不知火に落ち度はない その25

yamoto @yamoto

「司令は何も見ていないのね。よく見て」 「いや服着てお願いします」 差し出されるスマホ、迫り来る不知火。 覆い被さられ、俺の眼前で並べられる二つのセミヌードと鎖骨。 あれ。鎖骨なんだが。 黒子あんぞ、こっちの3Dの方の鎖骨。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「それで、何か言いたいことは？」 「えっと、すまん。誤解だった」 許してくれませんか。 そこに黒子あったとか、知らないぞ？ 「絶対許さないわ」 許されませんでしたー！ いや、誤解かけたのは大変申し訳ない限りであるが、この怒り方マジ怒りなんだが！ #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「許せるものですか。気安く人前で肌を晒すほど不知火は安くないわ。軽んじられてるわね」 ぷち、ぷち、と音がする。 いやまて不知火。それあかん。 ぱさりと、床にスポブラが落ちる。 「待て、しまえ。今めっちゃ矛盾してるぞお前」 「だから何か？」 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

だから何かとおっしゃられましても。 だから何かとおっしゃられましても！！ 「待て話あおう」 「聞く耳持たないわ。誰かに脅された？ 冗談じゃないわ。そんなことをするぐらいなら、最初から相手を始末するもの」 物騒極まりない言葉が来た。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「俺が悪かったから、服着てくれ。さすがにその、な」 手で顔を覆いストップサイン。 これで止まってくれると信じたい。 「お断りよ。目を逸らさないで」 無駄……っ！ 通らない……っ！ 手を剥がされて、ルックアットミー。 おいスパッツに手を掛けるな！？ #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「ちなみに写真はパンツを履いてるけど」 はあ。なんでしょうか。 「不知火はスパッツの下に履いてないわ」 知りたくなかったそんな情報！？ 「ちゃんと確認して。二度と間違えないように」 いりませんやめてにどとやんないから！！？ #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

しかし残酷にもぱさりと落ちるスパッツ。 上は丸出し下はスカートだけ、なーんだ？ 答え、お怒りの不知火。 どうあがいても他人が見たら誤解しかねえよこの状況！ 「司令、不知火は怒ってるの」 「ああ、知ってる」 「全然わかってないわ」 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

どうしたらいいこの状況？ ドアから逃げる→鍵かけたじゃん 話し合いで解決→無理 窓から逃げる→着地ミスさえなければいける 不知火を倒す→いける よし、倒そう。 ちょっと痛いが我慢しよう不知火。 事情は後でじっくり話し合おう。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

そうだ、倒してしまえばあの丸出しのピンク二つにカバー付けられるし、何事もなく冷静な話し合いができるのだ。 心当たりがあった風だが、それは置いておいてレッツら格闘実習── 「えい」 すとーんと、スカートが床に落ちた。 意識の空白が作られる。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

問い：何がみえるかなー？ 答え：裸にソックスとローファーオンリーというマニアックすぎる姿の秘書艦様 パーフェクトに違法感しかないその光景に強引に意識が持ってかれ── 「ぬいチョップ」 ノーモーションからの超高速回転式チョップが、すこーんと顎に入る。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

やべ、脳がすげえ勢いで揺れたらしい。 意識はあるんだが、完全に動きが取れずにぐらりと倒れて椅子に逆戻りだ。 何このピンポイント打撃。 これが格闘実習なら、満点だぞ不知火。 「長門さんから聞いておいて正解だったわ」 メスゴリラ。お前の仕込みかー！！？ #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

こんだけ脳が揺れてるということは、回復までに相当の時間を要するということである。 流石の俺も脳は鍛えられないし、タイミングのとり方やブランクの開け方は間違いなくメスゴリラの仕込みである。 格闘実習時に使うといいとか言ったんだな。 不知火優秀すぎ。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

回復までは残りおよそ15秒。深海棲艦相手なら死ぬなこれ。 で、不知火はその15秒で何をしたと思う？ ダクトテープで俺の手足を椅子にくくりつけやがったんですよ。お前ね？ 「ちなみに、あの服は不知火のものよ。黒潮に旅行用着替えで一式貸したのだけど」 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「これからどうするんだ？」 「言ったでしょう。徹底的に誘惑してやるって」 これは誘惑じゃなくて、拘束っつーんだが。 だんだん頭覚めて来たぞ。 「でもその前に、やっておくことがあるわ」 右手首よし、左手首よし。 「どんなことだ？」 「撮影」 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

そういう不知火の手には俺のスマホが握られててだな。 メールアプリが立ち上がっててだな。 「不知火も冷静になれなかったわ。このデータは」 それ、浜風が送ってきたアレだ。 彼氏ですって送ったあの写真だ。 記念にどうぞって書いてあるあれだ。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「いや、えっとな。それ」 「見てわかるわ。擬似ツーショットでしょ」 だからやり返してやるの。 不知火は宣言する。 「擬似ハメ取り？ を」 さっきのページで見た言葉を早速使ったな！？ その言葉の意味全然わかってねえよな！？ 自信なさが声に出たぞ。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

さて、反撃の時間である。 不知火のミスは2つ。 俺に背を向けてること。 そして、ダクトテープで動きを封じたと思ってることだ。 あと、俺のスマホ、今時カメラが背面1つしかついてないってのもあるな。撮るのに手間が掛かるんだ。 では、一、二の。さんっ。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

背中を向けた隙にまずはダクトテープを一瞬で引きちぎる。 あとは引き寄せて、すぱっとスマホ強奪。 さらに手首の関節を取って、そのまま背中に回す。 暴徒鎮圧用の極め方である。 「っ！？ し、司令っ」 「ハメ取りつったけどな、お前ね」 性教育の時間だ。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「一応俺からの弁解をさせてもらうが、まず浜風にお前の裸写真送っても俺が通報されるだけだぞ」 悪い子な日があるだけで、基本正義感あるいい子だ。 「次に、お前はハメ取りと言ったが」 さてお立ち会い。コウノトリしか知らない少女にポルノを見せつける仕事だ。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

えっと、ブクマから。あったあった。 「じゃん。どうだ」 「えっ……え？」 スマホの画面にぱっと映し出される画像の数々。 どれも男は写ってません。ぬっぷりはまったエクスカリ棒と、女子の痴態が丸写し。 見る見る不知火の顔が、赤くなって行く。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

「これがハメ撮りと言う奴だぞ、実際の」 「では、さっき不知火が見たのは……？」 「広告画像。こういうのを撮っていいならやるぞ、しかも流すぞ。こういう所に放流するのが習わしだからな」 知らぬが仏。 嘘をつくなら疑問を挟ませないスピードが大事だ。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

不知火の頭の中で今はきっと、ぐるぐると自らの勘違いという失態と生き返った羞恥心が回ってるはずだ。 どきっついエロ画像だったんで、間違った過激知識が盛り沢山に入ってる。長門ぐらいなら笑って許すが年頃の娘からしたらなにこれわけわかんない、の世界だろう。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

さて、羞恥心に追いつかれた不知火はもはや、いわゆるフツーの女の子である。これがブチ切れていた状態なら火に油だが、今は青菜に塩ぐらいの勢いだ。 エロを突きつけるほどドン引き、自らの行動を制限していく。 遠慮はいらん。ガンガンいこう。 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

このまっぱ娘が自分で服を着て、逃げ出したくなるまで追い詰めるのが俺のお仕事である。 「こういうことしたいわけか。不知火はやらしい子だな？」 「ち、ちが、し、不知火は……」 「こっちなんかすげーぞ。ほらピースしてる」 「！？！？！？」 #不知火に落ち度はない

yamoto @yamoto

大変新鮮な光景である。 あの冷静沈着プチドーベルが、目を白黒させてるのだ。 不知火。大人の世界は大変ディープであるぞ。 もうちょっと、修行を積んで出直すのだ。 カシャッ 「！？ し、司令、今」 「試し撮り」 うわ、俺今ゲスすぎる。 #不知火に落ち度はない