「お盆」の語源再考

「お盆」という言葉の語源を再考した過程について、まとめました。 関連まとめ:「お盆」という言葉の意味について http://togetter.com/li/715205
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MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

(私が「語源フェチ」というだけなんだと自分では思ってますが、それでも何かの起源とかルーツとかを遡ること、もっというと何かの故事来歴とか歴史とかが分かることは、それなりにその対象の理解を深めることは事実だと思う。)

2014-09-05 02:03:19

関連まとめ:「お盆」という言葉の意味について http://togetter.com/li/715205

𒁀𒀊𒅋𒌋Ⅲ 💉💉💉💉 @palomino3rd

@y_mizuno こんばんは。 盂蘭盆会のまとめを拝見、手元のもので少し調べてみました。 →[出典]岩波書店 岩波文庫 喜田川守貞『近世風俗志(守貞謾稿)』四(校訂:宇佐美英機)。p242~243 「守貞謾稿巻二十七 夏冬」より。

2014-09-05 02:44:40
𒁀𒀊𒅋𒌋Ⅲ 💉💉💉💉 @palomino3rd

@y_mizuno >七月十五日を中元日と云ふ > >今日盂蘭盆会(うらぼんえ)を設く故に、あるひは上略して盆と云ふ。 >盂蘭盆の始めは、斉明天皇三年、始めて盂蘭盆会を設く。

2014-09-05 02:46:14
𒁀𒀊𒅋𒌋Ⅲ 💉💉💉💉 @palomino3rd

@y_mizuno >『公事根源』に云ふ、天平五年七月、初めて盂蘭盆を大膳職(だいぜんしき)に備ふとあり。 >盂蘭盆と云ふは、梵語なり。 >倒懸救器(とうけんくき)と翻訳す。 >倒懸とは、餓鬼の苦しみを思ふに、倒(さかさま)に懸けたるがごとし。 >救器は、苦を救ふの器なり。

2014-09-05 02:47:15
𒁀𒀊𒅋𒌋Ⅲ 💉💉💉💉 @palomino3rd

@y_mizuno >『釈氏要覧』に云ふ、盂蘭盆とは、この釈の子、孝を申(の)べ恩に報ひ苦を救ふの要なり。 >目蓮の救母をもって始めとす。 >梵語には、盂蘭盆、ここには救倒懸なり。 >盆すなはち此方の器なり、云々。

2014-09-05 02:47:40
𒁀𒀊𒅋𒌋Ⅲ 💉💉💉💉 @palomino3rd

@y_mizuno 中外日報の記事では 「盂蘭盆の「盆」から器の意が抜けている」という意味の箇所があるようですが、喜田川守貞の引用した文には、『器』の意味を含む記述になってるようです。

2014-09-05 02:55:38
𒁀𒀊𒅋𒌋Ⅲ 💉💉💉💉 @palomino3rd

"宮中の行事・儀式の根源・沿革を記した「公事根源」は、盂蘭盆について次のように説明する。 盂蘭盆は梵語なり。 倒懸救器と翻訳す。 倒懸は、さかさまにかくると云ふ心なり。..." tmblr.co/ZUelsx1P-l90X

2014-09-05 02:58:49
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

@palomino3rd なるほど。だとすると、江戸時代の人々は、ちゃんと原典にあたって解説を書いていたことが伺われる、のだと思います。原典はこの場合、難解語の解説である玄応の本『一切経音義』ではなくて、元の『盂蘭盆経』まで彼らは読んでいた。素晴らしい発見だと思います。本当に…。

2014-09-05 04:25:00
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

@palomino3rd というのは、盂蘭盆経に「盂蘭盆」が3回に出てきて、2・3回目の用例が、2)(自恣の日に)百味の飲食物を盂蘭盆の中にいれて(僧侶たちに施せ)(以百味飲食安盂蘭盆中)、3)(毎年7月15日に)父母のために盂蘭盆を作り仏と僧侶たちに施せ(作盂蘭盆施仏及僧)

2014-09-05 04:30:36
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

@palomino3rd しかし、やはり江戸時代の人も盂蘭盆を梵語だと考え、『一切経音義』の解説も取り入れた。だから原典との折衷的解釈として「盂蘭盆と云ふは、梵語なり。 倒懸救器と翻訳す」という綱渡り的な翻訳がされた。他方、今回の中外日報の指摘は梵語でないとしているので一歩前進。

2014-09-05 04:42:36
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

@palomino3rd 盂蘭盆経の原典が、梵語でなくて古代インドの口語で書かれていて(口語原典)、その漢訳を我々が(盂蘭盆という漢字の形で)目にしているとすると、盂蘭盆には倒懸の意味はなくなるわけです。でもこれはこれで「困った」ことになると思います(訂正に時間がかかるのでは)。

2014-09-05 04:50:42
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

@palomino3rd 盂蘭盆経の漢訳では ffortune.net/spirit/tera/li…、1)(孝順を行う者はまたまさにこの盂蘭盆を奉じて)、これは何かの物体を意味する。2)(多くの飲食物を用意して盂蘭盆中に安じ)、これも同様、3)(盂蘭盆を用意して仏や僧に施し)、ここもそう。

2014-09-05 05:02:49
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

@palomino3rd そうすると、むしろ盂蘭盆=倒懸という解釈が(これが普通の解釈だそうですが)、どこから出てきたのか、それが不思議に思われますが、どうでしょうか。。。

2014-09-05 05:05:47
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

少し見た範囲でいうと、玄応『一切経音義』には盂蘭盆という文字が見当たらないようだ。残念。wul.waseda.ac.jp/kotenseki/sear… もっとよく探すべきかも。

2014-09-05 23:14:56
むらやまこういち💉💉 @murapyon71

@y_mizuno これは巻二十四ですかね。『荊楚歳時記』の注によると「盂蘭盆」は巻十三の様です。ちょっと検索してみましたが見つかりませんでした。山田高雄先生の『一切経音義索引』はありましたが。 dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid…

2014-09-06 00:27:34
むらやまこういち💉💉 @murapyon71

@y_mizuno コマ番号232、本のページでいうと410頁に載っています。

2014-09-06 00:29:36
𒁀𒀊𒅋𒌋Ⅲ 💉💉💉💉 @palomino3rd

@y_mizuno こんばんは。 『守貞謾稿』の箇所はそのまま『公事根源』からの引用ですね。ですので、守貞が他の典拠を元にしていたら『器』の箇所が残っていたか、分からないです。 『根源』の方は室町のもので、これは更に別の典拠を元にしているようです。

2014-09-06 02:10:54
𒁀𒀊𒅋𒌋Ⅲ 💉💉💉💉 @palomino3rd

@y_mizuno 『翻訳名義集』(1143年)の第四巻に『盂蘭盆』をみつけました。 dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid… こちらのコマ番号10です。

2014-09-06 02:19:19
𒁀𒀊𒅋𒌋Ⅲ 💉💉💉💉 @palomino3rd

@y_mizuno ここでは『盂蘭盆』を『盂蘭』=西域の語で「倒懸」、『盆』は「器」、と分けているようです。

2014-09-06 02:25:57
𒁀𒀊𒅋𒌋Ⅲ 💉💉💉💉 @palomino3rd

@y_mizuno 後半で『「盂蘭」は訛り、正しくは「鳥藍婆拏」』となってるので、先のむらやま様の引いた『荊楚歳時記』の記述に繋がりますね。

2014-09-06 02:36:13
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

@palomino3rd 昔の人も、悩んだんでしょうね。そんな気がします。情報、ありがとうございます。

2014-09-06 06:34:27