諸説入り乱れる福島第一原発からのCs137放出量

福島第一原発からのCs137放出量を推定した(2013年までに公表された)論文の数々。推定計算は出発点としてどんな実測値を使うか、またどんな仮定を置くかで計算結果が違って来ます。 発端となったENENEWSの記事(2013年9月23日付け) http://bit.ly/1iphBgI Chino M et al. (2011) J Nucl Sci Technol 48, 1129-1134 続きを読む
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発端

酋長仮免厨 @kazooooya

誰の資料なのかと思ったら、小出裕章氏のプレゼン資料を捏造したのですか…orz http://t.co/oXznEPQwEo #オノデキタ @onodekita: 大気核実験 964ペタベクレル フクシマ 15~210ペタベクレル。 http://t.co/T4pxMFqVtO

2014-03-09 16:55:36
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酋長仮免厨 @kazooooya

もう煽るネタが尽きて捏造にまで手を出すようになったのか…哀れ。 奇形イチゴくらいにしておきなさい #オノデキタ 2014年3月9日:https://t.co/lZlQnoJ9ou 2013年9月28日:https://t.co/cBW1ivA2Gl @onodekita

2014-03-09 17:02:03

どうもちょっと妙だと思ったので調べてみることにしました

nao @parasite2006

@kazooooya 福島原発からの放出量が210ペタベクレルというのは、ENENEWSの記事http://t.co/m3J9QVlncS で紹介された論文http://t.co/osP1V02UQl の話。今読んでいますが、ENENEWSが何か勘違いして妙な見出しをつけた可能性

2014-03-09 18:54:26

引用のENENEWSの記事は2013年9月23日付け

記事の中で引用されている論文(全文無料で読めます)

ENENEWSが引用していたのは、上の論文の「結論」の項にある次のような文章です。
"The comparison for 137Cs is less favorable, though not systematically biased based on the 137Cs emission estimate of 36.7 (20.1–53.1) PBq by Stohl et al. (2012). This is equivalent to somewhat less than half the 137Cs source by Chernobyl (85 PBq, International Atomic Energy Agency (IAEA) (2006)). The estimate of 13 PBq by Chino et al. (2011) (revised to 8.8 PBq by Terada et al. (2012) and confirmed as a lower bound of 12 PBq by Winiarek et al. (2012), with an upper bound of 210 PBq, was also included in our comparison."

ここは自分たちが出した結果を他の人の結果と比較検討しているところですので、「上限210 PBq」と書いている太字の部分は断じてこの論文の著者の結果ではありません。それをあたかもこの論文の著者が出した結果であるかのような誤解を誘う見出しをつけて紹介しているENENEWSには、「八王子の土壌からアメリシウム」という誤報を拡散されて対応に手を焼いた時http://bit.ly/quJArT に優るとも劣らぬほど腹が立ちます。

上限210 PBq」は実際には誰が出した結果かを突き止めて下さっているまとめがこちらです。

nao @parasite2006

「福島原発からの放出量が210ペタベクレル」とENENEWS http://t.co/m3J9QVlncS だが実際にその推定値を出したのは記事で紹介の論文(無料)http://t.co/osP1V02UQl ではなく引用文献(有料)http://t.co/diwAb45HEj

2014-03-10 16:27:50
nao @parasite2006

本文を読んでみたら実際にやっているのは日本国内と国外(米国、カナダの太平洋沿岸とフィリピン、太平洋の島々)のCs137とI131の実測値から放出量を逆算で推定すること。結果は最小値が28 PBq(日本国内の実測値だけ使用)、最大値が210 PBq(国外の実測値も使用)。

2014-03-10 16:36:20

(↑これほど結果が違っている表2と表3の推定条件が実際にはどう違うのか、まとめ主にはまだどうもよくわかりません。もう少し時間をかけて考えてみないと↓)

nao @parasite2006

前のツイートの結果は原論文の7ページ目の表2に載っていたもの。著者らはもう一つ別の方式で放出量を推定した結果を同じ論文の9ページ目の表3にまとめているが、そちらほ最小値が12-33 PBq(日本国内の実測値だけ使用)、最大値が10-19 PBq(国外の実測値も使用)

2014-03-10 16:51:30
nao @parasite2006

そして著者のWiniarekらは抄録http://t.co/diwAb45HEj に「Cs137の推定下限値は1.2 x 10^6 Bq =12 PBq、標準偏差は15-20%」と書き、なぜか表2と最大推定値210 PBqにはふれなかったが(続く)

2014-03-10 16:57:40
nao @parasite2006

(続き)これを引用した論文http://t.co/osP1V02UQl の著者Christoudiasらは「結論」の項に「推定下限値12 PBq、上限値210 PBq」と書いた。

2014-03-10 17:05:14
nao @parasite2006

最後にENENEWSは新しい方の(そして無料の)Christoudiasらの論文http://t.co/osP1V02UQl だけを見て、誰が言ったことか確認もとらず、従って単なる引用とも知らずに「最大値210 PBq」だけを見出しに入れて記事を書いた。

2014-03-10 17:08:39
nao @parasite2006

余談ながらChristoudiasらの論文http://t.co/osP1V02UQl (測定点が日本と太平洋地域だけでなく欧州、アフリカ、中南米にも)が実際に推定していた福島第一原発からのCs137放出量は「総量36.7 PBqでそのうち29.3 PBq、約80%が海に落ちた

2014-03-10 17:22:09
nao @parasite2006

「海中に約80%、残りが陸上」という放出されたCs137の運命は、過去の他の論文の推定ともよく対応するそうな。

2014-03-10 17:32:07
nao @parasite2006

この著者らは抄録http://t.co/osP1V02UQl に具体的な結果の数値を全く載せず、しかも自分が出した結果は「結果」の項に書いただけで普通の論文の「考察」に相当する最後の「結論」には全く引用してないので、論文本文を全部ちゃんと読まないと何がどこまでできたのかわからない

2014-03-10 17:35:14
nao @parasite2006

今回の調査をやってみてわかってよかったと思ったことは、福島原発事故による放射性物質の放出量を大気中濃度の実測値と拡散シミュレーションモデルを組み合わせて推定する時、日本国内の実測値だけを使うか、国外の実測値まで使うかで推定結果が変わること。比較するときは方法の項を見て確認が必要

2014-03-10 17:43:02
nao @parasite2006

日本のJAEAのChinoらの論文(無料、2011年の速報)http://t.co/fcGaDG7VBX は日本国内の実測値のみを使用し、Cs137放出量の推定結果は13 PBq。

2014-03-10 18:00:18
nao @parasite2006

一方国際共同研究によるStohlらの論文(これも無料、2012年)http://t.co/wV2SXwZcqx は日本国内の実測値に加えて世界各地のCTBT観測所や欧州の測定ネットワークのデータも使用。Cs137放出量の推定値は36.7 (20.1–53.1) PBq

2014-03-10 18:13:54

つけたし