。 紅林の母親はどこにいったのでしょう？ ここからは複雑なのですが、実はこの半身不随の父は、紅林の本当の父親ではありません。

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父親は、紅林の母と恋人ではありました。ですが、炭坑の爆発事故で父は半身不随になってしまいます。母は実はその父の弟と結婚し、紅林を産んだのです。 そして、紅林の本当の父もまた炭坑の事故で死亡。お母さんは別の村の人と再婚していまします。 紅林を置いて。

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その後、再婚相手との間に二人の子が生まれました。 紅林の母は紅林に一度も会いに来たことがありません。村の近くに来たという話は時々聞くのですが、けして実家には近寄らないそうです。 「お母さんは私を捨てた。私はお母さんを恨んでる。お母さんなんか大嫌い」

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もう分かった方がいるとは思いますが、今回の変形計の主役は、この紅林なのです。

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ちなみに、紅林の通ってる学校。生徒親のほとんどが農業ではやっていけず、出稼ぎに行っています。そして男親のほとんどが炭坑で働いています。「炭坑で親が事故に遭った人」と先生が言うと、かなりの人数が手を上げて、大丈夫か中国！？　という気にはなりました。

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で、交換の日です！　八仙の少年と紅林は初めての飛行機で大都会南昌に向かいます。 そこでなんと、今回は変則中の変則。この変形計で史上はじめて！ 交換されるバカ息子本人が南昌空港で二人を迎えます！　だ、大丈夫なの！？

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ところが、意外（？）にもバカ息子くんはにこやかに母と二人、子供たちを迎え、あっという間に打ち解けます。バカ息子くんは、確かにバカで、お金を使うことしか能が無いかもしれませんが、意外にコミュニケーション能力が高く、子供好きだったのです。意外な展開！？

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ホテルの豪華さに目をむく二人。 そしてまず、バカ息子くんは二人を自分のバーに迎えます。そうです！　なんと彼はホテル内に自分のバーを持ってるのです！　母親から誕生日に送られたんだそうで……そんなことするからこんな子が……。

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「お酒は？」「飲みません」「そっかー、そりゃそうだｗ」的に和ませ、楽器を弾き、みんなでカラオケをして二人の緊張を解いていくバカ息子。なんだ偉いぞお前！　つうか、変形計の醍醐味「行った先での気まずさが、いった先の両親の愛情でだんだん打ち解けていく」の部分潰してるぞ！！

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深夜寝る前に、八仙から来た少年に自慢の「小顔になる術」を施すバカ息子。彼は例の「北の指導者３世」と酷似しており、自分の顔の丸さを悩んでいるのです。 「これをやると風邪を引かないんだぜ」と、あれ？　お前、もう田舎行かなくてよくね？　充分真人間じゃね？

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ここでトラブルが起こります。連れてきた八仙の二人が大げんかを始めるのです。原因は少年がふざけて紅林の襟にケーキを付けたとかなんとか……田舎だったら、そんなこと全く問題にもならないのに、なぜ？　とにかく酷い大げんかで、一緒に寝たくないとか何とか……。