地獄鎮守府の日常 #32~36

白金桜花 C103土曜東ヨ18b @YamanekoOuka

「なら答えなければ犯した後叢雲と相談して適当な娼館に送ってやる。答えたら殺してやる」 「魅惑的な二択だね、だが、答えるよりはマシだ。早く僕を犯しなよ」 にやりと時雨は挑発的に笑う、結局の所、これ以上の恫喝は無理のようだ。 #地獄鎮守府の日常

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自分の担当区画に連れ込んで、不知火にやった事を彼女にやれば恐らくは聞き出せるだろう。だが、この『上位レイヤーの戦い』は叢雲は私に実態を知られるのを恐れている、な何らかの手を打つ事は想定できる。下手をすれば彼女と喧嘩だ。 #地獄鎮守府の日常

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思考し、どうすべきかを考えた結果、彼女から情報を引き出すのは無理と考える。 ならこれ以上の面倒事は御免だ、私はこの区画の老婆提督に状況を説明し、時雨の処理を任せた。 「たまにあるとはいえめんどくさいねぇこういうのは」 と言った老婆提督は、歴戦の気風を感じた。 #地獄鎮守府の日常

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そうして面倒事を終え叢雲の居る部屋に戻ると、叢雲はベッドの上で裸で体育座りをして、私が来るとジッと睨みつけてきた。 「下の方で銃声があったけど、どうしたのよ？」 「さっきの時雨に襲われた、私が金を持ってたように見えたみたいだったからね」 私は彼女に嘘をつく。 #地獄鎮守府の日常

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「そう、じゃあそう言う事にしてあげるわ、ところで服は？」 そう言って、私が手に持った服を詰めた袋の方に視線を向ける。 「ここに。陽炎型のやつだけどね」 そう言って袋を彼女に差し出す。 「十分よ」 そう言って叢雲は袋から衣類を取り出し、目の前で着替えを始めた。 #地獄鎮守府の日常

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スレンダーだが形のいいヒップに、少しサイズの小さ目の純白のパンティがフィットし、薄い胸板に白のブラジャーが当てられ、そして取り付けられる。 その後スパッツを穿き、ブラウスを着込み、その上からベストを着て、スカートを履き最後に靴下を履いて、立ち上がる。 #地獄鎮守府の日常

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「どうかしら？初風、って子みたいねこれじゃ」 そう苦笑する叢雲、だが髪の色が似てる初風に比べると少し子供らしい、幼さがあり、紅の瞳と不知火の制服にあるブラウスの赤いリボンが妙にマッチした印象を浮かべる。 「そうかな、私は初風には似てないと思うよ」 #地獄鎮守府の日常

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「そう？まぁいいけど。行くわよ、もう近い筈だし」 そう言いながら叢雲は手袋を着ける。 「今日はここで泊まっても良かったんだけどね」 「そうね、今日はここで泊まって明日朝に私たちの区画に戻りましょう」 そうして、私達の旅路は再開された。 #地獄鎮守府の日常

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その後は特に何事もなく通路を抜け、そして外に向かって露出した区画にたどり着く。何件か立ち並ぶ店の一つに、シックな雰囲気の喫茶店が一つ眼についた。 「ここよ、ここ」 そう言って叢雲は手袋越しに私の手を引っ張り、店に入る。 #地獄鎮守府の日常

白金桜花 C103土曜東ヨ18b @YamanekoOuka

ジュークボックスからアコーディオンの音色が聞こえ、ランタンで照らされた喫茶店の中、紅茶を飲み、適当に頼んだホットドッグを食べる。 ホットドッグはくどくなく、すっきりとしながらもウィンナーの肉汁は濃厚でパンに染み、ぱさぱさとした触感はなく美味い。 #地獄鎮守府の日常

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紅茶もまた何かの華の風味がよく、苦過ぎないが、それでいてしっかりと主張を行う、官給品の紅茶とは全く違った味の紅茶だ。 「どう？ここまで来た甲斐があったでしょ？」 叢雲は同じものを食べながら、笑顔で私に語りかける。 「ああ、ちょっと色々あったけどね」 #地獄鎮守府の日常

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そう言いながらも、楽しかった部分もあったため私も笑顔を浮かべる。 そして二人で窓の外の、電気の明りが灯された香港を見下ろす。 「こうしてみると、まるで下に星空があるみたいね」 叢雲が、私に語る。 「そうだね、いい夜景だ」 #地獄鎮守府の日常

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私は紅茶をまた、一口飲む。確かに強盗だの襲撃者だのに遭遇したが、苦労にみあった情景と味の店に出会え。それらの災難もまた、いいデートのエッセンスになったのかもしれないと私は認識するのであった。 #地獄鎮守府の日常